試作品設計で事前確認すべき項目・ポイント・事例(3-21)

iyoblog (3-21)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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事例編・第三部「DR1(1)(試作品設計と検証)実施法編」

iyoblog (3-21)・「試作品設計段階で事前確認すべき項目・ポイント」

「現状と問題点

 商品開発に於ける試作の目的は、アイデアを許にいきなり本番へトライして失敗を防ぐためである。

ここで失敗とは、開発仕様で定義した要求機能、性能、特性、設計条件の何れでも目標を達成できない事が生じた場合を言う。

 機械製品の機構設計に長く携わっていると、紙に書いた図面で部品が加工され、これを組立て製品化して動かしていると、何事も自分の思い通りになるとつい錯覚する。

先人・先輩に教わった経験範囲で繰返している間は、何事も無く済んでいるが、一寸未経験の事が入り込むと思わぬ事態に遭遇する。

筆者も加工素材へ加圧力を微妙に調整する必要が生じ、混み入った機構の中へ圧力測定センサーを組込み何とかなると思い込みで設計し失敗した経験がある。

図 3-21 へ「試作品設計段階で事前確認すべき項目」を示す。

「着眼点・分析と評価法」

 昔から身の回りで使われてきた秤(はかり)には、竿秤(さおはかり)、天秤(てんびん)、ばね秤(はかり)など単純構造の物が多い。

何れも摩擦を極力削ぐ構造で有る事に気付く。

これを忘れ複雑な機構の中に組込んでも、摩擦力を無視してセンサ\ーがきちんと測定できる筈だと勝手に思い込む。

これが、失敗の最大要因である。

測定個所とセンサーの間に複雑な機構部を設けない事が、必要である。

方向が同じなら良いのでは無く、介在物なしに測定個所をセンサーで直接測ることが必要である。

複雑構造の介在物(機構)が有ると摩擦力が微妙に影響を与え、測定の都度数値が変わり再現性が乏しくなる。

そのため初めて手を着ける物事(機構)には、試作して慎重に取組む事が大切である。

簡単な模型を試作して事前確認( 検証 = 裏付け )すれば済む事である。これを忘れない。

「改善点と取組み実施法」

 機械・電機製品分野に於ける商品開発過程の試作では、通常

①原理試作、

②方式試作、

③構造試作、

④量産試作と言う四段階で実施している場合が多い。

 ここで原理試作とは、仕様書に記載された要求機能を実現する新しい原理を開発・完成させる試作を言う。

例えば、1年に誤差 1 秒以内の精密な時計を開発したいと望む要求が出た場合で考えて見る。

従来から有る機械式ムーブメントとしてのぜんまい(渦巻き式ばね)のエネルギーをテンブで少しずつ歯車を駆動するには、微調整が非常に難しい。

そこで水晶(単結晶)を音叉型に加工して振動させ、これをセンサで計数し、電池で歯車を回転する原理の電子式ムーブメントが発明・開発された。これは、原理試作の典型である。

また方式試作とは、一つの原理丈では完全でない場合に幾つかの原理組合せで性能・特性を高める場合を言う。

例えば、電子式ムーブメントへ電波補正機能を組合せて、より精度を高める様な例である。

更に構造試作とは、実用に供するための形状・大きさ・強さ・出力・使い易さを確保する材料選択と機構や構造にする場合を言う。

量産試作とは、最終商品として市場に受け入れられ、且つ製造し易さ、コスト性を考慮したデザインとする場合を言う。

「実施による改善効果」

 本稿の試作品設計とは、前述した原理試作、方式試作、構造試作、量産試作の各段階でそれぞれ必要となる試作品製作に必要な設計を言う。

また別項で説明するメカ系部位、制御・実装系部位、計測器系部位の単位でユニット化、モジュール化、コンポネント化、実際には機能単位の部品レベルで設計へ取組む事になる。

この取組み法が、試作で検証する事で誰にでも容易に商品開発を実施・実現できる様になる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「検索キーワード」

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴有る特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-39)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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