管理者層「苦情処理回答、フォロー業務」投入時間・事例第 6 位(2-2-6)

iyoblog (2-2-6)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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管理者層投入時間第 6 位「苦情処理回答、フォロー業務」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-16-1 へ管理者層投入時間第 6 位で「苦情処理回答、フォロー業務」テーマの階層別投入時間と占有率比例を示す。

また図 2-16-2 へ同テーマの階層別 1 人当り年投入時間と占有率例を示す。

更に表 2-16 へ本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を一覧表として示す。

 本テーマが、管理者層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 7 %、管理者層の手戻り・後処理業務比率は 54 %から、勤務時間に対しては 3.8 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.038 = 18.2 分/日 )となり、管理者層全員が休み無しでは、略毎日 18 分強を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると、実質管理者層全員が略毎日 21 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門管理者層は、年間 378 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 ここで本テーマの苦情処理回答、フォロー作業が、管理者層に何故発生するか? これが、問題である。

 市場、客先で明らかな製品技術問題で不具合が発生すると苦情、即ちクレーム問題となる。

ここで苦情となる製品技術問題とは、客先が購入した製品機能が期待通りに稼働、動作しない、性能を満たさない、故障して動かない、等の理由に拠る場合を言う。

そのため、製品が生産設備等の場合には、生産に支障が出るため客先は直ちに機能回復措置の対応を求める。

 これに対し電話対応のみで客先自身で回復できる取扱い上に関する内容の場合を別として、損傷部品の交換を必要とする場合には、即座に保全要員を派遣しないと、莫大な損害賠償請求問題に発展する場合もある。

従ってどんなに些細な苦情内容でも、丁寧、慎重な対応が必要となる。

 客先の製品苦情申し出の対応で大切な事は、不具合発生現象内容をできるだけ丁寧、詳細に聞く。

その上で客先自身が対応可能な範囲の場合には、不具合回復処置法の手順を判り易く説明し、実施して頂き、結果を連絡して頂く。

 客先だけでとても対応できる限界を超えて放置すると影響が大きい事が判断できる製品の部品破損等で副次的災害が伴う現象内容の場合には、直ちに保全サービス要員を派遣し緊急回復対応に当る必要がある。

 苦情内容から機能停止に伴う周囲への影響は少ないが、部品交換を必要とするが、在庫が無く取り寄せ、または製作に時間が掛かる場合には、その旨を説明し、猶予期間をお願いし、了解を頂く。

また代替品が必要な場合には、代替品を提供しご理解を頂く。

しかし前述何れの場合にも、不具合に至った現象内容原因を丁寧に説明する必要がある。

客先が望む場合には、口頭のみで無く文書で回答が必要な場合も多い。

これらは、何れの場合にも本テーマでの対応が避けられない。

「改善点と予防取り組み法」

 商品、製品技術面に対する本テーマを防止し、基本的に予防するには、苦情(クレーム)となる製品不具合現象を発生させない事である。

営業面や企業サービスが悪いとか、直接的な製品技術面で無いテーマを除き、客先側では直接的に対処できない製品稼働保障期間内で不具合発生しない商品、製品を提供する。

 できれば製品を構成する部品一点ずつに、機能、性能を維持、確保できる交換を必要とする稼働保証時間、期間、つまり寿命を明確に表示、アナウンスする。

不具合が部品寿命期間を超えたために発生したか? どうか? 客先でも容易に判断できる様にして置くことが望ましい。

客先が寿命を無視して、壊れるまで使い続けた不具合へ、メーカーが苦情(クレーム)を受ける理由は無い。

これは喩え客先であっても部品寿命を表示するメーカー側の意味を、理解して頂く必要がある。

「予防取り組みの改善効果」

 客先へ商品、製品を提供、納品する際には、構成部品の一点ずつへ、機能、性能を維持するため交換を必要とする保証時間、期間をキチンとメンテナンスマニアル、パーツリスト、トラブルシュウティング、および売買契約書等の書面上へ明示し、且つ口頭でも直接、または営業を経由して伝える。

これを開発、設計担当者へ日常周知徹底させ、実施する取組みを行わず、発生させずに済む本テーマ時間を発生させるのは、管理者層の能力が疑われる行為と見做される事を自覚する。

 機械、電機製品では、稼働することで構成部品は時間経過と共に各種要因で劣化する。金属部品類は、稼働により負荷が掛かることで劣化が進む。

しかし有機系(ゴムや各種樹脂類)材料では、直接の負荷が掛り続けなくても、紫外線や熱衝撃(朝と日昼の温度差、夏場と冬場の温度差)繰返し等で劣化は進む。

ここで劣化とは、部品強度が製作時の使用前と、稼働開始から使用後、または購入後の時間経過後では、劣化により強度が低下する現象を言う。

これらを、客先に充分周知して頂くことも同時に大切である。

 稼働の有無に関係無く、時間経過と共に製品を構成する部品類が劣化し、やがて寿命となり機能、性能を維持、発揮できなく成る結果で損傷、不具合が生ずる事を、客先に承知して使って頂く事が大切となる。

客先も部品寿命を承知しながらご使用頂くことで、本テーマを削減、予防できる様になる。

その意味では、開発、設計時点で製品構成部品の寿命把握をキチンと行い、これを表示する習慣を担当者へ義務付けが必要である。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・管理者層投入時間第 6 位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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