管理者層「設計案・試験結果NG再評価」投入時間・事例第 8 位(2-2-8)

iyoblog (2-2-8)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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管理者層投入時間第 8 位「設計案・試験結果NG再評価」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-18-1 へ管理者層投入時間第 8 位で「設計案・試験結果NG再評価」テーマの階層別投入時間と占有率比較例を示す。

また図 2-18-2 へ同テーマの階層別 1 人当り年投入時間と占有率比較例を示す。

更に表 2-18 へ本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を示す。

(注・本テーマは、全階層手戻り・後処理合計時間10位内へ入らないテーマである。)

 本テーマが、管理者層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 2 %、管理者層の手戻り・後処理業務比率は 54 %から、勤務時間に対しては 1.1 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.011 = 5.3 分/日 )となり、管理者層全員が休み無しでは、略毎日 5 分強を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 5.9分 となり、実質管理者層全員が略毎日 6 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門管理者層は、年間 108 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 ここで本テーマの設計案・試験結果NG再評価が、管理者層に何故発生するか? これが、問題である。

 本テーマの設計案・試験結果NG再評価とは、担当者が当初作成した設計案で試作、検証した結果目標性能、特性、要求設計条件未達で NG となり、当初設計案作成のやり直しと、再度設計審査会(本件では通常 DR・1 に該当)開催で点検し、再試作、再検証を行う段取りとなる。

 ここで問題点は、前記繰返しは、何時終わるか? の保証が無い。

1 回や 2 回では済まず、多い場合には 10 回以上、何十回も繰返す可能性が高い。

問題は何時終わるか? が判らないだけで無く、当初立てた目標性能、特性、要求設計諸条件(確保すべき目標寿命や信頼度値)を実現できる保証と見通しも無い事が問題である。

 これを確実に所定期間内に確実に目標性能、特性、要求設計諸条件(確保すべき目標寿命や信頼度値)を達成できる様に担当者へ取組ませるか? は、直接指導に当たる管理者能力が試されていると、考える必要がある。

 何時終わるか判らない担当者任せで進めるのを止め、確実に一定回数内に目標を達成できる取組み法で進める必要がある。

その方法とは、目標コストを実現する MUST COST 法と同じで、原理試作、方式試作、構造試作、量産試作の各段階で、できるだけ数多く設計試案を用意、検証し、1つずつ目標をクリアーして完成度を高めながら次へ進める取組み方式である。

これが所要期間内に実現できないと、当初目標の性能値を引き下げたり、検証を疎かにし、極端な場合は省略したりすると、完成してから重大事故原因に繋がり、大きなクレーム要因となる。

最近新聞報道された中に、充分な検証を行わず出荷納品した装置で発火事故を起こし、回復対策処理に 880 億円の損失を発生させた国内企業の事例もある。

「改善点と予防取り組み法」

 一定目標期間内に段階を追って完成度を高めるとは、未経験分野の新規設計品開発では、最少単位の機能要素(軸と軸受の組合せの様な最少単位で機能を実現できる素子)開発から着手すると良い。

この場合に同じ目標を実現する方法でも、原理、方式(原理を幾つも組合せ実現を目指す方式)、構造、形状、材料、処理、これらの組合せ法は無数に存在する。

 筆者は、目標を定め特許調査で先人が苦労して編み出した実現方法を先ず検索する。

これは、なまじ自分で考えるより、物事を冷静に判断できる。

例えば、機械構造体の熱変形をミクロン単位で補正する方式を調べると、数千件( 通常 5 千件を超える場合が多い )の出願がヒットする。

これらをヒントに新しい組合せ案件を考え、依頼者へ百件単位でまとめて作成し提案する。

 次の段階では、実際に世の中に出回っている先行商品で使われている物件を参考に、目標実現性の高い組合せ案件で試作、検証へ取組む。

その中から確実性の高い物を残し、更に次の機能要素の組み合わせへ進める。

 以上の説明内容は、一見手間と時間が掛かりそうに見えるが、自分 1 人で考えあぐねているより早く進む。

慣れると手早くできる様になる。この方法を、お勧めしたい。

「予防取り組みの改善効果」

 達成すべき設計目標条件が与えられ、所要期間に制限がある場合には、構造簡単な機能要素開発から着手する。

原理、方式、構造、等は、特許調査により先人の知恵を拠り所に、検証は先行商品、製品で実際に使われている構造例を参考に新しい組合せ案を作成し、試作、検証で確実に完成度を高め、目標へ近づく手順で作業を進める。

 この時注意すべき事は、紙の上で1つに絞り込み、勝負してはいけない。

異なる 10 例以上(できるだけ多い程良い。)の試験用モデルを用意し、目標実現度の高い案件を複数必ず残す様に進める。

更にそれらを組合せ、より性能を高める試作、検証となる進め方とする。

紙の上で試作、検証案を1つに絞込み、目標未達でまた最初からやり直しを繰返す取組み法は、何回目で完成できるか判らないが、前記手順の繰返しで、後戻りせずに完成度を高める取組み法では、原理試作、方式試作、構造試作、量産試作と言う階段を確実に STEP UP して完成品へ到着する。

この取組み法を確り担当者へ教え、実現させることで、目標期間内に完成させ、本テーマの設計案・試験結果NG再評価作業を確実に減らし、予防が可能になる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・管理者層投入時間第 8 位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

 なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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