協力者層「設計仕様・設計内容事後チェック」投入時間・事例第 2 位(2-6-2)

iyoblog (2-6-2)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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協力者層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 2 位「設計仕様・設計内容事後チェック」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-52-1 へ、協力者層手戻り・後処理投入時間第2位で「設計仕様・設計内容事後チェック」テーマの階層別浪費時間と占有率を示す。

また図 2-52-2 へ、同テーマの階層別 1 人当り年浪費時間と占有率を示す。

更に表 2-52 へ、本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を示す。

 本テーマが、協力者層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 13 %、協力者層の手戻り・後処理業務比率は 20 %から、勤務時間に対しては 2.6 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.026 = 12.5 分/日 )となり、協力者層全員が休み無しでは、略毎日 13 分弱を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 14.2 分となり、実質協力者層全員が略毎日 14 分強を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門協力者層は、年間 1,300 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この投入時間値は、常時 1 名が毎日5時間 12 分ずつ相当の時間を本テーマだけの為に費やされていると置き換えて見る必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 協力者層が個々の設計対応能力に応じて、社員委託担当者から業務受託で簡単な部品設計から難度の高い複雑な開発・新規設計品までテーマが与えられ、受託で取組む場合いきなり図面作成へ向き合う前に遣るべき事がある。

それは着手する設計テーマで作込みが必要な技術情報は何か? を良く理解する必要がある。そのため着手すべきテーマの仕様内容をキチンと頭の中へ整理し理解して置く事が大切である。

設計仕様とは、これから着手する設計テーマ上で達成すべき、または確保しなければならない機能、性能、特性、要求設計条件(注・①・外部規格値、➁・保証値、➂・限界値、④・目標値)を明確に把握、理解し定義、理解する事である。

開発・新規着手設計業務では、図面を書く事が最終目的ではない。

最終的に達成満足すべき仕様内容の確定が一番大切である。

図面の形で示すその裏付け根拠を確保する方法は、どうするか? が、大切となる。

ここで機能とは、部品等設計品の用途、目的、働きとしての役割を1次機能、2次機能、3次機能、または副次機能、等の形態で抽出し、文言で明確に定義、理解する事を言う。

また性能とは、丈夫に(例えば、力学的に強く)したいのか? 軽くしたいのか? 小さくしたいのか? 省エネにしたいのか? 廉価(安い)にしたいのか? 取扱い易くしたいのか? 等、作り込む性質を明確に文言で定義、理解する事を言う。

同様に特性とは、管理すべき物性値(例えば、強さにも振動・衝撃強さ、疲労強さ、腐蝕強さ、摩擦・摩耗強さ、揺動・ねじり強さ、熱衝撃強さ、他に電磁気学的(耐絶縁、耐高電圧等)性質としての強さ、化学的(耐アルカリ、耐酸等)性質としての強さ、紫外線・X線に対する性質の強さ等)を具体的文言や単位数値で明確に定義、理解する事を言う。

要求設計条件とは、

①・外部規格値(安全確保上で法・条令や業界団体等で定められた確保が必要な最低基準値)、

➁・保証値(メーカーが客先へ保証する寿命と信頼度確保の基準値)、

➂・限界値(不具合が多発仕始める管理点、通常強さを確保する場合には、正規分布上の-3σ値を充てる場合が多い。但し応答速度等では、+3σ値側を充てる。)、

④・目標値(材料強さバラツキの中央値)等、達成すべき内容を明確に文言と単位数値で定義、理解する事を言う。

これらは個々の部品図を始めとする図面や設計図書作成時に設計仕様書として強度計算書も含め一緒にまとめた上で委託者へ図面と一緒に提出する事が望ましい。

これは、委託者が要求した仕様内容に適合しているか? どうか? の評価手段として役立つ。

(注・委託担当者から要求されなくても、前述項目を自発的に実施できる受託協力者および持帰り受託外注設計者は、一人前の成熟したベテラン設計者と同格と見做され、能力の高い専門家として評価される。)

「改善点と予防取り組み法」

 本テーマ(設計仕様・設計内容事後チェック)時間を削減、予防するには、日頃から先人たちがまとめた類似先行商品・設計品および部品類の標準基本仕様書を社員委託担当者に準備して貰い参考できる様にして置く事が望ましい。

業務を受託する協力者層側も、これらを日頃から新しいテーマへ着手する度にキチンとまとめ頭の中を整理して置く事で、次のテーマへ着手する際に

(1)・新たに追加が必要な機能、不要で除去すべき機能の確認。

(2)・変更または新規に付加えを必要とする要求性能、

(3)・新たに把握が必要な要求特性、

(4)・変更を加える必要がある要求設計条件値、を中心に着手必要な内容を把握すれば済む。

後での点検で手直しが発生する場合と比較すれば、試行錯誤しないで済む場合の時間節約と期間短縮効果は非常に大きい。

 また委託側である社員委託担当者と図面作成前の着手仕様打合せ時に、前述内容詳細を開示して貰うことで、後から仕様洩れ指摘発生による手直しを防止する予防効果が大きい。

それ以上に初期段階の仕様作成、構想図・計画図作成時間と点検時間の大幅節約へ寄与する効果が大きい。

「予防取り組みの改善効果」

 受託協力者層および持帰り受託外注設計者層が着手する設計仕様書に基づく図面作成後で何故本テーマの様な手戻り・後処理作業が発生するか? の最大理由は、先人達が図面点検重点による事後チェックで不具合事項を取除く慣習から抜けられない事に最大の原因がある。

何故事後チェックの形態に拘るか? の理由は、忙しさを言訳に事前指導による不備入り込みを防止、予防する行為を手抜きして来た。また行わなかった為である。

何故事前指導による不備入り込み防止を予防行為として行わなかったのか? と言えば、事後チェックで行う方が簡単手っ取り早く行えるのではないか? との思い込みである。

しかし現実は、事後チェックの指摘で其の都度図面作成等に当たった受託協力者層および持帰り受託外注設計者層の修正手戻り発生、指摘箇所の再点検発生繰返しの現実がある。

その得失評価(費用対効果)をして来なかったからに他ならない。

また事後チェック時に指摘洩れが有ると出図後製造クレームの出図図書差替え要求による手戻り発生、立会時納入先顧客による仕様欠落指摘等による追加出図と製作やり直しの手戻り発生、出荷後の市場、客先からクレーム対策に伴う手戻り、対策業務の発生、等が繰返される。

しかも設計プロセスの各ステップ、各ステージで手戻り修正に伴う追加設計時間だけでなく、10倍以上の追加製作費用発生を伴う特徴がある。

これらを事前指導で防止、予防を進めるのと、事後チェックで手戻り・後処理時間と追加対策費用発生と、どちらが得か? 損か? を比較すれば、筆者の費用対効果試算では、事前指導効果を1とする場合に対し、事後チェックに伴う手戻り・後処理に伴う費用発生実態は10倍を超える。

つまり事前指導実施による防止、予防取組みの方が遥かに得策の一語に尽きる。

これを受託協力者層および持帰り受託外注設計者層へ業務委託する社員委託担当者へ初期の段階に確り実務で行える様に繰返し理解して貰う事が大切である。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・協力者層投入時間2位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」
(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防
60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」公開済み

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」公開済み

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」公開済み

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」公開済み

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」公開済み

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」公開済み

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」公開済み

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」公開済み

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」公開済み

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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