管理者層「量試後のコストダウン再検討」投入時間第 2 位(2-2-2)

iyoblog (2-2-2)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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管理者層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 2 位「量試後のコストダウン再検討」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-12-1 へ管理者層投入時間第 2 位で「量試後のコストダウン再検討」テーマの階層別年実投入時間と占有率の比較例を示す。

また図 2-12-2 へ同テーマの階層別 1 人当り年実投入時間と占有率の比較例を示す。

更に表 2-12 へ管理者層の本テーマ予防取組みで必要な対応原則法例を示す。

 本テーマが、管理者層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 21 %、管理者層の手戻り・後処理業務比率は、54 %。勤務時間に対しては 11.3 %に相当する。これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.113 = 54.2 分/日 )となり、管理者層全員が休み無し状態では、略毎日 54 分強を本テーマへ振り向けている実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると、実質では管理者層全員が略毎日 61.9分 強を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門管理者層は、年間 1,134 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 何故各製造企業設計技術部門の管理者層は、本テーマだけの為にこれだけ多くの時間が繰り返し投入され続ける必要があるのか? これには、開発・設計時担当者の目標コスト実現方法に必要な部下指導法に問題があると考え、見直しする必要がある。

 量試後にコストダウンの再検討を必要とする意味は、試作するまで設計品のコスト(製造原価)が当初目標を達成しているか? どうか? 判らないために、実績コストが判明してから、再度コスト低減取組みしなければならない状態を言う。

 管理者層がそのための時間を繰返し発生させていることは、何の疑問も持たないのか? 管理者の資質が問われるテーマと受止める必要がある。

 ここで考えられる第一の問題点は、担当者が開発、新規着手で設計へ取組む前に達成すべき目標の一つとしてコストがきちんと設定されていないのか? と言う疑問である。

第二の問題点は、目標コストを担当者へ達成させるための取組み方法、手順を事前に指導していないのか? と言う疑問である。

 開発、設計で従来品より10%以上コストダウンへの取組みでは、機能開発と同じ新規コスト開発であると言う捉え方が必要である。コスト目標数値以外は、従来法とは異なる原理、方式、構造、形状、材料、処理法、工作法、組合せ法を変え、新規取組みで実現すると考える必要がある。

 従来設計品の見直しによる一部手直し程度でコストが下がると考えても長期に渡りCD繰返しを継続している中で、更なる10 %以上のコストダウン実現は、容易ではない。

従って担当者へ新しいコスト開発へ決意を持って取組む様に指導する必要がある。また方法論も大切となる。

「改善点と予防取り組み法」

 担当者が新しい開発、新規設計テーマへ着手する場合には、目標コストも仕様の一部として、必達すべき優先条件と設定する。

これを忘れると担当者は、要求された機能、性能、特性、設計条件側を優先し、目標コストを後回しにする。

取敢えず物を作り結果を見て、コストは後で確認すれば良い程度にしか考えない方向へ流れる。

 コストを後回しで着手すると目標コストが実現できず、本テーマの手戻り・後処理業務発生となる。

これを防ぐ、予防し、且つ目標コストを確実に実現へ導くには、開発、設計品コスト実現を最優先課題として取組み法、手順変更を指導し、実施義務付けが大切となる。

 具体的には、目標コストを実現し得る、仕様で要求された機能、性能、特性、設計条件を従来法と異なる原理、方式、構造、形状、材料、処理法、工作法、組合せ案を多数作成し、それらのコスト試算(見積り)を先に行う。

 前記複数作成案の中で目標コスト達成可能案を残し、達成不能案は捨てる。

次に残った目標コスト達成可能案の一つずつについて、要求仕様を満たす性能が確保できるか? どうか? を、試作、検証して確認する。

 この方法によれば、当初から目標コストを実現可能か? どうか? の確認を実施した上で進めるため、開発、新規設計着手段階から目標コスト実現が可能となる。

この着手方法を「MUST-COST」法と呼ぶ。一部企業では、既に実施が行われている。

「予防取り組みの改善効果」

 開発、設計案作成段階で目標コスト実現可能か? どうか? 見積り実施済みのため、量産試作を終えてから本テーマのコストダウン再検討を繰返さずに済む。

この効果は、管理者層のみだけでなく、何時もやり直しさせられているリーダー層、ベテラン層、新人層、協力者層の本テーマに振り回される他の階層メンバーの手戻り・後処理業務削減、予防効果に与える影響度が大きい。

 本テーマ防止、予防効果を確実に実施する上で最も大切なことは、目標コスト実現も仕様の一部と見做し担当者へ取組む様に指導、義務付けが必要である。

特に着手段階最初に仕様で要求された機能、性能、特性、設計条件を従来法と異なる原理、方式、構造、形状、材料、処理法、工作法、組合せ案を多数作成し、それらのコスト試算(見積り)を必ず先に行う。

 次に前記複数作成案の中で目標コスト達成可能案のみで、試作、試験、検証へ進める。

この順序を頑なに守らせ実施する。

一見工数が多く掛かると錯覚するが、従来法の試作・試験段階で性能確認面から着手すると、目標コストを達成できないだけでなく、何回も再設計、試作、試験を繰返し、結局営業要求で目標コスト未達のまま、生産、販売する上市へ移行。

しかも品質問題まで発生させ、リコールで利益が出る前に大きな損失発生に繋げる企業も実在する。

これらに対する防止効果も大きいことに、注意を払いたい。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・管理者層投入時間第 2 位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更、加筆し不備部は訂正した。

 なお原本入手ご希望の方は、出版社(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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