詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目・事例(3-43)

iyoblog (3-43)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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事例編・第五部「DR- 2(詳細設計着手時の不具合予防)実施法編」

iyoblog (3-43)・「詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目」

「現状と問題点」

 筆者が関与した企業などで把握した機械・電機装置類メカ系部品によるクレーム発生実態例では、疲れ破損・損傷例より衝撃破損・損傷による実態例が多い現実がある。

これは多くの担当設計者が、寿命確保面を重視し、疲れ強さを第一義に衝撃強さ確保面に関心が余り行き届かない結果ではないか? と推察する。

機械・電機装置類では、メカ系構成部品に対する思わぬ衝撃力が掛る機会が多い事へ特に注意を払いたい。

ねじ緩みに伴う部品脱落噛込み急停止で衝撃破損、操作上手違いで急停止釦を押し連続稼働中装置急停止で部品衝撃破損、取扱い不注意の素材落下で作動中ユニット部品の衝撃破損、部材搬送中のフォークリフトが通路脇機械装置へ接触で部品衝撃破損、など原因は多種多様である。

これらは、殆どが予期できない状態で発生する。

図 1 から図 3 へ「詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目」を示す。

「着眼点・分析と評価法」

 機械・電機製品の部材強さを高めれば、同じ強さを確保しながら部品形状と寸法を小型化できる。

従って熱処理に依って強さを高められるのであれば、可能な限り高めたいと欲するのは、当然の成り行きである。

しかし例えば、引張り強さなど特定の負荷条件丈なら良い。ぶつけたり、落としたり、複雑荷重が掛る予期せぬ可能性がある場合には、特に注意が必要である。

一寸した取扱い不備から簡単に破損した場合には、クレーム扱いとなる可能性も高い。

疲れ強さ確保に気持ちが集中し、衝撃強さを疎かにすると後で痛い思いをする事になる。

筆者もクランクケースやミッションケース用多軸ナットランナー先端六角穴用ソケットへ十分な衝撃強さを見込まなかった結果、何度も材種・形状・熱処理後の硬さを変えて対応法を繰返した経験がある。

「改善点と取組み実施法」

 前記ナットランナー用ソケットでは、最終的に衝撃強さを疲れ強さの 20 倍以上確保してやっと解決できた。

隣接軸と寸法制約が有り部品形状は、段付き部を無くし大きな R 形状とした。

材種は、靭性の大きな SNCM 材から選択した。

熱処理後の硬さは、HRC 40 以下と設定した。

以上で疲れ強さを確保しながら、衝撃強さを十分確保して解決できた。

図 2 へ零下 40 ℃ 以下のマイナス温度となる寒冷地で使用する炭素鋼部品については、C(炭素)含有 % の 12 倍以上の Mn(マンガン)%が必要となる衝撃強さと環境温度の相関図を示す。

「実施による改善効果」

 筆者の経験でメカ系部品へ衝撃強さを確保しなければならない場合の単位面積当たりの数値は、想定し得る疲れ強さの少ない場合で 10 倍、多い場合には 20 倍程度の数値を設定する事が望ましい。

しかし大きさ・寸法上の制約が有る場合には、Ni(ニッケル)や Mn(マンガン)など靭性を高める合金成分を多く含む材種を選択すると良い。

 また熱処理後の硬さを確保する C(炭素)含有%は、0.5 % 以下と設定する事が望ましい。

これはC(炭素)含有量が、0.5 % を超えると徐々に衝撃強さが低下する事が知られている。

0.7 % 前後で、最低値となるためである。

これらの経験則を実施する事で、予期せぬ衝撃破損で担当者が設計したメカ系部品でクレーム原因の軽減、削減が可能となる。

この実施効果は、メカ系クレーム原因の凡そ 15~20 % に該当する。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴有る特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-39)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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