協力者層「量試後のコストダウン再検討」投入時間・事例第 5 位(2-6-5)

iyoblog (2-6-5)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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協力者層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 5 位「量試後のコストダウン再検討」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-55-1 へ、協力者層投入時間5位で「量試後のコストダウン再検討」テーマの全階層年浪費時間と占有率を示す。

また図 2-55-2 へ、同テーマの階層別 1 人当り年浪費時間と占有率を示す。

更に表 2-55 へ、本テーマ予防取組みで必要な対応原則法例を示す。

 本テーマが、構内協力者層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は8%、構内協力者層の手戻り・後処理業務比率は、20 %。勤務時間に対しては 1.6 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.016 = 7.7 分/日 )となり、構内協力者層全員が休み無し状態では、略毎日8分強を本テーマへ振り向けている実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 8.7 分/日となり、実質では構内協力者層全員が、略毎日9分弱ずつを本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門構内協力者層は、年間 800 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この投入時間値は、常時1名が毎日3時間 12 分相当ずつの人員が本テーマだけの為に費やされていると置き換えて見る必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 何故各製造企業設計技術部門の構内協力者層は、本テーマだけの為にこれだけ多くの時間が繰り返し投入され続ける必要があるのか? 本テーマ原因発生者は、構内協力者層と持帰り外注設計者層で占める現実がある。

理由の1つには、開発・設計案作成から委託する能力ある構内協力者層および持帰り外注設計協力者層の目標コスト実現方法に必要な委託時依頼法に問題があると考え、見直しする必要がある。

 量試後にコストダウンの再検討を必要とする理由は、試作するまで設計品のコスト(製造原価)が当初目標を達成しているか? どうか? 判らないためである。

そのために、実績コストが判明してから、再度コスト低減へ取組み仕直しなければならない状態となる。

 設計案作成から受託者である能力ある構内協力者層および持帰り外注設計協力者層が、そのための時間を繰返し発生させることは、何の疑問も持たないのか? 社員委託担当者の依頼時役割の資質が問われるテーマと受止める必要がある。

 ここで第1の問題点は、社員委託担当者が開発、新規着手で設計へ取組む前に達成すべき目標の一つとして仕様書の中で目標コストをきちんと設定しているのか? と言う疑問が生ずる。

第2の問題点は、目標コストを受託する構内協力者層および持帰り外注設計協力者層へ達成させるための取組み方法、手順を事前にキチンと指導しているのか? と言う疑問である。

 開発、設計で従来品より10%以上コストダウンへの取組みでは、機能開発と同じ新規コスト開発であると言う捉え方が、現実には必要である。

コスト目標数値は、従来法とは異なる原理、方式、構造、形状、材料、処理法、工作法、の組合せ法を変え、新規取組み法で実現する考えが必要となる。

 従来設計品の見直しによる1部手直し程度でコストが下がると考えても、今まで長期に渡りコストダウン繰返しを継続している中で、更なる10%以上のコストダウン実現は、中々容易ではない。

従って受託する構内協力者層および持帰り外注設計協力者層へ新しいコスト開発へ決意を持って取組む様に教育、指導する必要がある。また方法論も大切となる。

「改善点と予防取り組み法」

 筆者は、某企業が最近 400 億円を超える損害を出し金額が大きいので新聞でも取上げられた企業から、開発段階から利益が出る新商品・新規製品開発・設計取組み法の社員教育講師を頼まれ、対応した経験がある。

ここで職業倫理上から商品名、分野を紹介できないが、経緯を簡単に触れると、その企業技術部門では先ず機能開発を行い試作・検証した。

目標とした期間内の機能開発は難航したが、何とか開発目標とした先行商品と市場で充分対抗できる性能面で商品モデルを作り挙げた。

その時点でコストを試算した所、営業が要求した設定販売価格を大きく上回った。しかし経営判断が働き、市場で売れれば数年以内に量産効果で赤字販売は解消できると判断し、販売に踏み切った。

所が機能上で、市場クレームが発生した。販売済み全商品の回収、交換が必要で、リコールせざるを得ない状態となった。

その回収、交換に掛かった費用が400億円を大幅に突破したのである。

そこで筆者は、MUST-COST法の取組み方法を紹介した。

 MUST-COST法は、仕様で要求された機能、性能、特性、設計条件を、目標コストを実現し得る従来法と異なる原理、方式、構造、形状、材料、処理法、工作法、組合せ案をできるだけ多数作成し、それらのコスト試算(見積り)を先ず行う。

 前記多数作成案の中で目標コスト達成可能案を残し、達成不能案はここで捨てる。

次に残った目標コスト達成可能案の1つずつについて、要求仕様を満たす性能が確保できるか? どうか? を、試作、検証で確認する方法である。

「予防取り組みの改善効果」

 MUST-COST法による取組み方法では、当初から目標コストを実現可能か? どうか? の確認を実施した上で進める。

このため、開発、新規設計着手段階から目標コスト実現が略可能となる。

つまり開発当初から利益を出すことが可能となる。

 本テーマ防止、予防効果を確実に実施する上で最も大切なことは、目標コスト実現も仕様の一部と見做し受託する構内協力者層および持帰り外注設計協力者層へ前述したMUST-COST法で取組む様に指導、義務付けし、着手して貰う事が必要である。

特に着手段階最初に仕様で要求された機能、性能、特性、設計条件を従来法と異なる原理、方式、構造、形状、材料、処理法、工作法、組合せ案を多数作成し、それらのコスト試算(見積り)を必ず先に行う。

 次に前記複数作成案の中で目標コスト達成可能案のみで、試作、試験、検証へ進める。

この順序を頑なに守り、実施して貰う。これにより、本テーマを確実に減らし、予防が実現する。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・協力者層投入時間5位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」


(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防
60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」公開済み

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」公開済み

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」公開済み

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」公開済み

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」公開済み

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」公開済み

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」公開済み

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」公開済み

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」公開済み

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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