詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目・事例(3-41)

iyoblog (3-41)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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事例編・第五部「DR- 2(詳細設計着手時の不具合予防)実施法編」

iyoblog (3-41)・「詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目」

「現状と問題点」

 メカ系構成部品では、通常炭素鋼部材へ熱処理(または調質=焼入れ・焼戻し処理)する事で強さを確保する。

炭素鋼部材の強さは、通常焼入れ・焼戻し処理後の硬さで管理する。

この意味は、硬さと強さの間には、ブリネル硬さ(HBで表示)500 程度まで直線的に比例する。

これは、硬さが増加すると強さが比例して増大する意味である。

強さは引張り強さ、圧縮強さ、ねじり(剪断)強さのどれか一つを確認する事で把握できる。

それは、仮に引張り強さを 100 と仮定した時に、圧縮強さは凡そ 325 %、ねじり強さは凡そ 80 %の数値となる比例関係がある。

また硬さは、重量比で炭素含有量に影響する。

0.6 % 近くまでは、硬さとの間に直線的な比例関係がある。

ここで比例関係とは、炭素含有 % が増加すると熱処理後の硬さが比例して増大する。但し 0.6 % を超えると直線性が崩れ、0.9 % 以上では略横這いとなり通常鋳物(銑鉄)の領域となる。

図 1 から 図 4 へ「詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目」を示す。

「着眼点・分析と評価法」

 炭素鋼には、SXXC(XX部分はS45Cの様に数値が入る)で表示の代表部材がある。

この部材は、炭素含有 % を任意選択し熱処理で硬さを指定する事で希望の強さを確保する事が可能な意味を持つ。

但し、熱処理後の硬さは、焼戻し時の再加熱温度で変わる事に注意が必要である。

疲れ強さと引張り強さの相関は、引張り強さが 1470 N/mm 2前後( 凡そ 150 kgf/mm 2 )までは直線的比例関係がある。

また硬さと疲れ強さの相関では、ロックウェル C スケールで 45 度(HRCで表示)を超えると疲れ強さが急激に低下する。

その為、余り硬くし過ぎない様に注意する。

他に衝撃強さと硬さの相関は、材種を問わず硬さが大きい程衝撃強さは逆比例し低下するので注意する。

「改善点と取組み実施法」

 メカ系炭素鋼部品の寿命を長く保持したいと望む場合には、疲れ強さをできる丈大きく確保する。

しかしその為には、熱処理後の硬さをできるだけ大きく指定したい願望が有る。

但し、同時に衝撃強さも是非確保したい。

この矛盾した要求を満たすには、何種類か模型の試作品で寿命試験し望ましい衝撃強さを確認し最終硬さを選定する。

一般的な機械装置類では、疲れ破壊による損傷よりも取扱い時の不備などから他部品脱落で生ずる嚙み込みや急停止で生ずる衝撃力による破壊による損傷が多い現実がある。

従って衝撃強さは、程ほどに設定する必要がある。

「実施による改善効果」

 通常の機械装置へ組込む炭素鋼製部品の強さを決める要因は、寿命確保面から疲れ強さ確保を重点に熱処理後の硬さはHRC40以下の範囲で設定する。

(注・表面部に摩耗強さを確保する必要から浸炭処理などで内面コア部分と別に硬くする処理は別とする。)

これは、ある程度の衝撃強さも対応できる配慮した値となる。

これにより、寿命も確保しながら適度の衝撃にも対応が可能となる。

望ましい事は、周囲部品が長期使用時に振動などに伴うねじ類の緩みによる脱落で部品同士の嚙み込みが生じない様に防止する構造上の工夫が必要である。

また急停止させる必要がない操作上の工夫が共に大切である。

これらにより、部品寿命を延ばす事が可能となる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴有る特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-39)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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