管理者層「クレーム対策会議」投入時間・事例第 7 位(2-2-7)

iyoblog (2-2-7)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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管理者層投入時間第 7 位「クレーム対策会議」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-17-1 へ管理者層投入時間第 7 位で「クレーム対策会議」テーマの階層別投入時間と占有率例を示す。

また図 2-17-2 へ同テーマの階層別 1 人当り年投入時間と占有率比較例を示す。

更に表 2-17 へ本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を示す。

(注・本テーマは、全階層手戻り・後処理合計時間 10 位内へ入らないテーマである。)

 本テーマが、管理者層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 3 %、管理者層の手戻り・後処理業務比率は 54 %から、勤務時間に対しては 1.6 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.016 = 7.7 分/日 )となり、管理者層全員が休み無しでは、略毎日 8 分弱を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 8.8 分となり、実質管理者層全員が略毎日 9 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門管理者層は、年間 162 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 ここで本テーマのクレーム対策会議が、管理者層に何故発生するか? これが、問題である。

 本テーマのクレーム対策会議を開催せねばならないとは、今までの開発、設計方法繰返しでは、本質的にクレーム発生は防げない事を示す。

原因の本質は、無償保障期間(一般消費者向け耐久財製品では通常1年が多い)、耐久寿命期間(一般消費者向け耐久財では通常10年、住宅や公共設備では通常40年)、安全寿命期間(耐久寿命を超えて使用するPL法適用期間、例えば40年)内に不具合で機能、性能、安全性を確保できず使用できなくなる状態を言う。

 機械・電機機器製品類では、材料、処理、形状、構造、工作、据付け等の開発、設計時欠陥と、振動・衝撃劣化、疲労劣化、腐蝕劣化、等により定められた目標寿命以前に部品等が機能損傷し、使用不能に至る結果である。

 従って本テーマを無くすには、商品、製品開発、設計時に構成部品の無償保障寿命期間、耐久寿命期間、安全寿命期間内に機能損傷で使用不能に至らないか? どうか? をキチンと検証する義務がある。

これらを確認する場が、本テーマ本来の取組み目標である。

「改善点と予防取り組み法」

 現実は、通常無償保障期間内である1年以内にクレームの 70 %が発生する共通実態がある。

これが何故起きるか? と言えば、担当者は開発、設計現場では忙しく、とても試作、検証する時間が無いと言う。

問題は、1年以内に発生する不具合の検証には、1年間の時間を掛けて行わねばならないと思っているためではないか? と理解できる。

 また同じ様に 10 年の耐久寿命を検証するには、10 年間の期間が必要ではないか? と思っている可能性があると理解できる。

更にPL法へ対応するには、40 年の検証期間が必要ではないか? と思っていると理解する。

そのため何れも試作、検証する時間が無いと言う。

では、その結果がゆるされるのか? 現実は、顧客がクレームと言う形で検証しなかった代償を要求していると見做す必要がある。

 これを解決するには、加速試験( 注・JISでは、促進試験と呼ぶ )方法がある。

ここで加速試験方法とは、負荷(熱、荷重、腐蝕等のストレス)を許容基準より大幅に更に着け加え、劣化を早め(促進し)て時間を短縮する試験方法を言う。

 電気絶縁材料に樹脂製品を使う制御回路、電源回路基板では、通称 10 度C半減則( 環境温度 10 度C上昇寿命半減化則 )を適用して、設計時樹脂材種毎に使用上限温度( UL規格で定めがある )内に収まる様材料選択を行う。

基板回路に定格電圧の 116 %電圧を加え、寿命を10 分の 1 へ短縮する試験法は良く知られた方法の1つである。

 鉄、銅、アルミ系金属材料が中心の機械装置類設計では、疲れ(S-N)線図の単位面積当たりの負荷(ストレス)を加え、同じ様に加速試験を行う。

「予防取り組みの改善効果」

 加速試験で許容する基準負荷(単位面積当りストレス)へ一定の荷重を更に着け加えることで、寿命試験の所要期間を10 分の 1 へ短縮したり、また 100 分の 1 へ短縮することが可能である。

 寿命試験を 10 分の 1 へ短縮するとは、1 年を 365 日( 24 時間/日 × 365 日/年 = 8,760 時間/年 )と仮定すると約 9 千時間/年、大まかには約 1 万時間/年と考えると良い。

これを 10 分の 1 へ短縮すると 1 千時間( 約 40 日 = 1 ケ月と 10 日間 )、100 分の 1 へ短縮すると 100 時間( 約 4 日間 )の試験期間で、1 年以内に発生する不具合現象の殆どは、検証で抽出、把握が可能である。

 耐久寿命が 10 年とする場合には、10 万時間を 100 分の 1 へ短縮すれば、1 千時間 = 約 40 日間( 約 1 ケ月と 10 日間 )で検証が可能となる。

 筆者は、出荷、納品後 6 ケ月(半年)以内に発生するクレームが 49 %発生する共通実態から、先ず 100 分の 1 へ短縮する4 日間の加速試験を実施する。

これにより半年以内に起り得る不具合現象の抽出と防止対策を施してから客先へ出荷する。

 既に設計済みの試作品で行うため、半年以内の不具合が試験結果から見込まれるが、周辺部品の変更不能、コスト、構造上の寸法制約、等から改良が実施できない場合には、問題部品の寿命と経過時間毎の信頼度値を把握し、要交換時期(寿命)を明示、アナウンスして納品する事を勧めている。

 これにより、客先で予期せぬ不具合発生によるクレーム防止が可能となる。

半年以降に発生する不具合防止への対処では、出荷後 6 ケ月間の初期流動管理期間を設け、10 年以内に起り得る不具合現象抽出と対策改良設計を実施し事前準備する。

 大事な事は、客先で起り得る前に全ての不具合現象を把握し、発生時期を予測し、何時でも対処できる前準備をすること。また客先へどの部品は何時までに交換が必要か? を明快に事前予告、連絡することである。

これにより、不意打ちの不具合クレームの防止が可能となる。また対策会議の開催も基本的に徐々に削減され、やがて不要となる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・管理者層投入時間7位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」


(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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