DR-0(商品開発企画の仕様書と構想段階)の取組み法と現状実態・事例(3-0-2)

iyoblog (3-0-2)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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iyoblog (3-0-2) 第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

「 1・開発仕様書とDR」

 前項で記載した図 3-3 「手戻り・後処理実態例」の ③ で示す商品・製品引渡し前立会い時に客先指摘で改造や追加製作を発生させている「手戻り・後処理8%」を節減・予防するには、着手する開発・設計仕様書に機能テーマ項目抽出で抜けが生じない様に、普段から先行着手済の類似商品開発・新製品設計時に標準基本仕様書をキチンとまとめて置く習慣が大切となる。

 商品・製品基本仕様書では、①・要求機能、②・要求性能、③・要求特性、④・要求設計条件、等の必要テーマ項目とそれぞれで達成すべき目標数値を洩れなくキチンと事前に抽出・列挙して示す事が大切である。

①・要求機能では、それぞれの商品・製品にしか存在しない「固有・特有機能」と、どんな商品・製品(材料を使うハードな商品・製品だけでなく、パソコンのソフト、レストランなどの接客サービス業務などに対して)でも必要な「共通・共有機能」が存在する。

図 3-4へ商品・製品に於ける要求機能部分だけを抽出した「自転車の機能系統図例(部分)」を参考までに示す。

要求機能の抽出では、用途・目的・働きをイメージすると判り易い。

②・要求性能では、抽出した機能を文言で例えば、「軽い力で、速い速度で、剛く壊れ難い、小型で、高齢者や子供でも扱い易く……」などで目標性能を表現する。

③・要求特性では、抽出した性能をどんな物理的単位または数値で管理または表すべきか?を考えて示す。例えば、ハンドル操作は10 N( ニュートン)以下の力で操作できる事。ペダルの初動踏込み力は、100 N以下の力でスタートできる事。ハンドブレーキ力は、速度20 km/時でも10 N以下の力で1 m 以内に停止できる事…などと表現する。

 ④・要求設計条件では、達成すべき目標寿命年数値、寿命経過時点の確保すべき信頼度値を数値で示す。例えば、消耗部品を含む全ての部品は、最低1年以上の寿命値を確保、併せて信頼度値は99.994 %( 注・正規分布に於ける±4σ値の5桁分布確率値)以上を保証できる事。フレーム、ハンドル系操作・操縦装置、ペダルを含む駆動系・動力伝達系装置、走行車輪系装置、ブレーキ系装置、サドルおよび荷台系搭載装置などの主要構造部分では、エンドユーザーに対し耐用年数を最低10年以上の寿命を確保、保証できる事。また10年間使用後の信頼度値は、99.5 %以上( 200台の出荷に対し199台以上にまだ残存寿命が有る事)を確保、保証できる事…などである。

参考までに、表3-3へ「自転車の基本仕様(要求機能・性能・特性)項目抽出例(要求設計条件部分を除く)」を示す。

  • 「 2・構想図作成とDR

「開発仕様書(案)が確定したら構想図(案)の作成へ取組む

 構想図案作成上で大切なことは、試作検証を必要とする開発品部分と組合せとなる既存設計品部分を含め、量産試作段階へ進んでからコスト見直しが必要となり手戻りする事態を招かない様に、比較できる複数案の同時作成へ取組む事が重要である。

この場合に横並び比較できる構想図案は、原理・方式・構造・形状・材料・工作法の違いを含めできるだけ数多く用意する事が望ましい。そして横並び比較の中で性能面だけでなく、コスト試算して各案のメリット・デメリットの違いを明らかにする事である。

 これは、当初の仕様書案中で示された目標コストが検証用試作品着手段階から達成できる様に取組む事の大切さを強調したいためである。

筆者が関与体験した中に目標コスト未達で赤字のまま上市(発売開始)し、1年後に技術的不具合クレームで全品回収止む無しに至り 100 億円近い損害を出した某企業から、開発取組み時から目標コスト実現方法について担当者教育支援要請の相談を受けた事がある。

当時その企業が赤字のまま上市に踏切ったのは、新規開発した商品機能と目標販売価格(プライス)設定で参入する市場の一定比率シェアを短期間に確保し、短期間に投資費用を回収、長期的には利益を十分確保維持できると営業提案を経営者が鵜呑みにした事である。

現実には販売台数が営業の読み通りに推移して喜んだが、短期開発で急がれ機能上の技術検証不備と一部試験の欠如が致命欠陥となりクレーム発生へと繫がった。

そのため赤字販売の上に回収・全数交換が必要となり、大幅な損失の計上に至ったものである。

開発時に必要な技術検証が不完全で有った事と併せ、目標販売価格に対し原価赤字のまま販売に踏切った事が災いとなった例である。

 このことからDR指導では、開発段階から目標コスト(製造原価)達成は必須条件とする。同様に開発品の機能検証実施では、DR指導に当たっては絶対的に手抜き省略してはならない事を必須条件とする事が大切となる。

以上からDR-1の事前または途中指導効果は、図 3-3で示す「手戻り・後処理のステージ別時間発生率実態例」中の ③ ・「検収・出荷前の手戻り・後処理 8 %」で有る仕様書不備に伴う手戻り・後処理時間の殆どを節減・予防する効果が期待できる。

また同時に多くの製造企業で売上げの1 %を占める製造仕損の発生実態が有り、その中で客先要求仕様不備・欠如指摘に伴う凡そ 20 %が設計改造と部品追加購入費用発生を伴い設計責任となる現実がある。

このため DR-0 の仕様書作成時の DR 事前または途中の指導効果は、同時に売上の凡そ 0.2 %近い製造仕損費用節減・予防する効果も期待できる内容を含む。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「検索キーワード」

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-39)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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