ベテラン層「客先クレーム処理」投入時間・事例第 1 位(2-4-1)

iyoblog (2-4-1)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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ベテラン層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 1 位「客先クレーム処理」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-31-1へ ベテラン層「手戻り・後処理投入時間上位 10 テーマ」の年間浪費時間実態例を示す。

また図 2-31-2 へ ベテラン層同上位 10 テーマ毎の 1 人当り年間浪費時間を示す。

更に図 2-31-3 へ ベテラン層手戻り・後処理投入時間第 1 位「客先クレーム処理」の階層別年間浪費時間と占有率を示す。

同じく図 2-31-4へ 同テーマの階層別1人当たり年浪費時間と占有率を示す。

同じく表 2-31 へ本テーマの予防取組みで必要な対応原則法例を示す。

 本テーマが、ベテラン層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 24 %。ベテラン層の手戻り・後処理業務比率は、32 %。勤務時間に対しては、7.7 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.077 = 37 分/日 )となり、ベテラン層全員が、休み無し状態では、略毎日 37 分を本テーマへ振り向けている実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 41.9 分/日・人となり、実質ではベテラン層全員が略毎日 42 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門ベテラン層は、年間 7,834 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この時間値は、常時4名近い人数を本テーマだけのために費やしていると置き換えて見る事も可能である。

これを何とか減らさなければならない。危機感を持つ必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 筆者は関与先技術部門診断で調査結果を分析する手段として対象者がどの階層に所属するか? を5階層に分けている。①・部課長職者の管理者層、

➁・係長・主任職クラスのリーダー層、

➂・入社4年以上のベテラン層、

④・入社3年以内の新人層、

➄・構内協力者層である。

しかし実際に DATA を集め分析すると、ベテラン層を更に2つに分ける必要を感じている。

理由は、ベテラン層の中に成熟したベテラン層と、未熟なベテラン層(ベテラン層の凡そ30%を占める人達)が混在していることである。

成熟したベテラン層とは、傾向として大体が 10 年以上の一人前の経験者で品質問題を殆ど起こす事なく素早く卒なく日程やコスト目標を達成、消化する。

一方未熟なベテラン層は、5~10 年以上の経験を持ちながら、年に数回検図を擦り抜けるポカミスを長期に渡り繰返し出し続ける人達である。

従って筆者は、本稿の中で両者を敢えて区別し説明している。

本テーマの原因発生者の略 70 %が、未熟なベテラン層担当者である。

本テーマが発生した場合未熟なベテラン層は、客先へ直属上司の管理者またはリーダーと一緒に原因発生担当者として出向き、お詫びを伝え真摯に向き合い必要な回復措置に当たる。

また同じクレームを繰返し出さない様に設計改善策を客先へも伝え、即対策の実行に当たる。

ここで設計改善策を即実行する必要は、クレーム内容が設計不具合に起因する損傷で部品交換を必要とする場合に、客先で不具合を起こす前に事前交換可能な部品寿命の把握体制を確立する事を言う。

言い方を変えると、クレーム原因発生者による設計部品では、寿命が1年と持たない設計を実施している事に気付かず、且つ検証も殆ど行なわずにいた状態を、周囲が指摘、改善できずに推移した結果と見做し対応する必要がある。

何故各製造業設計技術部門のベテラン層が、本テーマだけの為にこれだけ多くの時間が繰り返し投入され続けているのか? 診断DATA解析結果で言うとベテラン層の中に略 30 %相当の未熟なベテラン層が各社に混在し、本テーマの主な原因発生者となっている。

この人たちを如何に基礎から再教育し改善を進めるか? が、本テーマ削減と予防には、極めて重要で効果的ある。

これには、同時に開発・設計時の客先クレーム防止に必要な品質作込み設計法に問題があると考え、管理者層、リーダー層、成熟したベテラン層を含めて一緒に対策法を検討し、着手する必要がある。

先に触れた検図を擦り抜けるポカミスとは、機械部品で具体例を挙げると、段付効果と呼ぶ急激な肉厚変化を伴う段付き部品では、隅コーナー部に応力が集中し破損する。

溝効果と呼ぶOリング溝、C型止め輪溝、キー溝底部隅の応力集中、穴明き効果と呼ぶ軸直角方向に明けた径の大きな貫通穴、パイプの径を無視した横穴、軸方向に明けた止まり穴奥部リセス(逃げ用奥内側寸法拡大)加工による肉厚変化部の応力集中による破損。

また同時にこれらの形状では、熱処理焼入れ冷却時の肉厚差部分で冷却速さが異なり割れが生じ易い。

これらが部品として組込まれると、使用開始後短期間に損傷、破損、クレームの直接原因となる場合が多い。

前記真の原因は、原因発生者の形状設計知識と材料や熱処理知識不足等に起因する。

「改善点と予防取り組み法」

 本テーマの予防法は、極めて簡単である。

今までと異なった形状に新規設計された部品は、必ず試作品を製作の上、寿命試験を実施する。設計上の許容基準負荷を疲労限度値で 100 %と設定した場合には、116 %値の負荷を掛ければ、所要期間を 10 分 1(疲労試験を平均値 20 万回)へ短縮して寿命把握が可能になる。

同様に 135 %値の負荷を掛ければ 100 分 1(疲労試験を平均値 2 万回)へ短縮して寿命把握が可能になる。

つまり開発、新規設計着手時点で機械装置を構成する部品寿命をきちんとその場で把握すれば良い。

前述客先クレームを起こす不具合原因最大の理由は、未熟なベテラン層担当者が自分で設計した機械装置部品類の寿命値と経過期間毎の信頼度値(同時に不具合発生確率値)の裏付けを事前把握出来ていない、または実施しない結果である。

部品寿命が開発、設計時点で予め把握できていれば、客先で不具合発生前に交換の必要をアナウンス(事前連絡)できる。

これが出来ていない結果、不具合を起こしクレームとなる。

この簡単な原理・論理・方法と現象が、未熟なベテラン層担当者と直接指導に当たる管理者層、リーダー層、成熟したベテラン層を含めた関係者が従来から理解し、キチンと実施させていないからに他ならない。

「予防取り組みの改善効果」

 客先にとって予期しない状況下で突然の機能停止、稼働不能となれば、クレームとせざるを得ない状態となる。部品寿命の事前把握は、クレームの防止、つまり予防には必須要件である。

 本テーマ件数を根本的に減らしたい、予防したいと望む場合には、まず機械装置構成部品の寿命値と信頼度値を開発、新規設計着手時点できちんと把握する。これを確り義務付けする。

つまり寿命値を把握していれば、客先に納めたどの製品のどの部品では、稼働開始から何時間または何日経過したら不具合に至るか、発生前に必要部品を交換すれば良いか? の判断と、客先に対する事前の交換時期アナウンスが可能となる。

大事なことは、寿命試験を必ず未熟なベテラン層担当者へ義務付け実施する。

また把握した部品交換時期を客先へ製品納品時、または不具合発生前に必ず連絡しておくことである。

これにより、客先クレームを劇的に減らし、予防が可能となる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・リーダー層投入時間1位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」公開済み

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」公開済み

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」公開済み

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」公開済み

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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