協力者層「客先クレーム処理」投入時間・事例第 9 位(2-6-9)

iyoblog (2-6-9)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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協力者層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 9 位「客先クレーム処理」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-59-1 へ、協力者層手戻り・後処理時間9位で「客先クレーム処理」テーマの階層別年浪費時間と占有率を示す。

また図 2-59-2 へ、同テーマの全階層1人当り年浪費時間と比率を示す。

更に表 2-59 へ本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を示す。

 本テーマが、協力者層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 3 %。協力者層の手戻り・後処理業務比率は、20 %。勤務時間に対しては、0.6 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.006 = 2.9 分/日 )となり、協力者層全員が、休み無し状態では、略毎日3分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 8.5 分/日・人となり、実質では協力者層全員が略毎日9分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門協力者層は、年間 300 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この時間値は、常時1名が毎日1時間 12 分相当ずつの時間を、本テーマだけのために費やしていると置き換えて見る事も可能である。

これを何とか減らしたい。予防したい。無くしたい。と、危機感を持つ必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 本テーマが発生した場合受託した協力者層担当者は、客先へ社員委託担当者と一緒に原因発生担当者として出向き、お詫びを伝え真摯に向き合い必要な回復措置に当たる。

また同じクレームを繰返し出さない様に設計改善策を客先へも伝え、即対策の実行に当たる。

ここで設計改善策を即実行する必要は、クレーム内容が設計不具合に起因する損傷で部品交換を必要とする場合に、客先で不具合を起こす前に事前交換可能な部品寿命の把握体制を確立する事を言う。

言い方を変えると、クレーム原因発生者による設計部品では、寿命が1年と持たない設計を実施している事も判らず、且つ検証も殆ど行なわずにいた状態を、周囲が指摘、改善できずに推移した結果と見做し改善取組みする必要がある。

何故各製造業設計技術部門の協力者層担当者が、本テーマ時間を繰り返し投入続けているのか?  これには、同時に開発・設計時の客先クレーム防止に必要な品質作込み設計法に問題があると考え、委託側の管理者層、リーダー層、成熟したベテラン層、社員委託担当者と協力者層担当者を含めて一緒に対策法を検討し、改善取組みへ着手する必要がある。

問題となる客先クレームが検図を擦り抜けるポカミスに原因が有る場合には、機械部品で具体例を挙げると、段付効果と呼ぶ急激な肉厚変化を伴う段付き部品では、隅コーナー部に応力が集中し破損する。

溝付効果と呼ぶOリング溝、C型止め輪溝、キー溝底部隅の応力集中、穴明き効果と呼ぶ軸直角方向に明けた径の大きな貫通穴、パイプ径を無視した横穴、軸方向に明けた止まり穴奥部リセス(逃げ用奥内側寸法拡大)加工による肉厚変化部の応力集中による破損。

また同時にこれらの形状では、熱処理焼入れ冷却時の肉厚差部分で冷却速さが異なり割れが生じ易い。これらが部品として組込まれると、使用開始後短期間に損傷、破損、クレームの直接原因となる場合が多い。

前記不具合となる真の原因は、原因発生者である受託した協力者層担当者の形状設計知識と材料や熱処理知識不足等に起因する。これは、製造技術基礎知識教育の不備または不足の結果である。

「改善点と予防取り組み法」

 本テーマの予防法は、極めて簡単である。

今までと異なった形状に新規設計された部品は、必ず試作品を製作の上、寿命試験を実施する。

設計上の許容基準負荷を疲労限度値で 100 %と設定した場合には、116 %値の負荷を掛ければ、所要期間を 10 分 1(疲労試験を平均値 20 万回)へ短縮して寿命把握が可能になる。

同様に 135 %値の負荷を掛ければ 100 分 1(疲労試験を平均値 2 万回)へ短縮して寿命把握が可能になる。

つまり開発、新規設計着手時点で機械装置を構成する部品寿命をきちんとその場で把握すれば良い。

前述客先クレームを起こす不具合原因最大の理由は、受託した協力者層担当者が自分で設計した機械装置部品類の寿命値と経過期間毎の信頼度値(同時に不具合発生確率値)の裏付けを事前把握出来ていない、または実施しない結果である。

部品寿命が開発、設計時点で予め把握できていれば、客先で不具合発生前に交換の必要をアナウンス(事前連絡)できる。

これが出来ていない結果、不具合を起こしクレームとなる。

この簡単な論理と現象が、受託した協力者層担当者と直接教育、指導に当たるリーダー層、成熟したベテラン層、委託した社員担当者を含めた関係者が理解せず、その都度・その場でキチンと実施させていないからに他ならない。

「予防取り組みの改善効果」

 受託した協力者層担当者に対する技術基礎知識教育で優先的に教えるべき事は、納品した設計品機械装置類が客先にとって予期しない状況下で突然の機能停止、稼働不能となれば、クレームとせざるを得ない状態となる実態を詳しく知って貰う事である。

そのために被る客先の損害、メーカーとして賠償や回復措置に掛かる費用と低下する信用等を良く理解して貰う必要がある。

客先クレーム防止、予防のため受託した協力者層担当者が最初に必ず行うべき事は、設計品の寿命値と経過時間毎の信頼度値の変化を現物で検証把握し、不具合発生前に何時でも部品交換できる態勢を準備、確保して貰う事である。

この事を確り設計能力のある協力者層担当者に理解して貰い、実施を義務付け習慣化して貰う事である。

 そのため本テーマ件数を根本的に減らしたい、予防したいと望む場合には、まず機械装置構成部品の寿命値と信頼度値を開発、新規設計着手時点できちんと把握して貰う。

これを確り義務付け習慣化して貰う。

つまり受託した協力者層担当者が設計した部品の寿命値を把握していれば、客先に納めたどの製品装置、どの部品では、稼働開始から何ケ月間または何ケ年間経過したら不具合に至るか、発生前に必要部品を何時交換すれば良いか? の判断と、客先に対する事前の交換時期アナウンスが可能となる。

大事なことは、寿命試験を必ず受託した協力者層担当者へ義務付け習慣化し実施して貰う。

また把握した部品交換時期を客先へ製品納品時、または不具合発生前に必ず連絡して貰う。

これにより、客先クレームを劇的に減らし、予防が可能となる。

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「引用文献」

・本稿は筆者が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・協力者層投入時間9位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」
(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防
60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

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(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

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(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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