新人層「現場からのクレーム処理」投入時間・事例第 1 位(2-5-1)

iyoblog (2-5-1)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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新人層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 1 位「現場からのクレーム処理」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-41-1 へ、新人層「手戻り・後処理投入時間上位10テーマ」別の年浪費時間と占有率を示す。

また図 2-41-2 へ同テーマの1人当り年浪費時間と占有率を示す。

更に図 2-41-3 へ、新人層手戻り・後処理時間第1位で「現場からのクレーム処理」テーマの階層別の年浪費時間と占有率を示す。

同様に図 2-41-4 へ、新人層手戻り・後処理時間第1位で「現場からのクレーム処理」テーマの階層別 1 人当り年浪費時間と占有率を示す。

同様に表2-41 へ、新人層で見た手戻り・後処理投入時間第 1 位テーマの能力浪費防止と予防取り組み法で必要な対応法原則例を示す。

 本テーマが、新人層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 16 %、新人層の手戻り・後処理業務比率は 26 %から、勤務時間に対しては 4.2 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.042 = 20.2 分/日 )となり、新人層全員が休み無しでは、略毎日20 分強を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 22.7 分となり、実質新人層全員が略毎日 23 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門新人層は、年間 749 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この投入時間値は、常時 1 名が毎日 3 時間 20 分相当(半日弱)の時間を本テーマだけの為に費やされていると置き換え見る必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 筆者は、本書の中で主に新人層を入社3年以内の人達を指して説明している。

学卒入社の方達中には、夏休み中のインターン制度を利用して企業で短期間実習経験者も居るかも知れない。

しかし技術部門で簡単な物でも特定テーマの開発や設計に零から完成まである程度の期間と時間を掛けて取組む機会を持った経験者は少ないと思われる。

図面を書けば確かに部品らしき物は、加工して貰う事はできる。

しかし機能を持たせ装置へ組み込み、例えば 10 年負荷を掛け続けて使う事ができる部品として評価できるか? となれば、先ず難しい。

筆者は入社 3 年間の新人層は、企業側から見れば見習い期間で各種基礎技術の習得教育期間と割り切って見守っている期間と理解している。

この間に何か良い仕事をしようなど、本人が考えても先ずムダと思う。

勿論企業側も唯教えるためだけに雇っている訳ではなく、自分の給料分位は先輩の仕事を手伝いながら稼いで欲しいと言う気持ちがある。

従って満足に仕事ができないのは判っていながら簡単な事柄から手伝わせて、速く仕事を覚えて欲しいと考えで教育半分、手伝い半分の状態から新人層が成長する様子を覗っている実態がある。

従って新人層が大事にして欲しい事は、やがて自分を採用した企業側に優れた開発者、設計者と思って貰うには、手伝う仕事を 1 つずつ大事に思って慎重に、且つ確実に修得する様取組んで欲しい。

仕事の速さは、とても重要。しかし開発と設計では、安全と品質は遥かに大切。誰にでも判っている些細な事でも、全て先輩へ 1 つずつ確認して、裏付けを採って、承認を得てから簡単と思う部品図面でも完成させる。

自分で確保できる図面品質は、自分で何回も間違いがないか? 確認する様に進める。

企業の中では、先輩や周囲に信頼できる新人として思って貰う事を大切にする。

また先輩から言われた事は、全て記録、メモして忘れず何回も読み返し吸収してから行動に移す。

異見は有っても、発言が許される迄我慢する。

全ては貴方の為に良いと思ってやって要る事と、理解する。

「改善点と予防取り組み法」

 ここで本テーマの現場(=製造とライン)からのクレーム処理が、新人層へ前記時間が何故発生するか? これが、問題です。

本テーマの原因発生者の新人層は、製造技術基礎知識を未だ殆ど知らないか、全く理解せず設計する為です。

原因の大部分が、次に挙げるケースとして考える。

 第1は、図書出図前検図段階で検図者が充分に見付けられず、製造部門で加工着手前に判明する図書記載で指定された材料・材種が入手できない場合。

熱処理を含めた各種メッキ処理、化成処理、ショットピーニング処理、等の表面処理が実施できない場合。

ぼかし加工(鋭角部から丸へ形を徐々に変化させる等)、特殊形状溝・隅・穴・リセス・段付き、等複雑形状加工ができない場合。

求められる位置決め寸法公差、平面度・真円度・円筒度・直角度、等の形状公差で精度確保できない場合。

長さ、幅、高さ、深さ、直径、等で保有設備技術上一体加工できず分割加工が必要な場合。

捨て加工しても加工基準、測定基準が取れない場合。

組立、結合、締結、分解、仕上げ処理、面粗さ加工作業ができない場合。

指定された鋳造、鍛造、溶接法、高周波焼入れ、厚肉品溶接後のガウジング(溶接不具合部除去と再溶接処理)、前処理、後処理作業等ができない場合のどれかである。

 第2は、加工、製作へ着手してから判明する図面指定通り完成できない場合である。

鋳造品を加工してから巣が見付かり、粗材の肉厚形状変更で再鋳造が必要な場合。

材種と肉厚変化部で熱処理時の焼入れ部深さが確保できず、また割れ等が発生し材種と肉厚および形状変更が必要な場合。

溶接時割れが発生し形状、肉厚差や材質変更が必要な場合、のどれかである。

これに対し製造技術基礎知識をある程度理解した新人層の役割は、製造部門または生産委託の取引先へリーダー層または成熟したベテラン層へ同行し、工作部門で加工担当者と真摯に向き合い、必要な製造技術面の図面訂正処理を即行うと共に、同じ内容の製造クレームを他のチームを含む新人層間で繰返し発生させない様に設計改善策(再教育の実施、資料化配布、先輩達による事前巡回指導対象項目へ入れて貰い広報活動展開とする)を即実施する。

ここで設計改善策を即実施する意味は、製造クレーム内容が設計不備に起因する図面差替えを必要とする場合に、製造・ラインクレームで不具合を起こす前に事前対応可能な製造技術上の基礎教育、経験則の資料化配布、先輩達による事前巡回指導対象項目テーマへ取上げて貰う。

また過去の製造クレーム内容を紹介する広報活動体制を構築する事を言う。

「予防取り組みの改善効果」

 前述第1と、第2のケースで示した製造クレーム処理対象項目を出図図書から減らし、予防するには、新人層間の協力で直接指導、資料提供して貰う事と再教育を何処で、何時実施して貰うべきか? を考え適切な対応法を受入れる必要がある。

 本テーマによる製造クレーム発生防止では、製造技術面からバラツキをできるだけ少なく安定して、且つコストをできるだけ安く設定できる製造法選択面から部品設計を行う。

従ってここでは、出図後の製造部門からのクレーム処理対応を如何に減らし、予防するかの観点に焦点を合わせれば、出図図書作成面から新人層指導と教育および必要な経験則の資料整備は、詳細設計時に重点を置いて取組んで貰う必要がある。

 製造技術基礎知識修得教育には、時間が掛かる。

対象は、新人層が主対象となる。

企業側が長年勤続して貰う事を前提に考えれば、年 600 時間( 3 H/日 × 200 日/年 = 600H/年 )を3年続けて貰い、じっくり修得して頂く積りで取組む事を勧めたい。

これが、新人層を採用する企業側で優秀な開発・設計技術者を作り挙げる結果となる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・新人層投入時間1位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」
(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防
60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」公開済み

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」公開済み

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」公開済み

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」公開済み

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」公開済み

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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