全階層「客先クレーム処理」投入時間・事例第 2 位(2-1-2)

iyoblog (2-1-2)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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全階層投入時間第 2 位「客先クレーム処理」の予防取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-1-21 へ「手戻り・後処理」業務中の全階層投入時間合計第 2 位である「客先クレーム処理」テーマへ階層別年間投入時間と占有率例を示す。

 また図 2-1-22 へ本テーマの各階層別 1 人当り年間投入時間内容例を示す。

 本テーマが、全手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 18 %、勤務時間に対しては 5.4 %に相当する。

 これは1 日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.054 = 25.9 分/日 )となり、設計技術部門全員が略毎日 26 分近い時間を本テーマへ振り向けている実態となる。

 また 100 名規模の製造企業設計技術部門では、年間 1 万 1490 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 本テーマ投入時間を階層別に見ると合計時間ではベテラン層が一番多い。

1 人当り投入時間で見ると管理者層、リーダー層が圧倒的に多くなる。

 ベテラン層は、自分自身が原因発生者で有る場合が多い。

全員が、毎回の様に発生させている訳ではない。しかし人数が多いため、1 人当り発生時間は少なくても合計時間として多くなる。

原因発生者はどうしても自分自身での対応が求められる。

ベテラン層は、直接対応の時間と見做される。

 一方管理者層とリーダー層には、部下である原因発生者と一緒に対応する必要に迫られる。

その結果の投入時間と見做す必要がある。

 管理者層の年間1人当り238時間は、年間実働 220 日(土曜、日曜、祭日、有給休暇日を引いた日数で換算)と仮定すれば、毎日 1 時間 5 分ずつ本テーマに振り向けている実態となる。

リーダー層の年間 1 人当り 189 時間は、毎日 52 分相当を本テーマへ振り向けている実態となる。

ベテラン層の年間 1 人当り 154 時間は、毎日 42 分を振り向けている実態となる。

何故本テーマ対応への時間が多く発生するか? 真の原因を明確にする必要がある。

「改善点と予防取り組み法」

 本テーマの客先クレーム内容実態を複数の関与先で集めた結果、必要としたクレーム対策費用発生原因の70%が、開発または設計に起因する各社共通点が判明した。

短期間に性能が低下する、部品寿命が劣化、損傷し稼働に支障を期たす等である。

機械電機系製品では、納品 1 ヶ月以内に 25 %、3 ヶ月以内 13 %、6 ヶ月以内 11 %、1 年以内 21 %のクレーム発生している企業間で共通するDATAがある。

判り易く表現するとクレームは納品後 6 ヶ月間 (半年)で計 49 %(約半分相当)が、1 年で 70 %が発生している実態がある。

開発、設計不具合原因の機械装置系では、6原因(①・振動・衝撃劣化、➁・疲労劣化、➂・腐蝕劣化、④・摩擦・摩耗劣化、➄・揺動・ねじり劣化、⑥・熱衝撃劣化)等で 80 %を占める。

また装置の実装・計装系では、7原因(➆・落雷・高圧サージ電圧損傷、⑧・水滴付着繰り返し絶縁劣化損傷、➈・静電気放電発火・引火、➉・電磁ノイズ誘導誤作動、⑪・過負荷発熱損傷、⑫・部品ワイヤ断線、⑬・膨張・収縮半田剥離で機能停止)等で 90 %を占める共通実態がある。

 前述原因による不具合クレームとは、開発・設計時に部品寿命をきちんと事前検証しなかった結果である。

寿命をキチンと把握検証するとは、故障で機能喪失前の不具合となる前兆候現象を同時に把握できる。

つまり寿命と不具合に至る前兆候を把握できれば、適切な交換時期をユーザーに対してアナウンスできる。

これらが、大切となる。

「予防取り組みの改善効果」

 開発・新規設計品に対し、メーカー側が寿命と不具合発生前の兆候現象を事前検証で把握していれば、ユーザーへ部品交換必要時期を適切に事前に伝えることが可能になる。

これが行われていない場合には、ユーザーはいきなり不具合に直面し、無償保障期間内で有れば当然クレームとなる。

当然メーカーへ機能回復の修理対応要求や、突然の機能停止で被った、また失われた損害の賠償要求となる。

実際には、クレーム対策費の 70 %が開発・設計不具合に起因し、機械装置類(制御系実装・計装系を含め)不具合原因の 80 %が前述記載 13 要因から、部品寿命と不具合前兆候把握の事前検証を確実に行うことで、約半分(注・0.8 × 0.7 = 0.56 )近いクレームを減らすことが可能となる。

問題点は、新興国との競争等から市場からコスト低減要求と併せ短納期開発・設計が求められ、検証時間を確保できない担当者の悩みがある。

現実には、出荷・納品後 6 ヶ月以内に約 50 %、1 年以内に 70 %のクレームが共通して発生している実態が有ることから、部品寿命検証を加速試験で実施することを勧めている。

 加速試験とは、1 年( 365 日/1 年 × 24 時間/日 = 8,760 時間/1 年 )を10倍に加速し 10 分の 1 へ短縮か、100 倍に加速し100 分の 1 へ短縮して評価することを言う。

 10 倍加速では、1 年を 37 日間へ短縮できる。半年では、19 日となる。100 倍加速では、1 年を 4 日間へ短縮できる。

半年では、2 日間となる。

 前述検証方法を使うことで、半年以内に発生する開発・設計不具合対応には、納品前に加速検証を実施してから出荷する。

どんなに忙しくても 2 日間の寿命検証期間は確保する。

1 年以内に発生する開発・設計不具合には、納品後 6 ケ月間の初期流動管理期間を設け、1 年以上 10 年以内に起り得る開発・設計不具合問題を検証する。

 大事なことは、ユーザーの許で不具合が発生してから対応を繰り返していては、根本的に客先クレーム処理はなくせない。

また開発・設計不具合は、検図では基本的に見付けられない。実物検証試験有るのみと心得る。

 筆者が関与した自家製品を開発したている多くの企業で、開発段階で 5000 時間耐久試験を実施している所が多い実態がある。

(注・5000 時間は、連続で 208.3 日 = 略 209 日間 = 6.97 ケ月 = 略 7 ケ月間を意味する。 )

何故か 5000 時間耐久を実施しながらクレームに悩む企業の殆どが、信頼度値把握を確りしていない事に気づいていない現実がある。

信頼度値を的確に把握するには、耐久試験を同時複数で実施する必要がある。

信頼度値を的確に把握するとは、経過期間別に信頼度値が変化する経緯を把握することを言う。

耐久試験では、最低でも同時に 7 台以上で行う必要がある。

出来れば同時に 40 台以上で実施する事を勧めたい。

ここで同時に 7 台とは、最低でも「 ± 1 σ」のばらつき値を把握して欲しいと言う意味である。

また同時に 40 台を勧めるとは、出来れば「 ± 2 σ」値を把握する事を言う。

それぞれ「± 1 σ」値また「± 2 σ」値が把握出来れば、DATAから試験品の正規分布曲線を描くことが出来る。

つまり経過期間別の信頼度値を、大まかに推測できる。これが、特に大切である。完成品で行うことが難しい場合には、重要部品単品毎で行なうと良い。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・全階層投入時間2位事例」部分を今回ブログ掲載に当りサブタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」と改名・加筆し不備部は訂正した。

 原本入手ご希望の方は出版社(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせ給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「要約・目次」

「設計の手戻り・後処理は、業務効率化を阻む最大の障害」

iyoblog 設計 実務 管理知識 シリーズ(2-0)設計力向上研究会編

2-0-1設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」

「設計の手戻り・後処理の実態把握」

iyoblog 設計 実務 管理知識 シリーズ2-1)設計力向上研究会編

2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」

「設計の手戻り・後処理の実態分析とその削減・予防の考え方」

iyoblog 設計 実務 管理知識 シリーズ(2-2)設計力向上研究会編

2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」

「設計の手戻り・後処理の削減・予防のための具体的方法」

iyoblog 設計 実務 管理知識 シリーズ(2-3)設計力向上研究会編

2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」

「手戻り・後処理のテーマ別発生件数と時間の相関実態分析事例」

iyoblog 設計 実務 管理知識 シリーズ(2-4)設計力向上研究会編

BLOG2-0-5設計の手戻り・後処理予防60「総論・第5章」

機械部品の寿命と信頼度の短期把握可能な加速試験方法」

iyoblog 設計 実務 管理知識 シリーズ(2-5)設計力向上研究会編

2-1)設計の手戻り・後処理予防60例「全階層の心得と実務(全階層合計投入時間上位10事例テーマの要約と目次)

iyoblog2-1-1)全階層1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前点検・確認

iyoblog2-1-2)全階層2位「客先クレーム処理

iyoblog2-1-3)全階層3位「検図指摘による図面修正

iyoblog2-1-4)全階層4位「設計仕様・設計内容事後チェック

iyoblog2-1-5)全階層5位「現場からのクレーム処理

iyoblog2-1-6)全階層6位「量試後のCD再検討

iyoblog2-1-7)全階層7位「設計案再検討、図面修正

iyoblog2-1-8)全階層8位「苦情処理解答

iyoblog2-1-9)全階層9位「追加出図

iyoblog2-1-10)全階層10位「DR指摘による仕様書・図面修正

2-2)設計の手戻り・後処理予防60例「管理者層の心得と」(管理者層投入時間上位10事例テーマの要約と目次)

iyoblog2-2-1)管理者層1位「客先クレーム処理」

iyoblog2-2-2)管理者層2位「量試後のCD再検討」

iyoblog2-2-3)管理者層3位「部下・同僚・外注設計作成図書事後検図、出図前点検・確認」

iyoblog2-2-4)管理者層4位「品質改善活動

iyoblog2-2-5)管理者層5位「図面改廃処理

iyoblog2-2-6)管理者層6位「苦情処理解答」

iyoblog2-2-7)管理者層7位「クレーム対策会議

iyoblog2-2-8)管理者層8位「設計案・試験結果NG再評価

iyoblog2-2-9)管理者層9位「現場からのクレーム処理」

iyoblog2-2-10)管理者層10位「設計仕様・設計内容事後チェック

2-3)設計の手戻り・後処理予防60例「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10事例テーマの要約と目次)

iyoblog2-3-1)リーダー層1位「部下・同僚・外注設計作成図書事後検図、出図前点検・確認

iyoblog2-3-2)リーダー層2位「客先クレーム処理」

iyoblog2-3-3)リーダー層3位「苦情処理解答」

iyoblog2-3-4)リーダー層4位「現場からのクレーム処理」

iyoblog2-3-5)リーダー層5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

iyoblog2-3-6)リーダー層6位「クレーム対策会議」

iyoblog2-3-7)リーダー層7位「品質改善活動」

iyoblog2-3-8)リーダー層8位「設計案再検討、図面修正」

iyoblog2-3-9)リーダー層9位「設計不良の後始末

iyoblog2-3-10)リーダー層10位「追加出図」

2-4設計の手戻り・後処理予防60ベテラン層の心得と実務(ベテラン層投入時間上位10事例テーマの要約と目次)

iyoblog2-4-1)ベテラン層1位「客先クレーム処理」

iyoblog2-4-2)ベテラン層2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前点検・確認」

iyoblog2-4-3)ベテラン層3位「現場からのクレーム処理」

iyoblog2-4-4)ベテラン層4位「検図による図面修正」

iyoblog2-4-5)ベテラン層5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

iyoblog2-4-6)ベテラン層6位「設計案再検討、図面修正」

iyoblog2-4-7)ベテラン層7位「量試後のコストダウン再検討」

iyoblog2-4-8)ベテラン層8位「追加出図」

iyoblog2-4-9)ベテラン層9位「苦情処理解答」

iyoblog2-4-10)ベテラン層10位「設計不良の後始末」

2-5)設計の手戻り・後処理予防60例「新人層の心得と実務(新人層投入時間上位10事例テーマの要約と目次)

iyoblog2-5-1)新人層1位「現場からのクレーム処理」

iyoblog2-5-2)新人層2位「検図による図面修正」

iyoblog2-5-3)新人層3位「部下・同僚・外注設計作成図書事後検図、出図前点検・確認」

iyoblog2-5-4)新人層4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

iyoblog2-5-5)新人層5位「販売・取説・マニアル校正

iyoblog2-5-6)新人層6位「設計不良の後始末」

iyoblog2-5-7)新人層7位「量試後のCD再検討」

iyoblog2-5-8)新人層8位「客先クレーム処理」

iyoblog2-5-9)新人層9位「苦情処理解答」

iyoblog2-5-10)新人層10位「設計案再検討、図面修正」

2-6)設計の手戻り・後処理予防60例「協力者層の心得と実務(協力者層投入時間上位10事例テーマの要約と目次)

iyoblog2-6-1)協力者層1位「検図による図面修正」

iyoblog2-6-2)協力者層2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

iyoblog2-6-3)協力者層3位「設計案再検討、図面修正」

iyoblog2-6-4)協力者層4位「DR指摘による仕様書・図面修正」

iyoblog2-6-5)協力者層5位「量試後のCD再検討」

iyoblog2-6-6)協力者層6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前点検・確認

iyoblog2-6-7)協力者層7位「図面改廃処理」

iyoblog2-6-8)協力者層8位「追加出図」

iyoblog2-6-9)協力者層9位「客先クレーム処理」

iyoblog2-6-10)協力者層10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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