ベテラン層「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」投入時間・事例第 2 位(2-4-2)

iyoblog (2-4-2)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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ベテラン層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 2 位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-32-1 へ ベテラン層手戻り・後処理時間第2位で「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」テーマの階層別年浪費時間と占有率を示す。

また図 2-32-2 へ同テーマの1人当り年浪費時間と占有率を示す。

更に表 2-32 へ本テーマ予防取組みで必要な対応原則法例を示す。

 本テーマが、ベテラン層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 21 %、ベテラン層の手戻り・後処理業務比率は、32 %。

勤務時間に対しては 17.6 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.0.067 = 32.2 分/日 )となり、ベテラン層全員が休み無し状態では、略毎日 32 分強を本テーマへ振り向けている実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定する 36.7 分/日となり、実質ではベテラン層全員が略毎日 37 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門ベテラン層は、年間 6,854 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この投入時間値は、常時3名を超える人数が本テーマだけの為に費やされていると置き換え見る必要がある。

これを何とか減らさなければならない。危機感を持つ必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 何故ベテラン層が、本テーマ(部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認)だけの為に、前掲した多くの時間を発生させる必要があるのか? 

第1の要因は、成熟したベテラン層が、未熟なベテラン層、新人層、構内協力者層と持帰り外注設計者層の直接出図前検図点検に当たる時間が大きな負担となる結果である。

本テーマの消化時間比率は、未熟なベテラン層1に対し成熟したベテラン層 1.5 倍以上の差がある。

その中でも負担比率を高める役割が、未熟なベテラン層の人達の存在である。

ベテラン層の中で検図を擦り抜けて出図後に製造クレームや市場クレームの原因発生者のおよそ70%をしめるのが未熟なベテラン層である。

この人達は、ベテラン層の凡そ 30 %を占める経験 10 年以下の未熟なベテラン層である。

問題点は、成熟したベテラン層が注意を払った積りで検図しても製造クレームと市場クレームを中々見付け切れない事である。

その理由は、成熟したベテラン層は自分で消化しなければならない設計案件を何時も同時複数抱えながら他の人達の検図も行っている。

そのため実を入れて充分対応仕れていない事が大きい。

第2の要因は、未熟なベテラン層、新人層、構内協力者層、持帰り外注設計者層へ直接業務委託時に、必要な図面品質確保指導法に不備がある。

ここで不備とは、不注意の間違い等の本人が注意していれば防げる間違いを防ぐ様に厳しく指導仕切れていない事である。

特に構内協力者層と持帰り外注設計者層に対しては、契約書に痂疲へ賠償条項を記載するだけでなく、その都度依頼時に繰返し強調して要求する事が必要である。

その際効果の挙がる方法は、特に注意して貰いたい項目を列挙したメモを契約付属書として渡し、依頼の都度受託者へサインを求めると良い。

これは、筆者が診断で関与した多くの企業で関係者全員へヒアリングした際、依頼者は「受託者が依頼通りに実施して呉れない。」、受託者は「依頼されてない事を実施してないと言う。」相反した異見に多く遭遇した事である。

その際、依頼者は特に注意を払って貰いたい事項はメモに記載して受託者へ渡し、そのメモへ依頼者、受託者双方がサイン(署名)する様に助言し、その後の依頼者による事後点検時間を大幅に短縮した経緯がある。

「改善点と予防取り組み法」

成熟したベテラン層を中心に本テーマへ投入時間発生は、本来望ましいことでは無い。できれば、減らしたい。そして無くしたい。

 筆者が知る多くの設計技術部門では、最終出図承認までに通常 3 回検図を実施している例が多い。

1 回目が通常同僚レベル者または未熟なベテラン層による検図、2 回目が成熟したベテラン層またはリーダー層検図者、3 回目が出図承認権を持つ管理者層またはその代理者による最終検図の 3 段階である。

出図承認権を持つ管理者層前の 2 回目の成熟したベテラン層またはリーダー層検図者は、細部まで見ない場合もあるが、出図後や出荷後に手戻り・後処理が多い担当者に対しては特に注意してかなり細部まで目を通す傾向がある。

そのため成熟したベテラン層の本テーマ時間が中々減らない、減らせない現実がある。

成熟したベテラン層が、未熟なベテラン層、新人層、構内協力者層を含む担当者全員の最終出図承認印をリーダー経由で管理者層へ押印して貰う前に、作成者本人が注意していれば防げる簡単な記載洩れ等の内容項目検図は、ベテラン層が出図前事後点検せず済む様徐々に仕組みを切り替える。

ここでベテラン層が出図前の事後点検せず済む仕組みとは、本人で確保できる出図図面品質は本人へ確保させ、他人へ依存しない様に義務付け、取組ませる事を言う。

検図時に見付けられる図面不備、欠陥、間違い内容と形態には2種類有り、1つは判断の間違い、もう1つは不注意の間違いである。

 判断の間違いを防ぐには、知らない事を根拠も無しに勝手に判断しない、させない。

先輩、上司、専門に詳しい人に訊ねる。

前例、類似の先行製品事例、図面類を調べる。

裏付け根拠となる文献を調べる。

試作、試験で根拠となる DATA を採取する。

その上で成熟したベテラン層、リーダー層の確認、了解を得てから設計に採り入れる習慣を義務付ける。

 一方不注意の間違いは、本人が注意すれば防げる間違いで有る。

他人に検図負担を掛けずに済む様に、本人が責任を持って防止へ努力する。

これを義務付け、習慣化できる迄、繰り返し徹底する。

「予防取り組みの改善効果」

 未熟なベテラン層、新人層、構内協力者層、持帰り外注設計者層への委託でも、本テーマを減らす上での確保すべき注意点は、後から指摘して直させる方式は止め、原則事前指導方式へ切り替える。

これにより、出図前点検と納入時の受入れ点検を原則軽減できる体制を徐々に構築する。

また本人が判らない、判断が着けにくい項目が見込まれる内容部分には、社内担当者だけでなく持帰り受託者に対しても教育は多少の金額を負担してでも実施する。

方法書、手順書、基準書、手本図、規格等の資料類を整備、構築しながら原則可能な情報全てを提供する。

また定期巡回による事前指導方式も実施する。

これらの積み上げが、未熟なベテラン層だけで無く、全階層から出図前検図負担を軽減する。

そのため本人で確保できる図面品質は、原則本人へ確保させ、周囲がこれを助けない。

原則本人自身で図面品質確保へ責任を持って行う様に仕向ける。

基本原則は、事後点検で設計図面品質を確保することでは無く、あくまで事前指導実施を義務付け対応する。

これらの実行により、主として成熟したベテラン層の本テーマ負担の軽減化が徐々に実現可能となる。

これに伴いその他の階層の本テーマ関係軽減も実現する。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・ベテラン層投入時間2位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」公開済み

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」公開済み

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」公開済み

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」公開済み

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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