全階層「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」投入時間・事例第 1 位(2-1-1)

iyoblog(2-1-1)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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設計の手戻り・後処理予防60例 全階層 投入時間第 1 位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」テーマの予防には

「現状と問題点」

 図 2-1-1 へ「手戻り・後処理」業務中の全階層投入時間合計一位である「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」テーマへ年間投入時間の階層別内容例を示す。また 図 2-1-2 へ同テーマの各階層一人当り年間投入時間の階層別内容例を示す。

 本テーマが、全手戻り・後処理作業時間中に占める比率は20%、勤務時間に対しては6%に相当する。これは1日実働8時間では(8時間/日×60分/時間×0.06=28.8分/日)となり、設計技術部門全員が略毎日30分近い時間を本テーマへ振り向けている実態となる。

 また100名規模の製造企業設計技術部門では、年間1万2800時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 何故各製造企業設計技術部門では、本テーマだけの為にこれだけ多くの時間が繰り返し投入され続ける必要があるのか? これは、開発・設計時の従来からの品質作り込み方法、特に設計技術部門から製造部門や購買部門等へ出図時の図面品質確保方法に問題があると考え、見直しする必要がある。 

 筆者は今まで多くの設計技術部門と関わりを持った経験から、設計者だけに任せ本人以外の点検なしに製造や購買部門等へ直接出図させると、記載不備(欠陥、洩れ、間違いを含む内容)等で、そのままでは製造できない等で出図図書(ドキュメント)に対する差し替え要求が多発し、設計技術部門幹部、上級者へ図面品質向上要求となって跳ね返るためである。

 筆者が某企業へ関与した際に、出図図書に対する差替え要求が毎回平均50%を超える実態へ直面した経験がある。

 従って同じ部署の同僚、先輩、上司が、出図前点検として検図作業がどうしても避け得ないものと思い込む状態に陥った結果と見做される。そこで検図作業の効率化を考え、専任の検図担当者を置き、常時対応している企業も多い現実がある。

 しかし出図前に必ず誰かに点検して問題点や間違いを指摘して貰えると言う安心感は、設計担当者側から見れば多少手抜きして注意深く取り組まずとも、最終の図面品質確保は検図者へ任せれば良いと言う依存心も働き、これが徐々に定着化し、慢性化し、繰り返される危険性が生ずる。

「改善点と予防取り組み法」

 本来、設計担当者が本人以外の出図前検図有無に関わらず図面品質は設計品質そのものと考え、日頃自分でしっかり確保する強い信念を持ち注意深く取り組んでいれば、周囲の出図前の検図負担も軽減できる。

 これを周囲が助けなければ図面品質が確保できないと言う悪い習慣を長い時間を掛け続けて来たことが、設計担当者が少しでも楽をしたいと言う周囲に頼る依存心を定着させた結果と見做す必要がある。

 また多くの企業に於ける出図前検図の現状実態は、記載洩れに対する指摘が多くを占める現実がある。

 以前の手設計からCAD設計への転換が進んでから、この傾向が顕著である。

 手設計時には、図板上に貼られた図面用紙へ基本設計、詳細設計共に、組立図の作成、部品図の作成を行っていた。

 当時は、上司や先輩が担当者の脇へ立ち、作成中の図面を見て、担当者の考えや問題点を完成前に把握、指摘し、出図前の検図負担を軽くしていた。

 CAD設計に転換が進んでからは、担当者の作業内容が見えず、上司、先輩が途中段階へ指導的意味で介入する機会が少なくなり、出図前の段階で検図と言う形態で設計内容のすべてを確認する状態が多くなった。

 つまり設計品質と図面品質の両方を同時一緒に看る検図形態へ転換が進んだと言って良い。

 ここで設計品質と図面品質を区別したのは、検図者には承認者の検図視点と、製造・工作部門へ出図前に行う検図者の視点が異なる事に注意を払う必要が有る。

 承認者は、最終製品化した場合に市場・エンドユーザーの安全性、取扱い容易性、寿命、信頼度、コスト、クレーム発生時の対応策有無などを重点に見る。

 一方製造へ出図前の検図者は、材料入手性、加工・処理・測定・組立・分解の容易性、製造仕損の可能性有無、記入漏れや間違いの有無などを重点に見る。

 この違いは、大きい。

 最終承認者となる上司、製造へ出図前の検図者となる先輩による基本設計時と詳細設計時途中での指導的介入が出来難くなった分、出図前検図段階ですべてを看なければならなくなり、検図時の役割負担が増えている実情がある。

 従って上司、先輩が途中へ介入する方法と工夫が求められる。

 表 2-1 へ、本テーマの予防(未然防止)取り組み時に設計担当者および先輩、上司関係者へ必要な原則・対処法と義務付けすべき事項を簡単に列挙して示す。

「予防取り組みの改善効果」

 設計時に作りこまれる欠陥、不備、間違い等には、担当者の判断の間違い等による場合と、不注意等による場合がある。

 判断の間違い等を予防(未然防止)するには、本人が知らない事へどうしても取り組む必要がある場合には、自分勝手に判断せず、先輩、上司、社外を含め専門に詳しい人に必ず事前相談する。

 具体的着手前に社内外の前例、先行事例、裏付け資料を調べる。

 判る人がいない、前例、先行事例、裏付け資料が存在しない場合には、仮説を立て、試作、試験による実験DATAを採取、評価して、仮説が確実に使えることが判明してから設計実施案として採用する。これらの手順をきちんと守る。

 不注意の間違い等を予防するには、基本設計着手時、詳細設計着手時、出図図書(ドキュメント)作成時に、それぞれ必要な注意点を上司、先輩、専門的に詳しい人へ事前に教わってから取り組むことが大切となる。

 特に記入洩れや資料と照合すれば予防できる記載項目間違い等の簡単な自分で確保できる図面品質は、原則自分で確保する。他人を頼らない。また周囲も助けない。これらをきちんと守り、守らせる習慣を作る。

 本テーマでの手戻り・後処理の予防効果は、担当者が自分自身でできることを、焦らず例えば一年毎に半減化する等の目標を決め、簡単なことを強い決意で一つずつきちんと積み重ねることで、1年で2分の1以下へ、2年で4分の1以下へ、3年で8分の1以下へと減らすことが可能となる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・全階層投入時間1位事例」部分を今回ブログ掲載に当り「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」とタイトルを更に加筆し不備部は訂正した。

 本文を入手ご希望の方は、出版社(日刊工業新聞社・出版局)へ直接ご連絡を給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第1章」「設計の手戻り・後処理の実態把握」

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第2章」「設計の手戻り・後処理の実態分析とその予防取り組み法」

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第3章」「設計の手戻り・後処理の予防取り組み法」

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第4章」「設計の手戻り・後処理のテーマ別発生実態および予防取り組み法」

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第5章」「機械部品の寿命と信頼度の短期把握を可能にする加速試験方法」

(2-1)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「全階層の心得と実務」(全階層合計投入時間上位10テーマ予防取り組み法の要約と目次)

(2-1-1)全階層1位「部下同僚作成図書事後検図」予防取り組み法

(2-1-2)全階層2位「客先クレーム処理」予防取り組み法

(2-1-3)全階層3位「検図による図面修正」予防取り組み法

(2-1-4)全階層4位「設計仕様・設計内容事後チェック」予防取り組み法

(2-1-5)全階層5位「現場からのクレーム処理」予防取り組み法

(2-1-6)全階層6位「量試後のCD再検討」予防取り組み法

(2-1-7)全階層7位「設計案再検討、図面修正」予防取り組み法

(2-1-8)全階層8位「苦情処理解答」予防取り組み法

(2-1-9)全階層9位「追加出図」予防取り組み法

(2-1-10)全階層10位「DR指摘による仕様書・図面修正」予防取り組み法

(2-2)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ予防取り組み法の要約と目次)

(2-2-1)管理者層1位「客先クレーム処理」予防取り組み法

(2-2-2)管理者層2位「量試後のCD再検討」予防取り組み法

(2-2-3)管理者層3位「部下作成図書事後検図」予防取り組み法

(2-2-4)管理者層4位「品質改善活動」予防取り組み法

(2-2-5)管理者層5位「図面改廃処理」予防取り組み法

(2-2-6)管理者層6位「苦情処理解答」予防取り組み法

(2-2-7)管理者層7位「クレーム対策会議」予防取り組み法

(2-2-8)管理者層8位「設計案・試験結果NG再評価」予防取り組み法

(2-2-9)管理者層9位「現場からのクレーム処理」予防取り組み法

(2-2-10)管理者層10位「設計仕様・設計内容事後チェック」予防取り組み法

(2-3)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ予防取り組み法の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層1位「部下同僚作成図書事後検図」予防取り組み法

(2-3-2)リーダー層2位「客先クレーム処理」予防取り組み法

(2-3-3)リーダー層3位「苦情処理解答」予防取り組み法

(2-3-4)リーダー層4位「現場からのクレーム処理」予防取り組み法

(2-3-5)リーダー層5位「設計仕様・設計内容事後チェック」予防取り組み法

(2-3-6)リーダー層6位「クレーム対策会議」予防取り組み法

(2-3-7)リーダー層7位「品質改善活動」予防取り組み法

(2-3-8)リーダー層8位「設計案再検討、図面修正」予防取り組み法

(2-3-9)リーダー層9位「設計不良の後始末」予防取り組み法

(2-3-10)リーダー層10位「追加出図」予防取り組み法

(2-4)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「ベテラン層の心得と実務」(ベテラン層投入時間上位10テーマ予防取り組み法の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層1位「客先クレーム処理」予防取り組み法

(2-4-2)ベテラン層2位「部下・同僚・作成図書の事後検図」予防取り組み法

(2-4-3)ベテラン層3位「現場からのクレーム処理」予防取り組み法

(2-4-4)ベテラン層4位「検図による図面修正」予防取り組み法

(2-4-5)ベテラン層5位「設計仕様・設計内容事後チェック」予防取り組み法

(2-4-6)ベテラン層6位「設計案再検討、図面修正」予防取り組み法

(2-4-7)ベテラン層7位「量試後のCD再検討」予防取り組み法

(2-4-8)ベテラン層8位「追加出図」予防取り組み法

(2-4-9)ベテラン層9位「苦情処理解答」予防取り組み法

(2-4-10)ベテラン層10位「設計不良の後始末」予防取り組み法

(2-5)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「新人層の心得と実務」(新人層投入時間上位10テーマ予防取り組み法の要約と目次)

(2-5-1)新人層1位「現場からのクレーム処理」予防取り組み法

(2-5-2)新人層2位「検図による図面修正」予防取り組み法

(2-5-3)新人層3位「部下同僚作成図書事後検図」予防取り組み法

(2-5-4)新人層4位「設計仕様・設計内容事後チェック」予防取り組み法

(2-5-5)新人層5位「販売・取説・マニアル校正」予防取り組み法

(2-5-6)新人層6位「設計不良の後始末」予防取り組み法

(2-5-7)新人層7位「量試後のCD再検討」予防取り組み法

(2-5-8)新人層8位「客先クレーム処理」予防取り組み法

(2-5-9)新人層9位「苦情処理解答」予防取り組み法

(2-5-10)新人層10位「設計案再検討、図面修正」予防取り組み法

(2-6)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「協力者層の心得と実務」(協力者層投入時間上位10テーマ予防取り組み法の要約と目次)

(2-6-1)協力者層1位「検図による図面修正」予防取り組み法

(2-6-2)協力者層2位「設計仕様・設計内容事後チェック」予防取り組み法

(2-6-3)協力者層3位「設計案再検討、図面修正」予防取り組み法

(2-6-4)協力者層4位「DR指摘による仕様書・図面修正」予防取り組み法

(2-6-5)協力者層5位「量試後のCD再検討」予防取り組み法

(2-6-6)協力者層6位「部下同僚外注設計作成図書事後検図」予防取り組み法

(2-6-7)協力者層7位「図面改廃処理」予防取り組み法

(2-6-8)協力者層8位「追加出図」予防取り組み法

(2-6-9)協力者層9位「客先クレーム処理」予防取り組み法

(2-6-10)協力者層10位「設計不良の後始末」予防取り組み法

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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