全階層「追加出図」投入時間・事例第 9 位(2-1-9)

iyoblog (2-1-9)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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全階層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 9 位「追加出図」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-1-91 へ全階層合計第 9 位で「追加出図」テーマの階層別年間浪費時間と占有率の階層別内容例を示す。

また図 2-1-92 へ本テーマの階層別 1 人当年浪費時間と占有率の階層別内容例を示す。

更に表 2-1-9 へ全階層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 9 位の能力浪費予防と削減取り組み法例を示す。

 本テーマが、全手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 3 %、勤務時間に対しては 0.9 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.009 = 4.3 分/日 )となり、設計技術部門全員が略毎日 4 分強の時間を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門では、年間 2,130 時間相当が本テーマだけの為に失われている現実がある。

「着眼点・分析と評価法」

 本テーマ投入時間を階層別に見ると合計時間ではベテラン層 ( 年 1,300 時間 )が一番多く、協力者層 ( 年 500 時間 )、リーダー層 ( 年 180 時間 )、新人層 ( 年 120 時間 )、管理者層 ( 年 30 時間 )と続く。

1 人当り投入時間で見るとベテラン層 ( 年 25 時間 )、協力者層 ( 年 20 時間 )、リーダー層 ( 年 18 時間 )、新人層 ( 年 13 時間 )、管理者層 ( 年 6 時間 )と続く。

これを1日当りの発生時間へ換算すると、年実働 220 日 ( 20 日/月 × 12 ケ月-休暇分 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると、ベテラン層が毎日 6.8 分相当ずつ。協力者層が毎日 5.4 分相当ずつ。リーダー層が毎日 4.9 分相当ずつ、新人層が毎日 3.5 分相当ずつ。管理者層が毎日 1.6 分相当ずつを、それぞれ投入している実態となる。

 これらの時間値結果が示す意味は、それぞれの担当者が約束した出図納期まで間にあわず、納期遅れで出図している分がどの程度発生しているか、を投入時間値として把握したものである。つまり全体としては、納期遅れが、定常的に繰り返し 3 %共通発生していることを意味している。

本テーマ時間を減らす、または予防するとは、出図納期遅れを減らす、または無くすことを言う。では出図遅れは何故発生するのか、原因は何かを明らかにする必要がある。

出図納期遅れが発生するには、幾つかの原因がある。1つは、着手遅れがある。

2つ目に当初の所要工数見積もり不足、または日程設定上に見込み違いが有った場合である。

3つ目に担当者処理能力(習熟度不足の場合と、突発事故で怪我や病気入院発生等)で日数不足に陥る場合がある。

着手遅れとは、前に担当した業務部分でクレーム発生等、対策に手間取り、計画日程通り着手できず、また他の担当者へ業務振替えできず、遅れて着手せざるを得なかった場合である。

2つ目に挙げた所要工数見積もり不足とは、後から客先仕様で追加項目が増え、当初予想した見積もり時間より着手すべき業務内容が大幅に増加し、納期は変えられず、また応援が得られず計画日程内に消化できない状態へ陥る場合を言う。

3つ目に挙げた習熟度不足とは、別の担当者(経験豊かなベテラン)が所要時間・期間を見積もり、実際に着手する担当者能力が見積者より習熟度が低く(経験が浅く処理能力が充分で無い状態)で所要時間、期間が多く掛かる場合を言う。

前記何れの場合も、外注設計活用で乗切る方法も有るが、長い信頼関係構築が無い外注先は、設計では、中々使えない実情がある。

「改善点と予防取り組み法」

 現状ベテラン層の出図納期遅れが、多くの製造業で共通定常化している。

そのため本来管理者層やリーダー層では存在しない筈の本テーマ時間発生が有るのは、持帰り外注活用等で管理者層とリーダー層がどうしても消化せざるを得ない設計テーマ処理へ着手するためである。

 持帰り外注設計委託では、検図、図面修正、出図・製作手配、納期遅れ時の本テーマ作業等、担当する管理者、リーダー本人が直接消化せざるを得ない形で時間発生させる。

 本テーマ時間発生を直接削減、予防するには、1つは、標準図化、標準設計方法化を進め、できるだけ繰返し類似内容での新規着手部分を減らす。

ここで標準設計方法化とは、テーマ毎に標準手順、標準基準、標準構造部品組合せ方法、等の資料類を用意し、新人や構内および持帰り外注設計者の教育ツールと作業マニアルとして活用する。

マニアル作りは、ベテランが中心となり、3 年計画程度の期間目標で新規図面作成の半減化へ取組む。

 2つ目は、手戻り・後処理業務全体の半減化を同じく 3 年計画程度の期間目標で取組むことで本テーマの削減も可能となる。

「予防取り組みの改善効果」

 既存設計品と出力性能を少しUPした製品、部品類の配置構造と大きさを若干変えた製品、右勝手・左勝手を変える製品、温泉地仕様・海水仕様・寒冷地仕様、熱帯乾燥地仕様へ材種変更する製品、等で新たな検証を必要とする部分を除けば、大筋類似内容繰返しで新規着手部分を減らす標準図対応できる標準化取組みは、時間節約から出図納期遅れを減らす上で特に大事となる。

 また前のクレーム処理対応面から着手遅れで本テーマ時間となるのを防ぐには、最初にクレーム予防へ取組むことが一番時間削減効果と費用削減効果も大きい。

手戻り・後処理時間の 45 %は、クレーム対応で発生している現実がある。この部分の原因は、寿命と信頼度把握検証がきちんと行われていない場合が多い。

ここでの本テーマ削減効果との関連は、クレームが減れば、追加出図も直接減る相関関係にある。

 2番目に本テーマ削減、予防で大事な着手すべき手戻り・後処理のステージは、検収・出荷前の手戻り・後処理部分である。

このステージで発生する設計部分は、100 %追加出図となる。つまり追加出図、追加購入、追加製作、追加組立作業、の発生が伴うためである。この部分の主たる発生原因は、仕様決め・構想図作成ステージで、顧客要求仕様設定の不備にある。

ここに一番の注意を払うことが大事となる。

本テーマ削減効果との関連は、仕様変更に伴う手戻り・後処理が減ればそのまま追加出図が減る相関である。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防 60 例・全階層投入時間 9 位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」に変更し加筆し不備部は訂正した。

原本入手ご希望の方は、出版社(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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