ベテラン層「現場からのクレーム処理」投入時間・事例第 3 位(2-4-3)

iyoblog (2-4-3)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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ベテラン層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 3 位「現場からのクレーム処理」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-33-1 へ ベテラン層手戻り・後処理時間3位で「現場からのクレーム処理」テーマの全階層浪費時間と占有率を示す。

また図 2-33-2 へ 同テーマの 1 人当り年浪費時間と比率を示す。

更に表 2-33 へ 本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を示す。

 本テーマが、ベテラン層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 9 %、ベテラン層の手戻り・後処理業務比率は 32 %から、勤務時間に対しては 2.9 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.029 = 13.9 分/日 )となり、ベテラン層全員が休み無しでは、略毎日 14 分弱を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 15.7 分となり、実質ベテラン層全員が略毎日 16 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門ベテラン層は、年間 2938 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この投入時間値は、常時 1.5 名相当の人員が本テーマだけの為に費やされていると置き換え見る必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 ここで本テーマの現場(=製造とライン)からのクレーム処理が、未熟なベテラン層を中心に何故発生するか? これが、問題である。

本テーマの原因発生者の 85 %は、未熟なベテラン層(ベテラン層の凡そ 30 %を占める人達)である。

理由は、製造基礎技術知識を殆ど知らないか、全く無視して設計する為である。

原因の大部分が、次に挙げるケースである。

 第1のケースは、図書出図前検図段階で検図者が見付けられず、製造部門で加工着手前に判明する図書記載で指定された材料・材種が入手できない場合。熱処理を含めた各種メッキ処理、化成処理、ショットピーニング処理、等の表面処理が実施できない場合。

ぼかし加工(鋭角部から丸へ形を徐々に変化させる等)、特殊形状溝・隅・穴・リセス・段付き、等複雑形状加工ができない場合。

求められる位置決め寸法公差、平面度・真円度・円筒度・直角度、等の形状公差で精度確保できない場合。

長さ、幅、高さ、深さ、直径、等で保有設備技術上一体加工できず分割加工が必要な場合。

捨て加工しても加工基準、測定基準が取れない場合。

組立、結合、締結、分解、仕上げ処理、面粗さ加工作業ができない場合。

指定された鋳造、鍛造、溶接法、高周波焼入れ、厚肉品溶接後のガウジング(溶接不具合部除去と再溶接処理)、前処理、後処理作業等ができない場合、等である。

 第2のケースは、加工、製作へ着手してから判明する図面指定通り完成できない場合である。

鋳造品を加工してから巣が見付かり、粗材の肉厚形状変更で再鋳造が必要な場合。

材種と肉厚変化部で熱処理時の焼入れ部深さが確保できず、また割れ等が発生し材種と肉厚および形状変更が必要な場合。

溶接時割れが発生し形状、肉厚差や材質変更が必要な場合、等である。

これに対する成熟したベテラン層の役割は、製造部門または生産委託の取引先へ原因発生者である担当者を伴い出向き、真摯に向き合い必要な製造技術面の図面訂正処理を即行うと共に、同じ内容の製造クレームを他のチームを含む未熟なベテラン層間で繰返し発生させない様に設計改善策(再教育の実施、資料化配布、事前巡回指導および広報活動展開)を即実施する。

ここで設計改善策を即実施する意味は、製造クレーム内容が設計不備に起因する図面差替えを必要とする場合に、製造・ラインクレームで不具合を起こす前に事前対応可能な製造技術上の教育、経験則の資料化配布、事前巡回指導および過去の製造クレーム内容紹介する広報活動体制を構築する事を言う。

「改善点と予防取り組み法」

 前述第1と、第2ケースで示した製造クレーム処理対象項目を出図図書から減らし、予防するには、成熟したベテラン層の協力で未熟なベテラン層へ直接指導、資料提供と再教育を何処で、何時行うべきか? を考え適切な対応法を実施する必要がある。

 本テーマによる製造クレーム発生防止では、また基本設計時と詳細設計時の両面から対処する必要がある。

基本設計面では、製品仕様を満足させる要求機能、性能、特性、設計条件充足上で選択した原理、方式、構造、形状、材料、等の組合せ案をどうしても製作面から他へ変えられない場合がある。

一方詳細設計面では、製造技術面からバラツキをできるだけ少なく安定して、且つコストをできるだけ安く設定できる製造法選択面から部品設計を行う。

従ってここでは、出図後の製造部門からのクレーム処理を如何に減らし、予防するかの観点に焦点を合わせれば、出図図書作成面から担当者指導と教育および必要な経験則の資料整備は、詳細設計時に重点を置いて取組む必要がある。

 設計プロセス全体で手戻り・後処理発生時間を見ると、出図後の製造クレームの手戻り・後処理時間は 23 %発生の各社共通実態がある。

これらを考えると本テーマ取組みは、23 %の内未熟なベテラン層が発生させている約 70 %近い手戻り・後処理削減と予防へ直結する。

その原因は、担当者の製造技術知識不足から発生する着け払いと考え対処する必要がある。

以上から本テーマ時間を減らし、予防するには、未熟なベテラン層の製造技術基礎知識向上教育へ優先して取組む必要と、知識修得までの不足を補う資料類整備、および管理者層、リーダー層、成熟したベテラン層分担による事前、途中の未熟なベテラン層へ重点的に定期巡回指導実施法を決め、即実施対応を強化する必要がある。

「予防取り組みの改善効果」

 製造技術基礎知識修得教育には、時間が掛かる。

対象は未熟なベテラン層(製造クレームを繰返す勤続10年以内の人達の再教育実施)が主対象となる。

前記担当者に引き続き長年勤続して貰う事を前提に考えれば、年 600 時間( 3 H/日 × 200 日/年 = 600 H/年 )を3年間続け、じっくり修得して頂く積りで取組む事を勧めたい。

 修得教育までの期間を埋める手段として、リーダー層と習熟したベテラン層を中心に資料整備も同時に進め、完成した分から即活用配布を進める。

 修得教育と資料整備の不備を補う手段として、管理者層、リーダー層、習熟したベテラン層(勤続 10 年以上の問題発生が殆ど無い熟練者が対象)分担による未熟なベテラン層である詳細設計担当者に対する毎日、午前、午後の定時、定期巡回指導を交代で実施する。

これらの実施繰返しにより、本テーマで現場からの製造クレーム処理の削減、予防を進める。目標は 1 年で半減化、2 年で 4 分の 1 化、3 年で 8 分の 1 化、等で取組み確実に実現する迄根気良く続ける強い決意が必要である。

これらの努力により、ドラスチックに本テーマ時間が削減する。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・ベテラン層投入時間3位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」
(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防
60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

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(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

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(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

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(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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