ベテラン層「追加出図」投入時間・事例第 8 位(2-4-8)

iyoblog (2-4-8)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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ベテラン層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 8 位「追加出図」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-38-1 へ、ベテラン層手戻り・後処理投入時間第 8位で「追加出図」テーマの階層別浪費時間と占有率を示す。

また図 2-38-2 へ、同テーマの 1 人当り年浪費時間と占有率を示す。

更に表 2-38 へ、本テーマ予防取組みで必要な対応原則法例を示す。

 本テーマが、ベテラン層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 4 %、ベテラン層の手戻り・後処理業務比率は、32 %。勤務時間に対しては 1.3 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.016 = 6.2 分/日 )となり、ベテラン層全員が休み無し状態では、略毎日6分強を本テーマへ振り向けている実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると、実質ではベテラン層全員が略毎日7分を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門ベテラン層は、年間 1306 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この投入時間値は、常時 1 名が毎日5時間13 分相当ずつの人員が本テーマだけの為に費やされていると置き換えて見る必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 本テーマ(追加出図)に対する成熟したベテラン層の役割は、自身および未熟なベテラン層が直接追加出図作業せねばならない状態を少しでも減らし、且つやがて無くす事である。

本テーマの時間発生の実態は、その殆どと言って良い状態で 90 %を超えて未熟なベテラン層を中心に偏って発生させている現状がある。

成熟したベテラン層担当者が発生させる場合とは、自身が不測の病気入院や交通事故で突発的に消化できなくなった場合か、持帰り外注設計者へ委託した案件テーマで同じ様な理由で稀に発生させる場合が生ずるのみである。

つまり通常は、未熟なベテラン層担当者が取組んだテーマで、発生する場合が殆どである。

前記理由は、未熟なベテラン層担当者が着手当初以前のテーマで取組んだ不具合処理、フォローとしての手戻り・後処理作業が発生する等で、次に取組むテーマで出図納期が守れない場合が多い。

これは、多くの企業で未熟なベテラン層担当者も同時並行的に複数のテーマへ取組んでいる状態が多い為である。

単純に考えれば、担当者が取組むテーマが1つのみで、前に着手したテーマの後処理が完全に終わり手離れしてから、未熟なベテラン層担当者の能力へ合わせた所要工数見積りと日程設定をやり直してから次のテーマへ着手できれば、本テーマの発生を減らすことは可能となる。

「改善点と予防取り組み法」

 ここで本テーマの追加出図が何故発生するか? と言えば、着手テーマ毎の当初所要工数見積りと出図日程計画設定方法に問題があると考え、見直しする必要がある。

なお見直しの中では、納期短縮による開発・設計と製造を要望する営業や顧客要望へ応える開発・設計期間短縮手段と手法開発へ日頃から取組む努力が同時に必要である。

出図納期は何から決まるか? と言えば、第1の条件は、顧客要望による納品日程から製造所要期間を逆算して設定される。

問題は、受注が確定し設計着手から出図納期までの期間内に見積り設計所要工数を山積みし、消化できる必要投入時間と人員が社内と持帰り外注設計活用を含めて確保できるか? どうか? の検討が必要となる。

第2の条件は、必要設計所要工数見積り分を確保できる人員面から所要期間と必要製作期間を設定し、顧客側へ納品する日程を提示して了解を得てから受注を確定させる事が可能か? である。

これは、期限が無い自主開発テーマでなら可能かも知れないが、現状で市場競争が激しい多くの民間企業現場では、現実には有り得ない、難しいと考えるのが自然である。

 判り易く言うと着手当初から図書出図まで設計着手と設計品の裏付け検証、出図図書作成所要工数見積りが当初着手すべき内容項目に洩れ、抜けが無い様キチンと把握されているか? 担当する未熟なベテラン層や持帰り外注設計受託者が消化できる習熟度に合わせた工数見積りか? が判明してから、日程設定へ取組む事が可能か? が問題となる。

むしろこれらが実現不能な状態の中で本テーマが繰返し発生している現実がある。

また工数見積り不備で所要工数不足状態で出図納期として日程計画を無理に設定すると、後から納期遅れに伴う追加出図が避けられず発生する。

 また営業を経由して客先要望から納期が決められ、期間内の工数山積みを消化できる必要投入時間と人員が持帰り外注活用を含めて確保できない場合には、納期遅れが避けられない。

この場合にも、納期遅れで追加出図発生が当然避けられない。

 更に成熟したベテラン層が見積り、習熟度の低い未熟なベテラン層担当者や持帰り外注設計等に業務委託すると、手戻り・後処理が多く消化不良を起こし納期遅れで追加出図の原因となる。

 他に不備の多い設計内容のまま出図後の製造クレームで当初の設計案のままでは工作、加工または製造できず、再設計、追加出図となる場合もある。

その他、当初は所要工数見積りと設定した日程計画通り順調に完成させたと思っても、立会時に客先から仕様洩れを指摘され、予期せぬ追加出図を伴う追加設計へ着手せざるを得ない不測の事態が発生する場合も多く存在する。

「予防取り組みの改善効果」

 本テーマに対する一番の解決法は、その都度繰返し新規着手すべき設計内容項目部分と量を如何に上手に減らして対応できる様に工夫するか? が大切となる。

その方法論は、(1)・そのまま使える市販標準品類の活用比率を高め、新規製作品は必要最小限に抑制した設計内容にする。

(2)・同時に機能要素、素子単位毎および複数部品で構成する機能モジュール、機能ユニット類の標準図類を日頃から構築、蓄積し、これらを活用し新規図面作成を極端に減らし設計工数を削減する。

新規設計品用に作成した設計図書は、喩え1品しか製作しない場合でも機能要素別の標準図書化する。

(3)・新規設計製作品で発生する必要な裏付け検証試験作業は、加速試験で期間を100分の1まで縮めて検証を実施する。

これらを積み上げる事で、見積り工数と所要期間は据え置いたままの状態で、従来減らなかった納期遅れを少しでも減らす。

取組み法としては、削減目標を1年で2分の1化、2年で4分の1化、3年で8分の1化を設定し取組む。

なお削減した実工数と所要期間へ見積り法を修正するのは、これらの方法で品質問題が発生しない事を充分確認してから実施移行する。

従来と異なる取組み法へ変える場合には、検証期間確認期間が必要となる。これらの取組みを実行する事で、少しずつ本テーマの削減が実現可能となる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・ベテラン層投入時間8位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」
(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防
60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」公開済み

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」公開済み

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」公開済み

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」公開済み

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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