設計力向上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ(2-0-3)設計力向上研究会(伊豫部将三)編
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
iyoblog(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第3章」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「総論・第三章」
設計の手戻り・後処理は具体的にどのように削減・予防して行くべきか?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
最も多くの時間を費やす作業から優先順位をつけて実施する
本章では、手戻り・後処理業務の削減・予防の具体策を紹介したい。
各階層共通、または特定の階層で最も時間を費やしている作業、あるいは各階層毎に最も時間を費やしている作業など、様々な角度からターゲットとなる作業を選定し、優先順位を着けて削減・予防策を立案・実施して行く。
どのような作業テーマから優先的に削減・予防を実施して行くべきか?
(1)どの階層のどの作業テーマに削減・予防の狙いを定めるべきか?
手戻り・後処理業務で最も時間を費やしている作業テーマは何か?、各階層別にその内訳を示すと表3.1のようになり、以下のような順位で時間が掛かっていることが判る。

第1位 ベテラン層「客先クレーム処理」
第2位 ベテラン層「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキョメント)の事後検図、出図前の点検・確認」
第3位 リーダー層「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキョメント)の事後検図、出図前の点検・確認」
第4位 ベテラン層「現場からのクレーム処理」
第5位 ベテラン層「検図による図面修正、手戻り、手直し」
第6位 協力者層「検図による図面修正、手戻り、手直し」
第7位 ベテラン層「設計仕様・設計内容事後チェック」
第8位 リーダー層「客先クレーム処理」
第9位 ベテラン層「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」
第10位 ベテラン層「量試後のコストダウン再検討」
その他、表3.1の16位までが、100人規模の開発・設計技術部門では、年1,000時間を超える手戻り・後処理作業テーマとなっており、削減・予防対策の実施を考慮すべき対象と言える。
なお実際の削減・予防策の立案・実施では、階層別のみならず階層横断的な以下のような実態も踏まえて、優先的に削減・予防に取り組むべき作業テーマと階層を決める。
(2)階層を問わず、多くの時間を取られている作業も考慮する
表 3.1 は、その右端に作業テーマ毎の各階層横並び合計時間を現わしている。
これによると階層を問わず、以下の業務に多くの時間が取られていることが判る。
第1位 ベテラン層「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」(20%)7,830H
第2位 ベテラン層「客先クレーム処理」(18%)6,850H
第3位 リーダー層「検図による図面修正、手戻り、手直し」(9%)3,510H
第4位 ベテラン層「現場からのクレーム処理」 (9%) 2,940H
第5位 ベテラン層「検図による図面修正、手戻り、手直し」 (8%) 2,610H
第6位 協力者層「検図による図面修正、手戻り、手直し」 (23%) 2,300H
第7位 ベテラン層「設計仕様・設計内容事後チェック」 (7%) 2,280H
第8位 リーダー層「客先クレーム処理」 (21%) 1,890H
第9位 ベテラン層「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」 (5%) 1,630H
第10位 ベテラン層「量試後のコストダウン再検討」 (5%) 1,630H・・・(以下省略)
手戻り・後処理時間の削減・予防取り組みでは、効果の大きい階層別合計時間を考慮しながら、まず作業テーマ別に合計時間の多い順位から着手する。ただし同じ作業テーマでも、階層によって対策法と効果は異なるので、年1人当り時間も考慮に入れて(表3.1の括弧内の時間)、個別に対応原則と実施方策を設けることが望ましい。
費やす時間の多い手戻り作業トップ10に対する削減・予防具体策
手戻り・後処理作業の内、階層を問わず費やす時間の多いテーマ上位1位~10位に対する削減・予防に対して、それぞれ削減・予防のポイントを以下に紹介したい。
ここで踏まえて置かなければならないのは、それぞれの削減・予防に対する原則と、それを日常の指導の中でどのように義務付けて行くかの方策を分けて取り組んで行くことである。
(1)「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」
削減・予防のための原則
① 管理者とリーダーは、やってはならない「原則不可項目」とする。
➁ 不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理に当らせる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
① 管理者とリーダーは、部下の不具合対応に原則手を出さない。助けない。
➁ 管理者とリーダーは、部内DR(Before DR=略称B-DR)で事前指導を徹底。
➂ 担当者の業務着手で必要な注意点は、全て事前に供与する。
④ 担当者の取り組み法が心配な場合には、管理者とリーダーが途中の巡回指導でカバーする。
(2)「客先クレーム処理」
削減・予防のための原則 止むを得ず客先へ説明で出向く時以外は、原則管理者が手を出さずリーダーと担当者へ移管すべき業務とする。
➁ 管理者は、リーダーと担当者の事前指導を徹底する。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・管理者とリーダーは、部下の不具合対応に原則手を出さない。助けない。
➁・管理者とリーダーは、部内DR(Before DR=略称B-DR)で事前指導を徹底。
➂・担当者の業務着手で必要な注意点は、全て事前に供与する。
④・管理者とリーダーが途中の巡回指導でカバーする。
(3)「検図による図面修正、手戻り、手直し」削減・予防のための原則
①・管理者とリーダーによる事前・途中指導の徹底。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理に当らせる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生者責任対応の原則で処理に当らせる。
➁・着手時から基本仕様とツールを同時確認する。
➂・判らないことは、勝手に判断せずリーダーと委託担当者に確認する。
④・管理者とリーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
(4)「設計仕様・設計内容事後チェック」
削減・予防のための原則
①・管理者とリーダーが、やってはならない「原則不可項目」とする。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理に当らせる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・管理者とリーダーは、部下の事後検図に原則手を出さない。助けない。
➁・管理者とリーダーは、部内DR(Before DR=略称B-DR)で事前指導を徹底。
➂・担当者のテーマ着手で必要な注意点は、全て事前に供与する。
④・担当者の取り組み法が心配な場合には、管理者とリーダーが途中の巡回指導でカバーする。
(5)現場からのクレーム処理削減・予防のための原則
①・管理者とリーダーが直接やってはならない「原則不可項目」。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理に当らせる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・管理者とリーダーが、部下の不具合対応に原則手を出さない。助けない。
➁・管理者とリーダーは、部内DR(Before DR=略称B-DR)で事前指導を徹底。
➂・クレーム発生原因者の製造知識再教育を実施する。
④・ツール化で対応可能部分は、ツール作成を指導する。
(6)量試後のコストダウン再検討削減・予防のための原則
①・DR時の担当者に対する事前指導不備のツケ払い。他の業務に優先して取り組みを義務付ける。
➁・着手時の基本仕様同時確認を担当者へ義務付ける。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・管理者とリーダーは、部下の不具合対応に原則手を出さない。助けない。
➁・管理者とリーダーは、部内DR(Before DR=略称B-DR)で事前指導を徹底する。
➂・担当者のテーマ着手で必要な注意点は、全て事前に供与する。
④・担当者の取り組み法が心配な場合には、①管理者とリーダーは途中の巡回指導でカバーする。
(7)設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼削減・予防のための原則
①・管理者とリーダーが、直接手を出さず担当者へ移管すべき内容。
➁・担当者の不備は、原則本人へ戻し対応、処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・止むを得ない場合を除き、対応は部下に委ねる。
➁・不具合は、原因発生者が回復責任の原則で対処する。
➂ 着手時から基本仕様とツールの同時確認を指導する。
④ 判らないことは、自分勝手に判断せず①管理者とリーダーに確認を要求する。
(8)苦情処理回答・フォロー業務削減・予防のための原則
①・止むを得ない場合を除き、管理者とリーダーがやってはならない「原則不可項目」とする。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理に当らせる。苦情処理は他の業務に優先して取り組むように義務付ける。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・管理者とリーダーは、部下の不具合対応に原則手を出さない。助けない。
➁・管理者とリーダーは、部内DR(Before DR=略称B-DR)で事前指導を徹底する。
➂・受注時客先と契約時合意した基本仕様で原則対応する。
④・顧客の過剰なサービス要求には、受注時契約内容の原則を堅持する。
(9)追加出図削減・予防のための原則
①・追加出図処理は過去のツケ払い。他の業務に優先して原因発生者が処理をする。
➁・不備発生時の後処理は、原因発生者責任で原則本人に処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・管理者とリーダーは、止むを得ない場合を除き、対応は部下に委ねる。
➁・不具合は、原因発生者が他の業務に優先して回復責任の原則で本人に処理させる。
➂・設計品が、基本仕様とツールの整合性を確認する。
④・管理者とリーダーは、不具合個所の設計根拠に裏付け検証有無を確認する。
(10)DR指摘による仕様書・図面修正削減・予防のための原則
①・管理者とリーダーおよび委託担当者による事前・途中指導の義務付けを徹底する。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理に当らせる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生原因者が回復責任の原則で対処する。
➁・着手時から基本仕様とツールを同時確認する。
➂・わからないことは、勝手に判断せず委託担当者に確認する。
④・委託担当者は、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
費やす時間の多い手戻り作業に対して該当する階層に即した対策ポイントを立てる
全ての階層を通して、手戻り・後処理に費やす時間が多い作業テーマの上位1位~10位に対する削減・予防に対して、該当する階層に即した対策ポイントを以下に紹介する。
(1)ベテラン層の「客先クレーム処理」削減・予防のための原則
①・クレーム対策は、過去のツケ払い。担当者は、他の業務に優先して回復処理に当る。
➁・不具合処理は、発生者責任の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生原因者が、回復責任の原則で対処。他の業務に優先して回復処理に当る。
➁・受注仕様を確認しながら着手と裏付け検証を義務着け化。
➂・判らない事は勝手に判断せず、管理者とリーダーに確認する。
④・再発防止対策は、裏付け検証を着けて残す。
(2)ベテラン層の「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキユメント)の事後検図、出図前の点検・確認」削減・予防のための原則
①・図面品質は、事後点検から重点を着手時同時確認へ切換え。
➁・管理者とリーダーは、Before-DRによる事前・途中確認を義務付ける。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・担当者は、他人の事後検図に頼らず、品質は原則自分で確保する。
➁・着手時から基本仕様とツールで同時確認する。
➂・判らない事は、勝手に判断せず、管理者とリーダーに確認する。
④・管理者とリーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
(3)リーダー層の「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキユメント)の事後検図、出図前の点検・確認」
削減・予防のための原則
①・リーダーが原則やってはならない対象業務。
➁・Before-DRによる事前・途中確認を義務付け、徹底する。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・部下の事後検図に原則手を出さない。助けない。
➁・リーダーは、課内DR(Before-DR)で担当者へ事前指導を徹底する。
➂・着手時必要な注意点は、全て事前に供与する。
④・担当者の取組み法が心配な場合には、途中の巡回指導でカバーする。
(4)ベテランの「現場からのクレーム処理」削減・予防のための原則
①・クレーム対策は、過去のツケ払い。担当者へ優先して回復処理に当らせる。
➁ 不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理に当させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生原因者が回復責任の原則で対処する。
➁・着手時から基本仕様とツールを同時確認する。
➂・判らないことは、勝手に判断せず、リーダーに確認する。
④・リーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
(5)ベテラン層の「検図による図面修正、手戻り、手直し」削減・予防のための原則
①・リーダーによる事前・途中指導の義務付け、徹底。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生原因者が回復責任の原則で対処する。
➁・着手時から基本仕様とツールを同時確認する。
➂・判らないことは、勝手に判断せず、リーダーに確認を義務付ける。
④・リーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化。
(6)協力者層の「検図による図面修正、手戻り、手直し」削減・予防のための原則
①・委託担当者による事前・途中指導の義務付け徹底。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・他人の事後検図に頼らず、品質は自分で確保する。
➁・着手時から設計ツールで確認しながら進めるように義務付ける。
➂・判らないことは、勝手に判断せず、委託者に確認を義務付ける。
④・委託者は、注意点の事前指導を遵守徹底する。
(7)ベテラン層の「設計仕様・設計内容事後チェック」削減・予防のための原則
①・リーダーによる事前・途中指導の義務付け徹底。
➁・図面品質は、事後点検から着手時同時確認へ切替える。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・他人の事後検図に頼らず品質は原則自分で確保するように義務付ける。
➁・着手時から基本仕様とツールを同時確認する。
➂・判らない事は勝手に判断せずリーダーに確認を義務付ける。
④・リーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
(8)リーダー層の「客先クレーム処理」削減・予防のための原則
①・クレーム対策は、過去のツケ払い。他の業務に優先して回復処理に当らせる。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・止むを得ない場合を除き、原則部下に委ねる。
➁・不具合は、原因発生者が回復責任の原則で対処する。
➂・受注時客先と合意した受注仕様で原則対応する。
④・過剰なサービス要求には、受注原則を堅持する。
(9)ベテラン層の「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼作業」削減・予防のための原則
①・リーダーによる事前・途中指導の義務付けを徹底する。
➁ 不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生原因者が回復責任の原則で対処する。
➁・着手時から基本仕様とツールを同時確認する。
➂・判らないことは、勝手に判断せずリーダーに確認する。
④・リーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
(10)ベテランの層「量試後のコストダウン再検討」削減・予防のための原則
①・事後のCD(コストダウン)対応は、クレームと同じ過去のツケ払い。他の業務に優先して目標達成処理に当らせる。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生原因者が回復責任の原則で対処する。
➁ 着手時から基本仕様とツール(方法書・手順書・基準書・手本図類)を同時確認する。
➂ 判らないことは、勝手に判断せずリーダーに確認を義務付ける。
④ リーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
<strong>年1人当りで多くの時間を費やしている手戻り作業に対して該当する階層に即した対策を立てる </strong>
年1人当りで費やす時間の多い手戻り・後処理作業の上位1位~10位に対する削減・予防に対して、該当した階層に即した対策ポイントを以下に紹介したい。
(1)リーダー層の「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキユメント)の事後検図、出図前の点検・確認」削減・予防のための原則
①・リーダーが原則やってはならない対象業務。
➁・B-DR(Before-DR)による事前・途中確認を義務付け、徹底する。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・部下の事後検図に原則手を出さない。助けな い。
➁・リーダーは、課内DR(B-DR)で事前指導を徹底する。
➂・着手時必要な注意点は、担当者へ全て事前に供与する。④ 担当者の取組み法が心配な場合には、途中の巡回指導でカバーする。
(2)管理者の「客先クレーム処理」削減・予防のための原則
①・管理者が直接手を出さず、リーダーと担当者へ移管すべき業務。
➁・管理者は、リーダーと担当者へ事前指導を徹底する。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・部下の不具合対応に原則手を出さない。助けない。
➁・管理者は、部内DR(Before DR)で事前指導を徹底する。
➂・業務着手で必要な注意点は、全て事前に供与する。
④・担当者の取組み法が心配な場合には、途中の巡回指導でカバーする。
(3)管理者層の「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキユメント)の事後検図、出図前の点検・確認」削減・予防のための原則
①・管理者がやってはならない原則不可項目。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・部下の不具合対応に原則手を出さない。助けない。
➁・管理者は、部内DR(Before DR)で事前指導を徹底する。
➂・業務着手で必要な注意点は、全て事前に供与する。
④・担当者の取組み法が心配な場合には、途中の巡回指導でカバーする。
(4)管理者層の「量試後のコストダウン再検討」削減・予防のための原則
①・DR時の担当者へ事前指導不備のツケ払い。
➁・着手時の基本仕様同時確認を担当者へ義務付ける。徹底する。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・部下の不具合対応に原則手を出さない。助けない。
➁・管理者は、部内DR(Before DR)で事前指導を義務付け徹底する。
➂・業務着手で必要な注意点は、全て事前に供与する。
④・担当者の取組み法が心配な場合には、途中の巡回指導でカバーする。
(5)リーダー層の「客先クレーム処理」削減・予防のための原則
①・クレーム対策は、過去のツケ払い。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・止むを得ない場合を除き、対応は原則部下に委ねる。
➁・不具合は、原因発生者が回復責任の原則で義務付け対処する。
➂・受注時客先と合意した受注仕様で原則対応する。
④・顧客の過剰なサービス要求には、受注原則を堅持して対処する。
(6)ベテラン層の「客先クレーム処理」削減・予防のための原則
①・クレーム対策は、過去のツケ払い。優先して回復処理に当らせる。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で義務付け処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生原因者が回復責任の原則で義務付け対処する。
➁・受注仕様を確認しながら着手を義務付け対処する。
➂・判らないことは、勝手に判断せずリーダーに確認を義務付ける。
④・再発防止対策には、裏付け検証を着けて残すように義務付ける。
(7)ベテラン層の「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキユメント)の事後検図、出図前の点検・確認」削減・予防のための原則
①・図面品質は、事後点検から着手時同時確認へ切替える。
➁・B-DRによる事前・途中確認を義務付け徹底する。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・他人の事後検図に頼らず、品質は原則自分で確保する。
➁・着手時から基本仕様とツール(方法書・手順書・基準書・手本図類)で同時確認して実施する。
➂・判らないことは、勝手に判断せずリーダーに確認する。
④・リーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
(8)協力者層の「検図による図面修正、手戻り、手直し」削減・予防のための原則
①・委託担当者による事前・途中指導の義務付けを徹底する。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・他人の事後検図に頼らず、品質は自分で確保する。
➁・着手時から設計ツール(方法書・手順書・基準書・手本図類)で確認しながら進める。
➂・判らないことは、勝手に判断せず委託者に確認する。
④・委託者は、注意点の事前指導を遵守徹底する。
(9)新人層の「現場からのクレーム処理」削減・予防のための原則
①・現場からのクレーム処理は、教育とツール不足のツケ払い。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・他人の事後検図に頼らず、品質は自分で確保する。
➁・着手時から基本仕様と設計ツール(方法書・手順書・基準書・手本図類)を同時確認しながら実施する。
➂・判らないことは、勝手に判断せず、委託者に確認する。
④・クレーム発生防止では、リーダーの製造技術基礎知識の再教育を実施する。
(10)新人層の「検図による図面修正、手戻り、手直し」削減・予防のための原則
①・リーダーによる事前・途中指導の義務付けを徹底する。
➁・不具合処理は、発生者責任対応の原則で処理させる。
具体的方策案(義務付け日常指導すべき事項)
①・不具合は、発生原因者が回復責任の原則で義務付け対処する。
➁・着手時から基本仕様と設計ツールを同時確認する。
➂・判らないことは、勝手に判断せずリーダーに確認する。
④・リーダーは、注意点の事前指導を徹底し習慣化する。
階層毎の手戻り業務の削減・予防具体策
階層毎の手戻り・後処理に費やす時間が多い作業テーマ上位1位~10位に対する対策ポイントを表3.2~表3.6にまとめた。階層毎の原則を良く踏まえた上で方策を立案することが重要である。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「引用文献」
・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・総論」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し本文も大加筆し不備部は訂正した。
・原本を入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを、何分宜しくお願い申し上げます。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「本文中記載の検索キーワード例」
「設計」 「手戻り・後処理予防」 「階層別」 「改善法」 「業務効率」 「効率把握4指標」 「価値形成業務」 「基盤整備業務」 「手戻り・後処理業務」 「補助業務」 「管理者層」 「リーダー層」 「ベテラン層」 「新人層」 「協力者層」「未熟なベテラン層」 「商品コンセプト作成」 「作業指示書および指示の為の資料作成・持ち帰り設計と打合せ」 「購入部品仕様検討・評価基準作成」 「市場・顧客要望調査・仕様確認」 「デザイン検討構想図作成」 「設計・裏付け試験検証プランニング・評価工程計画作成(評価基準書)」 「強度計算書作成」 「コスト試算」 「試験・試験評価報告書作成」 「個別ユニット・モジュール・部品デザイン検討」 「取説原稿作成」 「仕様変更による先行手配受注品構成表作成」 「WG活動」 「研修・展示会」 「展示会出品準備対応」 「予算・実績評価」 「委託先・取引先と事前打合せ」 「仕入れ品業者PR対応」 「QC委員会」 「特許調査」 「設計・製図・試験事前・途中指導」 「設計着手前前関係部署打合せ」 「DR1・DR2」 「加工・組立事前・途中指導」 「次世代製品検討会」 「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前点検・確認」 「客先クレーム処理」 「検図指摘による図面修正」 「設計仕様・設計内容事後チェック」 「現場からのクレーム処理」 「量試後のCD再検討」 「設計案再検討、図面修正」 「苦情処理解答」 「追加出図」 「DR指摘による仕様書・図面修正」 「品質改善活動」 「図面改廃処理」 「クレーム対策会議」 「設計案・試験結果NG再評価」 「設計仕様・設計内容事後チェック」 「設計不良の後始末」 「販売・取説・マニアル校正」 「量試不具合検討・再試験法打合せ」 「DR4・DR5」 「社内連絡文書(メール)作成」 「業務外(朝礼・組合活動・診療所・私用外出・トイレ・休憩)」 「工場間移動時間」 「試作・再試作・再試験依頼実験・データ採取」 「評価会準備」 「自己検図・承認手続き」 「ワークサンプリング表の記入」 「生産CODE振当制約条件修正・改訂に伴う工数含む」 「ワープロ入力」 「ファィリング・資料整理」 「製品構成表メンテ」 「構造解析計算」などがある。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「全体目次」
(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第1章」
iyoblog(2-0-1)「設計の手戻り・後処理の実態把握」
(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第2章」
iyoblog(2-0-2)「設計の手戻り・後処理の実態分析とその削減・予防取り組み法」
(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第3章」
iyoblog(2-0-3)「設計の手戻り・後処理の削減・予防取り組み法」
(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第4章」
iyoblog(2-0-4)「設計の手戻り・後処理のテーマ別発生実態および削減・予防取り組み法」
(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「総論・第5章」
iyoblog(2-0-5)「機械部品の寿命と信頼度の短期把握を可能にする加速試験方法」
(2-1)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「全階層の心得と実務」
(全階層合計投入時間上位10テーマ削減・予防取り組み法の要約と目次)
iyoblog(2-1-1)全階層1位「部下同僚作成図書事後検図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-2)全階層2位「客先クレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-3)全階層3位「検図による図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-4)全階層4位「設計仕様・設計内容事後チェック」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-5)全階層5位「現場からのクレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-6)全階層6位「量試後のCD再検討」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-7)全階層7位「設計案再検討、図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-8)全階層8位「苦情処理解答」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-9)全階層9位「追加出図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-1-10)全階層10位「DR指摘による仕様書・図面修正」削減・予防取り組み法
(2-2)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「管理者層の心得と実務」
(管理者層投入時間上位10テーマ削減・予防取り組み法の要約と目次)
iyoblog(2-2-1)管理者層1位「客先クレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-2)管理者層2位「量試後のCD再検討」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-3)管理者層3位「部下作成図書事後検図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-4)管理者層4位「品質改善活動」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-5)管理者層5位「図面改廃処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-6)管理者層6位「苦情処理解答」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-7)管理者層7位「クレーム対策会議」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-8)管理者層8位「設計案・試験結果NG再評価」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-9)管理者層9位「現場からのクレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-2-10)管理者層10位「設計仕様・設計内容事後チェック」削減・予防取り組み法
(2-3)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「リーダー層の心得と実務」
(リーダー層投入時間上位10テーマ削減・予防取り組み法の要約と目次)
iyoblog(2-3-1)リーダー層1位「部下同僚作成図書事後検図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-2)リーダー層2位「客先クレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-3)リーダー層3位「苦情処理解答」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-4)リーダー層4位「現場からのクレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-5)リーダー層5位「設計仕様・設計内容事後チェック」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-6)リーダー層6位「クレーム対策会議」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-7)リーダー層7位「品質改善活動」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-8)リーダー層8位「設計案再検討、図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-9)リーダー層9位「設計不良の後始末」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-3-10)リーダー層10位「追加出図」削減・予防取り組み法
(2-4)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「ベテラン層の心得と実務」
(ベテラン層投入時間上位10テーマ削減・予防取り組み法の要約と目次)
iyoblog(2-4-1)ベテラン層1位「客先クレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-2)ベテラン層2位「部下・同僚・作成図書の事後検図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-3)ベテラン層3位「現場からのクレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-4)ベテラン層4位「検図による図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-5)ベテラン層5位「設計仕様・設計内容事後チェック」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-6)ベテラン層6位「設計案再検討、図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-7)ベテラン層7位「量試後のCD再検討」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-8)ベテラン層8位「追加出図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-9)ベテラン層9位「苦情処理解答」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-4-10)ベテラン層10位「設計不良の後始末」削減・予防取り組み法
(2-5)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「新人層の心得と実務」
(新人層投入時間上位10テーマ削減・予防取り組み法の要約と目次)
iyoblog(2-5-1)新人層1位「現場からのクレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-2)新人層2位「検図による図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-3)新人層3位「部下同僚作成図書事後検図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-4)新人層4位「設計仕様・設計内容事後チェック」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-5)新人層5位「販売・取説・マニアル校正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-6)新人層6位「設計不良の後始末」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-7)新人層7位「量試後のCD再検討」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-8)新人層8位「客先クレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-9)新人層9位「苦情処理解答」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-5-10)新人層10位「設計案再検討、図面修正」削減・予防取り組み法
(2-6)設計の手戻り・後処理予防取り組み法「協力者層の心得と実務」
(協力者層投入時間上位10テーマ削減・予防取り組み法の要約と目次)
iyoblog(2-6-1)協力者層1位「検図による図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-2)協力者層2位「設計仕様・設計内容事後チェック」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-3)協力者層3位「設計案再検討、図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-4)協力者層4位「DR指摘による仕様書・図面修正」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-5)協力者層5位「量試後のCD再検討」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-6)協力者層6位「部下同僚外注設計作成図書事後検図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-7)協力者層7位「図面改廃処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-8)協力者層8位「追加出図」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-9)協力者層9位「客先クレーム処理」削減・予防取り組み法
iyoblog(2-6-10)協力者層10位「設計不良の後始末」削減・予防取り組み法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「筆者略歴」
1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。
著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・