管理者層「現場からのクレーム処理」投入時間・事例第 9 位(2-2-9)

iyoblog (2-2-9)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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管理者層投入時間で見た手戻り・後処理テーマ第 9 位「現場からのクレーム処理」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-19-1 へ管理者層投入時間第 9 位で「現場からのクレーム処理」テーマの階層別投入時間と占有率例を示す。

また図 2-19-2へ同テーマの階層別 1 人当り年投入時間と占有率例を示す。

更に表 2-19 へ本テーマ予防取組みで必要な対応法原則例を示す。

 本テーマが、管理者層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 2 %、管理者層の手戻り・後処理業務比率は 54 %から、勤務時間に対しては 1.1 %に相当する。

これは1日実働8時間では( 8 時間/日 × 60 分/時間 × 0.011 = 5.3 分/日 )となり、管理者層全員が休み無しでは、略毎日5 分強を本テーマへ振り向ける実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 5.9 分となり、実質管理者層全員が略毎日 6 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門管理者層は、年間 108 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 ここで本テーマの現場からのクレーム処理が、管理者層に何故発生するか? これが、問題である。

 本テーマの現場からのクレーム処理とは、担当者が当初作成した設計出図図書(ドキュメント)で、製造部門からこの図面では製作困難である、または製造上不具合が起きている等の製造クレーム発生へ改良対策としての図面差替え行為を言う。

 前記内容は、社内製造部門だけに限らず資材・購買部門を経由して取引先へ製造委託した場合でも同様に発生する。

 1 つ目のケースは、出図前検図段階で見付けられず、製造部門で判明する図面内で指定された材料・材種が入手できない場合。

熱処理を含めた各種メッキ処理、化成処理、ショットピーニング処理、等の表面処理が実施できない場合。

ぼかし加工(鋭角部から丸へ形を徐々に変化させる等)、特殊形状溝・隅・穴・リセス・段付き、等複雑形状加工ができない場合。

求められる位置決め寸法公差、平面度・真円度・円筒度・直角度、等の形状公差で精度確保できない場合。

長さ、幅、高さ、深さ、直径、等で保有設備上一体加工できず分割加工が必要な場合。

捨て加工しても加工基準、測定基準が取れない場合。組立、結合、締結、分解、仕上げ作業ができない場合。

指定された鋳造、鍛造、溶接法、高周波焼入れ、ガウジング、前処理、後処理作業等ができない場合、等である。

 2 つ目のケースは、加工、製作へ着手してから判明する図面指定通り完成できない場合である。

鋳造品に加工してから巣が見付かり、形状変更で再鋳造が必要な場合。

材種と肉厚で熱処理時の焼入れ部深さが確保できず材種と肉厚変更が必要な場合。

鋳造、溶接時割れが発生し形状や材質変更が必要な場合、等である。

3 つ目が、寸法、公差、仕上げ記号、材質、処理法指定、等の加工必要情報の記載洩れである。

但し、これらは殆どが出図前の検図段階で取り除かれる場合が多いので、本テーマから除かれるケースが多い。

「改善点と予防取り組み法」

 前述記載 1 つ目と、2 つ目ケースで示した現場クレーム処理対象項目を出図図書から減らし、予防するには、管理者層として部下である設計担当者指導、資料提供と教育を何処で行うべきか? を考え適切実施する必要がある。

 本テーマによる現場クレーム発生防止では、基本設計時と詳細設計時の両面から対処する必要がある。

基本設計面では、製品仕様を満足させる要求機能、性能、特性、設計条件充足上で選択した原理、方式、構造、形状、材料、等の組合せをどうしても他へ変えられない場合がある。

腕時計の時間精度を高めるため機械式ムーブメントから電子式ムーブメントへ変更した際のクリスタル(水晶)振動子部品で考えれば判る。

一方詳細設計面では、製造技術面からバラツキをできるだけ少なく安定して、且つコストをできるだけ安く設定できる製造法選択面から部品設計を行う。

従ってここでは、出図後の現場からのクレーム処理を如何に減らし、予防するかの観点に焦点を合わせれば、出図図書作成面から担当者指導と教育および資料整備は、詳細設計時に重点を置いて取組む必要性を強調したい。

 設計プロセス全体で手戻り・後処理発生時間を見ると、

① DR時指摘、出図前検図時指摘の手戻り・後処理時間 24 %、

➁ 出図後の製造クレームの手戻り・後処理時間 23 %、

➂ 出荷前客先指摘の手戻り・後処理時間 8 %、

④ 出荷後客先クレームの手戻り・後処時間理 45 %、発生の共通実態がある。

これらを考えると本テーマ取組みは、前述 ➁ 記載 23 %手戻り・後処理削減と予防へ直結する。

その原因は、担当者の製造技術知識不足から発生する着け払いと考える必要がある。

以上から本テーマ時間を減らし、予防するには、担当者に対する製造技術基礎知識向上教育へ取組む必要と、知識不足を補う資料類整備、および管理者、リーダー、成熟したベテラン先輩達による事前、途中の担当者へ巡回指導実施法を決め、即実施対応を強化する必要がある。

「予防取り組みの改善効果」

 製造技術基礎知識修得教育には、時間が掛かる。

対象は未熟なベテラン層(間違いを繰返す勤続 10 年以上のベテラン層の再教育実施)と新人および協力者が対象となる。

年金受領資格は 25 年以上勤務である。

長年勤続して頂く事を前提に考えれば、年 600 時間( 3 H/日 × 200 日/年 = 600 H/年 )程度ずつ 3 年間続け、じっくり修得して頂く積りで取組む事を勧めたい。

 修得教育までの期間を埋める手段として、リーダー層と習熟ベテラン層を中心に資料整備も同時に進め、完成した分から即活用実施を進める。

 修得教育と資料整備の不備を補う手段として、管理者層、リーダー層、習熟ベテラン層分担による詳細設計担当者に対する毎日、午前、午後の定時、定期巡回指導を交代で実施する。

これら実施繰返しにより、本テーマの現場からのクレーム処理の削減、予防を進める。目標は 1 年で半減化、2 年で 4 分の 1 化、3 年で 8 分の1化、で取組み確実に実現する強い決意が必要である。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・管理者層投入時間第9位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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