全階層「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」投入時間・事例第 7 位(2-1-7)

iyoblog (2-1-7)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全階層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 7 位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-1-71 へ全階層合計第 7 位で「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」テーマの階層別年間浪費時間と占有率の階層別内容例を示す。

また図 2-1-72 へ本テーマの階層別1人当年浪費時間と占有率の階層別内容例を示す。

更に表 2-1-7 へ全階層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 7 位の能力浪費予防と削減取組法例を示す。

 本テーマが、全手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 5 %、勤務時間に対しては 1.5 %に相当する。これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.015 = 7.2 分/日 )となり、設計技術部門全員が略毎日 7 分強の時間を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門では、年間 3,270 時間相当が本テーマだけの為に失われている現実がある。

「着眼点・分析と評価法」

 本テーマ投入時間を階層別に見ると合計時間ではベテラン層 ( 年 1,630 時間 ) が一番多く、協力者層 ( 年 1,200 時間 )、新人層 ( 年 230 時間 )、リーダー層 ( 年 180 時間 )、管理者層 ( 年 30 時間 ) と続く。

1 人当り投入時間で見ると協力者層 ( 年 48 時間 )、ベテラン層 ( 年 32 時間 )、新人層 ( 年 26 時間 )、リーダー層 ( 年 18 時間 )、管理者層 ( 年 6 時間 )と続く。

 前記階層別時間配分値等から判ることは、主に基本設計段階で検証を必要とする開発、新規着手設計部分と、既存設計部分と結合、締結部分について、担当者から提出された当初設計案のまま試作、検証へ進めるのは、品質確保と目標コスト確保面および製作 ( 材料入手、処理、加工、組立上 ) 面上から管理者とリーダーから経験上問題が出る可能性を想定し、再検討の指示が出て、図面修正、再設計の手戻り時間発生に至る部分と見做す必要がある。

これを1日当りの発生時間へ換算すると、年実働 220 日 ( 20 日/月 × 12 ケ月-休暇分 20 日/年 = 220 日/年 ) と仮定すると、協力者層が毎日 13.1 分相当ずつ。ベテラン層が毎日 8.7 分相当ずつ。新人層が毎日 7.1 分相当ずつ。リーダー層が毎日 4.9 分相当ずつ、管理者層が毎日 1.6 分相当ずつを、それぞれ投入している実態となる。

 これらの時間結果が示す意味は、担当者が当初基本設計案作成時に品質確保方法、目標コスト確保方法、製作 ( 材料、処理、加工、組立法等 ) 面を十分吟味せずに設計案作成を進めている傾向が多い結果と窺える。

 本テーマで協力者層の投入時間が多いのは、再検討指示で、結果として実際の図面修正、再設計に当たる役割が多いためと窺える。

「改善点と予防取り組み法」

 本テーマに伴う手戻り時間を減らすには、担当者が基本設計案をまとめる際に、検証を必要とする開発、新規着手案のまとめ法として、先ず担当者が考えた試案をいきなり図面化してリーダーや管理者上司へ確認、承諾を得ようとするのではなく、仕様 ( 要求品質、目標コスト等 ) を満たすユニットまたはモジュール部分の原理、方式、構造、部品形状、使用材料、処理、加工、組立方法組合せの異なる複数試案を用意する。

その複数試案作成は、手書きのポンチ絵で良い。

そのポンチ絵の状態、段階でリーダー、管理者へ事前に相談し、最善案を選んで貰い、了承が得られた案の具体的基本設計案の作図化へ移行する。

 但しこの段階に複数試案で基本設計案の作成へ移行する場合もある。

筆者は、品質 ( 特に寿命と信頼度値の確認 ) とコストの検証は、なるべく複数 ( 多いほうが良い ) 案で行うことを勧めている。

 信頼度値確認では、経過期間毎の数値把握が必要となるため、バラツキ把握には絶対条件としてサンプル数を複数用意する必要がある。

「予防取り組みの改善効果」

 本テーマの設計案再検討、図面修正とは、設計案作成やり直しを言う。これを減らすには、基本的にやり直しせずに済む設計案の作り方で取組むことである。

やり直しせずに済む設計試案の作成方法とは、当初から開発、新規設計着手必要部分の作成では、原理・方式・構造・形状・材料・処理・工作 ( 加工・組立・締結 ) 法、等の組合せが異なるできるだけ多数の試案を作成する。

それらの中から品質確保と目標コスト実現可能性の高い案件を複数残し、次の試作、検証結果で最良の物を選別し、最終基本設計案をまとめることが、望ましい。

 以上に記載した手順は、一見手間が掛かり、市場の短期開発要求にそぐわない方法と考えがちとなる。

しかし試作、検証期間を大幅短縮する方法として、加速試験法がある。

寿命確認や耐久試験および信頼度確認には、通常方法で実施すれば時間が掛かる。

しかし10倍に加速すれば所要期間 ( または時間 ) を 10 分の 1 へ、100 倍に加速すれば所要期間を 100 分の 1 へ短縮が可能となる。

これにより開発、新規着手設計期間を縮めることが容易となる。

つまり試案作成に掛かる時間分を、検証時間で充分取戻しできる。

 紙の上で基本設計案を 1 つに絞り込み、試作、試験による検証結果で要求品質 ( 寿命性能、信頼度等 )、目標コストを達成できず、設計案再検討、試作、検証繰返しを何回も繰返す場合を考えれば、当初基本設計案作成段階から設計案再検討を繰返さずに済む取組み法で進めることが、どれだけ望ましい方法か判る。

ここで設計案再検討とは、手戻り・手直し時間であると理解することが大切である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・全階層投入時間 7 位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」に変更し加筆し不備部は訂正した。

原本入手ご希望の方は、出版社(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「検索キーワード」

「設計」 「手戻り・後処理予防」 「階層別」 「改善法」 「業務効率」 「効率把握4指標」 「価値形成業務」 「基盤整備業務」 「手戻り・後処理業務」 「補助業務」 「管理者層」 「リーダー層」 「ベテラン層」 「新人層」 「協力者層」「未熟なベテラン層」 「商品コンセプト作成」 「作業指示書および指示の為の資料作成・持ち帰り設計と打合せ」 「購入部品仕様検討・評価基準作成」 「市場・顧客要望調査・仕様確認」 「デザイン検討構想図作成」 「設計・裏付け試験検証プランニング・評価工程計画作成(評価基準書)」 「強度計算書作成」 「コスト試算」 「試験・試験評価報告書作成」 「個別ユニット・モジュール・部品デザイン検討」 「取説原稿作成」 「仕様変更による先行手配受注品構成表作成」 「WG活動」 「研修・展示会」 「展示会出品準備対応」 「予算・実績評価」 「委託先・取引先と事前打合せ」 「仕入れ品業者PR対応」 「QC委員会」 「特許調査」 「設計・製図・試験事前・途中指導」 「設計着手前前関係部署打合せ」 「DR1・DR2」 「加工・組立事前・途中指導」 「次世代製品検討会」 「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前点検・確認」 「客先クレーム処理」 「検図指摘による図面修正」 「設計仕様・設計内容事後チェック」 「現場からのクレーム処理」 「量試後のCD再検討」 「設計案再検討、図面修正」 「苦情処理解答」 「追加出図」 「DR指摘による仕様書・図面修正」 「品質改善活動」 「図面改廃処理」 「クレーム対策会議」 「設計案・試験結果NG再評価」 「設計仕様・設計内容事後チェック」 「設計不良の後始末」 「販売・取説・マニアル校正」 「量試不具合検討・再試験法打合せ」 「DR4・DR5」 「社内連絡文書(メール)作成」 「業務外(朝礼・組合活動・診療所・私用外出・トイレ・休憩)」 「工場間移動時間」 「試作・再試作・再試験依頼実験・データ採取」 「評価会準備」 「自己検図・承認手続き」 「ワークサンプリング表の記入」 「生産CODE振当制約条件修正・改訂に伴う工数含む」 「ワープロ入力」 「ファィリング・資料整理」 「製品構成表メンテ」 「構造解析計算」などがある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です