リーダー層「設計仕様・設計内容事後チェック」投入時間・事例第 5 位(2-3-5)

iyoblog (2-3-5)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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リーダー層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 5 位「設計仕様・設計内容事後チェック」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-25-1 へリーダー層手戻り・後処理時間5位で「設計仕様・設計内容事後チェック」テーマの別階層浪費時間と占有率を示す。

また図 2-25-2へ同テーマの 1 人当り年浪費時間と占有率を示す。

更に表 2-25 へ本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を示す。

 本テーマが、リーダー層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 5 %、リーダー層の手戻り・後処理業務比率は 45 %から、勤務時間に対しては 2.3 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.023 = 11 分/日 )となり、リーダー層全員が休み無しでは、略毎日 11 分を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12ケ 月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年)と仮定すると 12.3 分となり、実質リーダー層全員が略毎日 12 分強を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門リーダー層は、年間 450 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 本テーマ(設計仕様・設計内容事後チェック)に対するリーダー層の役割は、客先引き渡し時の立合い時に仕様洩れ指摘を受け、追加設計、製作の発生を重点として未然に防ぐ対応へ準備することである。

その為には、開発・新規着手テーマの仕様書作りの場は、営業と担当者任せにせず、客先との打合わせには、リーダー層もできるだけ一緒に参加して、当たることが望ましい。

また可能ならば、着手内容が明確なテーマでは、仕様書作りは全社商品・製品企画設計審査(DR・0)指導会の場で各部署を代表する参加メンバー全員で作り上げる事が望ましい。

その理由は、仕様書案作成が開発・新規設計担当者へ任せきりで行い、多くはDR・0審査会を開催すると記載事項不備を指摘する点検会となり、ここから手戻り・後処理が開始される。

この手戻り・後処理を着手当初から無くすには、DR・0が不備を指摘する点検会で無く事前指導会として機能することが特に大切となる。

仕様書は、本来担当者が開発・新規設計着手で達成実現すべき機能、性能、特性、要求設計条件内容項目をまとめた指南書、指導書、差し図書的役割と意味を持つ事に着目したい。

ここで本テーマの設計仕様・設計内容事後チェックが、リーダー層に何故発生するか? ここでは事後チェックと言う行為が、問題である。

もちろん事後チェック行為をいきなり無くすには、無理がある。

しかし重点を置くべきは、管理者層とリーダー層が着手前段階で事前指導から始める事が重要である。

 本来開発、設計作業で何故手戻り・後処理作業が発生するか? の最大理由は、事後チェックで不具合事項の内容を取除くことが従来行われてきた慣習から抜けられない事にある。

何故事後チェックの形態に拘るか? の理由は、忙しさを言訳に事前指導による不備入り込みを防止する行為をして来なかった、また行わなかった為である。

何故事前指導による不備入り込み防止行為を行わなかったのか? と言えば、事後チェックで行う方が簡単で手っ取り早く行えるとの思い込みである。

しかし現実は、事後チェックの指摘で担当者の修正手戻り発生、指摘箇所の再点検発生繰返しの現実がある。

その得失評価をしていなかったからに他ならない。

また事後チェック時に指摘洩れが有ると出図後製造クレームの出図図書差替え要求による手戻り発生、立会時客先の仕様欠落指摘による追加出図と製作やり直しの手戻り発生、出荷後の市場、客先からクレーム対策に伴う手戻り、対策として対応の発生、等が繰返される。

しかも各ステップで手戻り修正に伴う追加設計時間だけでなく、追加製作費用発生を伴うのが、特徴である。

これらを事前指導で防止、予防を進めるのと、事後チェックで手戻り・後処理時間と費用を発生させるのと、どちらが得か? 損か? を比較すれば、筆者の費用対効果試算では、事前指導を1とする場合に対し、事後チェックに伴う手戻り・後処理に伴う費用発生実態は10倍を超える。

つまり事前指導実施による防止、予防取組みの方がはるかに得策の一語に尽きる。

「改善点と予防取り組み法」

 本テーマの設計仕様・設計内容事後チェックの対象となる設計プロセス上のステップでは、商品・製品企画・構想図・計画図作成( DR・0 対応)段階と、基本設計( DR・1 対応)段階が主な対象となるステージである。

 商品・製品企画・構想図・計画図作成( DR・0 対応)段階で事後チェックによる指摘洩れがあると、納品・出荷前立会時の客先による仕様洩れ指摘で追加設計、再製作、再組立作業が発生する。

この部分は、手戻り・後処理時間全体の 8 %を占める。もちろん追加製作に伴う費用が、追加設計費用の 10 倍以上で発生する。

 基本設計( DR・1 対応)段階で事後チェックによる指摘洩れがあると、出荷・納品後の客先クレーム発生に直結する。

この理由は、新規開発・設計部分に対する主に試作・検証が不十分な結果として発生する。

検証不十分とは、寿命と信頼度把握欠如結果で、客先、メーカー側共に不意の突発的に発生する予期せぬ設計不具合クレームとして1年以内に全クレームの 70 %が発生する。

ここで客先、メーカー側共に不意の予期せぬクレームと表現したのは、事前指導時に新規開発試作品検証段階で寿命と信頼度を把握する様に事前指導されていれば、不具合発生時期を予め把握できる。

これを把握する様に指導と実施が行われなかったため、不意打ちの突発的発生クレームとなる。

 このクレームに伴う手戻り・後処理は、全手戻り・後処理時間の 45 %を占める。

また対策費用は、交換を必要とする部品費の 10 倍を超え、売上の2%を超える各社共通の実態がある。

これを事前指導に要する時間に置き換えると、費用対効果は 10 分の 1 以下で済む。

リーダー層は、この相関を是非承知して対応する必要がある。

「予防取り組みの改善効果」

 商品・製品企画・構想図・計画図作成(DR・0対応)段階の事前指導とは、先ずキチンとした仕様書作りが大切である。

筆者は、仕様書作りは DR・0 段階で各部署代表で構成する全社 DR・0 メンバーが行う様に勧めている。

その理由は、仕様書は取組む開発・設計テーマの達成すべき目標をまとめた指導書そのものである。

これを担当者へ任せ、DR・0 会で欠落、不備内容を指摘できず、納品前立会時に客先から仕様欠落の指摘を受け、追加設計、製作、組立を手戻り・後処理発生状態繰返しは、是非無くし予防したい。

これを実施できる様に DR・0 の仕組みを作るのは、管理者層とリーダー層の責務の1つである。これは、手戻り・後処理全時間 8 %削減、予防の効果がある。

 基本設計( DR・1 対応)段階の事前指導とは、新規開発・設計部分に対する主に試作・検証方法で手抜き、欠落してはならない寿命と信頼度把握実施方法をキチンと行う様に義務付ける事である。

検証時に寿命と信頼度把握を必ず行うことを義務付ける理由は、客先、メーカー共に不意の予期せぬクレーム発生を未然に防止、予防することである。

寿命と信頼度が事前に把握されていれば、不具合発生前に必要な部品交換を実施し、防止、予防が可能となる。

全クレームの 70 %が、開発、設計に起因し、その内およそ80%が振動・衝撃劣化、等による部品不具合現象である。

従ってクレームの約半分( 0.7 × 0.8 = 0.56 )は、寿命と信頼度把握で削減、予防が可能となる。

費用対効果を考えるとこの効果は非常に大きい。クレーム対策費は多くの製造企業で売上の 2 %を超えており、この半減化とは売上の 1 %相当を直接利益へ転換可能とする効果がある。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・リーダー層投入時間5位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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