新人層「検図による図面修正、手戻り、手直し」投入時間・事例第 2 位(2-5-2)

iyoblog (2-5-2)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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新人層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 2 位「検図による図面修正、手戻り、手直し」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-42-1 へ、新人層手戻り・後処理投入時間第 2位 で「検図による図面修正、手戻り、手直し」テーマの階層別年浪費時間と占有率を示す。

また図 2-42-2 へ、同テーマの 1 人当り階層別年浪費時間と占有率を示す。

更に表 2-42 へ本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を示す。

 本テーマが、新人層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 15 %、新人層の手戻り・後処理業務比率は 26 %から、勤務時間に対しては 3.9 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.039 = 18.7 分/日)となり、新人層全員が休み無しでは、略毎日19 分弱を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 21.3 分となり、実質新人層全員が略毎日 21 分強を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門新人層は、年間 702 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

この投入時間値は、常時 1 名が毎日3時間 12 分相当本テーマだけの為に費やされていると置き換えて見る必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 入社して3年以内の新人層自身に採って大切な事は、開発・設計業務の殆ど未知の領域で先輩に教わりながら初めて取組む仕事である。

学校の講師に聞いた話しや書物で多少の予備知識が有っても、漠然と大筋をイメージしている程度で細部までは判らない。

部品や材料の現物に接して見ると、書物写真や記載内容との違いに唯驚くのみである。

図面と現物の関係を理解するにも慣れるまでが大変である。

また粗材から加工される製造工程と加工設備の関連も、手順を理解できる様になる迄時間が掛かる。

加工法も同じ形状、仕上り具合を出す為に、色々な方法から最良の選択法を理解するにも時間が掛かる。

これらを1つずつ理解し記憶の形で身に着けながら、先輩から教わった内容を思い出し図面を書く必要がある。

そのため先輩が教える事の吸収理解を早めるには、とにかく何でもメモを採り忘れない様にする努力が大切となる。

図面を書く場合、線、数字、記号全てに意味がある。

これを1つずつ確実に覚える。

部品では形状の決め方が、角、隅、溝、穴、丸型、角型、筒型、板状、L型、凹型、直線、平面、全て大事な意味を持つと理解して確り覚える。

先輩の図面を模範に細かい所を見逃さず注意深く真似をして、作成する。

その際に指差しながら、大丈夫同じだと確信した所は塗潰す。

つまり自分で確保できる図面品質は、自分で確保し、検図で不備を指摘されない様に努力する。

これが、図面修正、手直しを防ぐ、予防に役立つ。

ここで新人層の本テーマ検図による図面修正、手戻り、手直しが、何故発生するか? これが、問題である。先輩がキチンと手取り足取り教えたのか? 手本図、模範図、手順書を用意して貰ったか? 最初は何も知らない人間にキチンと確り理解できる様に教え、教わったのか? が問題なのである。

時間が掛かるのは当たり前で、修得のさせ方が問題となる。

ここで確り教え、覚えることが、この後の新人層の仕事振りに直接影響を与える。

ここで最初の教え方、教わり方が悪ければ、後々その着け払い結果が至る所で現れる。教育担当に当たる者は、特に心したい。

「改善点と予防取り組み法」

 本テーマの原因発生者は、紛れもなく 100 %が新人層である。

理由は、製造技術基礎知識を殆ど知らないか、充分修得しないままで適当に作図する結果である。

原因の大部分が、次に挙げるケースである。

 第1は、No.41「現場からのクレーム処理」の説明項で列挙した図書出図前検図段階で検図者が見付けられず、製造部門で加工着手前に判明する図書記載で指定された材料・材種が入手できない場合、等がある。

 第2は、No.41「現場からのクレーム処理」の説明項で同様に列挙した加工、製作へ着手してから判明する図面指定通り加工、完成できない場合である。

これに対する新人層の役割は、製造部門または生産委託の取引先へ原因発生者としてリーダー層または成熟したベテラン層と一緒に出向き、現場で真摯に向き合い、必要な製造技術面の図面訂正処理を即行うと共に、同じ内容の製造クレームを他のチームを含む新人層間で繰返し発生させない様に設計改善策(再教育の実施、資料化配布、先輩達による事前巡回指導および広報活動展開)を即実施して貰う。

ここで設計改善策を即実施する意味は、製造クレーム内容が設計不備に起因する図面差替えを必要とする場合に、管理者層、リーダー層、ベテラン層へ製造・ラインクレームで不具合を起こす前に事前指導対応可能な製造技術上の教育、経験則の資料化配布、事前巡回指導対象項目として過去の製造クレーム内容紹介する広報活動体制を構築して貰う事を言う。

 本テーマによる図面修正、手直し発生防止では、主に部品図作成等の詳細設計面で製造技術面からバラツキをできるだけ少なく安定して、且つコストをできるだけ安く設定できる製造法選択面から部品設計を行える力が着く教育内容で実施して貰う。

従ってここでは、出図後の製造部門からのクレーム処理を如何に減らし、予防するかの観点に焦点を合わせ、出図図書作成面から新人層指導と教育および必要な経験則の資料整備を実施して貰う。

その意味で詳細設計時に重点を置いて、取組んで貰う必要がある。

以上から本テーマ時間を減らし、予防するには、新人層の製造技術基礎知識向上教育へ優先して取組む必要と、知識修得までの不足を補う資料類整備、および管理者層、リーダー層、ベテラン層分担による事前、途中の新人層へ重点的に定期巡回指導実施法を決め、即実施対応を強化して貰う必要がある。

「予防取り組みの改善効果」

 製造技術基礎知識修得教育には、時間が掛かる。

対象は未知な新人層が主対象となる。前記担当者に引き続き長年勤続して貰う事を前提に考えれば、年 600 時間( 3 H/日 × 200 日/年 = 600 H/年 )を3年続け、じっくり修得して頂く積りで取組む事を勧めたい。

 修得教育までの期間を埋める手段として、管理者層、リーダー層、ベテラン層を中心に資料整備も同時に進め、完成した分から即活用配布を進める。

 修得教育と資料整備の不備を補う手段として、管理者層、リーダー層、ベテラン層分担による新人層に対する毎日、午前、午後の定時、定期巡回指導と相談対応を交代で実施して貰う。

これらの実施繰返しにより、本テーマで現場からの検図による図面修正、手戻り、手直しの削減、予防を進める。

目標は 1 年で半減化、2 年で 4 分の 1 化、3 年で 8 分の 1 化、等で取組みを確実に実現する迄根気良く続ける強い決意が必要である。

これらの努力継続により、ドラスチックに本テーマ時間が削減する。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・新人層投入時間2位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」


(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防
60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」公開済み

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」公開済み

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」公開済み

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」公開済み

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」公開済み

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」公開済み

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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