全階層「苦情処理回答、フォロー業務」投入時間・事例第 8 位(2-1-8)

iyoblog (2-1-8)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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全階層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 8 位「苦情処理回答、フォロー業務」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-1-81 へ全階層合計第8位で「苦情処理回答・フォロー業務」テーマの階層別年間浪費時間と占有率の階層別内容例を示す。

また図 2-1-82 へ本テーマの階層別 1人当年浪費時間と占有率の階層別内容例を示す。

更に表 2-1-8 へ全階層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 8 位の能力浪費予防と削減取り組み法例を示す。

 本テーマが、全手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 4 %、勤務時間に対しては 1.2 %に相当する。これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.012 = 5.8 分/日 )となり、設計技術部門全員が略毎日 6 分弱の時間を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門では、年間 2,460 時間相当が本テーマだけの為に失われている現実がある。

「着眼点・分析と評価法」

 本テーマ投入時間を階層別に見ると合計時間ではベテラン層 ( 年 980 時間 ) が一番多く、リーダー層 ( 年 720 時間 )、管理者層 ( 年 378 時間 )、新人層 ( 年 230 時間 )、協力者層 ( 年 150 時間 )と続く。

1 人当り投入時間で見ると管理者層 ( 年 76 時間 )、リーダー層 ( 年 72 時間 )、新人層 ( 年 26 時間 )、ベテラン層 ( 年 19 時間 )、協力者層 ( 年 6 時間 )、と続く。

これを1日当りの発生時間へ換算すると、年実働 220 日 ( 20 日/月 × 12ケ月-休暇分 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると、管理者層が毎日 20.7 分相当ずつ。リーダー層が毎日 19.6 分相当ずつ、新人層が毎日 7.1 分相当ずつ。ベテラン層が毎日 5.2 分相当ずつ。協力者層が毎日 1.6 分相当ずつを、それぞれ投入している実態となる。

 これらの時間結果が示す意味は、開発、設計不具合による市場、客先クレームの発生に伴い、即現地へ出向いてクレームとなった状況、不具合現象、内容と程度の確認および考え得る原因の推定。機器、部品に損傷がある場合にその程度、部品交換必要の有無、修理等で短期間に機能修復、回復可能か、どうか、の見極め。

対策および原因究明方法として現地でどう処置、措置、対処すべきか。現地で直ぐ対処、処置可能な場合には、関係者に許可を得てその場で機能回復措置を施す。

できない場合には、装置、部品類を持帰り必要の有無。回復処理に時間が掛かると予想される場合の対策として、応急処置の方法はどうするか。

また客先の苦情へ取敢えず現地で説明すべき内容と、後日改めて説明すべき内容の区分。

社内上司へ実情の連絡、報告、相談と、担当者として現地で採るべき対応へ指示を仰ぐ等、クレームに伴う苦情処理ではやらなければならない事は多い。

また一人当り投入時間で管理者層とリーダー層の時間が、新人層に対し凡そ約 3 倍、ベテラン層に対し約 3.5 倍と多い。

この理由は、苦情処理回答に当たらねばならない客先と原因発生担当者が、その都度異なり客先へ一緒に出向く回数が増えるためである。

「改善点と予防取り組み法」

 本テーマを減らすまたは予防するには、基本的に苦情原因となる開発・設計不具合を減らさねばならない。

全階層合計第 2 位「客先クレーム処理」テーマの予防法で触れた様に、顧客が期待する寿命期間より短期に機能不全を起こすことへ苦情が出たものである。

その原因は、顧客へ購入して頂いた商品である装置と構成部品個々の寿命を予め伝えて置かないことが大きい。

装置構成のどの部品は、何時間または何日間稼働すれば、どんな不具合を起こし機能不全となるか、予め伝えられ判っていれば、不具合時に備えた準備または予防措置が可能である。

これが伝えられていない状態で、突然稼働中に機能不全で停止となれば、メーカへ苦情となる。

 装置機械・電機機器系製品を構成する部品不具合の 80 %は、振動・衝撃劣化、疲労劣化、腐蝕劣化、摩擦・摩耗劣化、揺動・ねじり劣化、熱衝撃劣化の 6 原因で占めることが知られている。

また装置電気制御計装・実装系構成部品では、落雷・高圧サージ電圧損傷、水滴付着繰り返し絶縁劣化短絡、静電気放電発火・引火、電磁ノイズ誘導誤動作、過負荷発熱焼損、部品ワイヤ断線、膨張収縮はんだ剥離で機能停止の 7 原因が 90 %近くを占めることも知られている。

できれば開発または新規設計で装着した装置構成部品は、全て前記 13 項目で交換必要時期としての寿命を、予め試験で把握し、顧客へ引渡し時に伝えて置くことが望ましい。

「予防取り組みの改善効果」

 本テーマ削減および予防取組みでは、装置構成部品類の開発および新規設計着手では、事前に必ず寿命把握試験実施を義務付ける。

また経過時間毎の寿命に至る前段階で機能喪失となる前兆候現象把握も一緒に義務付ける。

例えば振動が急激に増大する。異常な発熱現象が見られる。異音が生ずる。焼けた臭い、異臭が漂う。色が変わる。

 寿命とは、機械・電機装置類では機能喪失、稼働不能状態を意味する。

特に構成部品の損傷・破損による機能喪失では、該当部品だけでなく周囲部品や装置本体へ影響する場合も生ずる。

前兆候が事前に把握され損傷以前に、該当部品のみ交換で済めば、ユーザーの稼働停止期間と修復費用発生も最小限で済む。

 納期が短いので出荷前に寿命試験を実施する余裕が無いと言うのであれば、加速試験で追試し期間を短縮し把握する方法もある。

要するに納品した客先で不具合による苦情が発生する前に、寿命が把握されていれば苦情となる現象へ予防処置の事前準備対応が可能となる。

納品した後からでも、早い時期にどの部品は何時までに交換が必要ですと、アナウンスすれば良い。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・全階層投入時間第 8 位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」に変えて加筆し不備部は訂正した。

原本入手ご希望の方は、出版社(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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