リーダー層「客先クレーム処理」投入時間・事例第 2 位(2-3-2)

iyoblog (2-3-2)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リーダー層で見た手戻り・後処理テーマ第 2 位「客先クレーム処理」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-22-1 へリーダー層手戻り・後処理投入時間2位で「客先クレーム処理」テーマの階層別年浪費時間と占有率を示す。

また図 2-22-2 へ同テーマの階層別1人当り年浪費時間と占有率を示す。

また表 2-22 へ本テーマ予防取組みで必要な対応原則法例を示す。

 本テーマが、リーダー層の手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 21 %。

リーダー層の手戻り・後処理業務比率は、45 %。勤務時間に対しては、9.5 %に相当する。

これは1日実働 8 時間では( 8 時間/日 × 60分/時間 × 0.095 = 45.6 分/日 )となり、リーダー層全員が、休み無し状態では、略毎日 46 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

ここで休暇分を差し引いた年勤務日数を 220 日( 20 日/月 × 12 ケ月 = 240 日/年-有給休暇 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると 51.5 分/人となり、実質ではリーダー層全員が略毎日 52 分弱を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門リーダー層は、年間 1,890 時間相当が本テーマだけの為に失われていると見做す必要がある。

「着眼点・分析と評価法」

 本テーマ(客先クレーム処理)に対するリーダー層の役割は、お客様へ原因発生者である担当者を伴い出向き、真摯に向き合い必要な回復措置を行うと共に、同じクレームを繰返し出さない様に設計改善策を客先へも伝え、即実施する事である。

ここで設計改善策を即実施する意味は、クレーム内容が設計不具合に起因する部品交換を必要とする損傷寿命等の場合に、客先で不具合を起こす前に事前交換可能な部品寿命の把握体制を義務付ける事を言う。

何故各製造企業設計技術部門のリーダー層は、本テーマだけの為にこれだけ多くの時間が繰り返し投入され続ける必要があるのか? これには、開発・設計時の客先クレーム防止に必要な品質作込み方法に問題があると考え、管理者層と相談し、見直しする必要がある。

 客先で発生するクレーム対策費面の 70 %が商品・製品を構成する部品設計不具合に起因して発生する共通実態がある。

ここでクレームとなる部品設計不具合原因とは、80 %が、振動・衝撃劣化、疲労劣化、他による損傷で寿命となり、機能回復には交換が必要となる現象が短期間に発生するためである。

機械・電機装置類製品では、前記原因で客先へ出荷後 6 ヶ月(半年)以内に凡そ半分の 49 %。

1 年以内では、70 %発生している共通実態がある。

前記不具合原因最大の理由は、担当者が自分で設計した機械・電機装置類部品の寿命値と経過期間毎の信頼度値(同時に不具合発生確率値の意味を持つ)を事前把握出来ていない、或いはしていない為である。

部品寿命が開発、設計時点で予め把握できていれば、客先で不具合発生前に交換の必要をアナウンス(事前連絡)できる。

これが出来ない結果、不具合を起こした際にクレームとなる。

この簡単な論理と現象実態が、設計担当者と直接の実施指導に当たるリーダー層を含めた関係者が従来から理解されていない結果に他ならない。

「改善点と予防取り組み法」

 予防法は、簡単である。

開発、新規設計着手時点で機械・電機装置類を構成する部品寿命と信頼度値をきちんと把握すれば良い。

ここで部品寿命と信頼度値を把握するとは、新規設計した部品を試作し、機能が維持、持続できない状態になるまで、負荷を掛け続け稼働して見る試験を言う。

簡単に表現すれば、部品が破損して使えなくなる迄寿命を確認する試験を言う。

 また同時に、経過時間または期間毎の信頼度値を把握する必要がある。

そのためには、試験サンプル数が多数必要になる。

従って構成部品数が多い完成組立品で試験を行うのは、得策ではない。

実際には機能要素素子部品が重要で、1 個または組合せ素子を構成する機能要素品のサンプルの複数試験で、信頼度値を把握することが望ましい。

1 個(単品部品)または組合せ品 1 組(軸と軸受組合せの様な簡単な機能素子)と考えると、1 個または  1 組のサンプル試験で得られたデータ(DATA)値は、バラツキ(正規分布)上何の位置に分布しているか? 判別できない。

つまり信頼度値としては使えない。

従って得られたデータからバラツキ(正規分布)値を把握しようと望む場合は、最低 3 個または 3 組以上が必要である。

但しサンプル数が少ないと、非常に誤差が大きい。

そこで筆者は実務的には、要素部品 40 個で 95 %確率値把握試験の積み上げによる実施を推奨している。

「予防取り組みの改善効果」

 本テーマ件数を根本的に減らしたい、予防したいと望む場合には、まず機械・電機装置類構成部品の寿命値と信頼度値を開発、新規設計着手時点できちんと把握する。

構成部品全てで行えれば良いが、これは大変なので、機能確保上重要な部品から先ず実施すると良い。

これは、残念ながら検図(図面上の点検)では、把握、確認できない。

必ずサンプルによる試作、試験で寿命値と信頼度値の把握が避けられない。

 製品構成上どの部品は、稼働開始から一定期間経過後にどの程度の確率(つまり信頼度値)で機能を維持、持続できない状態の損傷に至るか。

寿命試験を実施すれば直ぐ判る。

残念ながら試験して見なければ、判らない。

つまり寿命値を把握していれば、客先に納めたどの製品のどの部品では、稼働開始から何時間または何日経過したら不具合に至るか、発生前に必要部品を交換すれば良いか? の判断と、客先に対する事前の交換時期アナウンスが可能となる。

大事なことは、寿命試験を必ず開発、設計担当者へ義務付け実施、把握し、部品交換時期を客先へ製品納品時、または不具合発生前に必ず連絡しておくことである。

客先にとって予期しない状況下で突然機能停止、稼働不能となれば、クレームとせざるを得ない状態となる。部品寿命の事前把握は、クレームの防止、つまり予防には必須要件である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・リーダー層手戻り・後処理投入時間第 2 位事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「検索キーワード」

「設計」 「手戻り・後処理予防」 「階層別」 「改善法」 「業務効率」 「効率把握4指標」 「価値形成業務」 「基盤整備業務」 「手戻り・後処理業務」 「補助業務」 「管理者層」 「リーダー層」 「ベテラン層」 「新人層」 「協力者層」「未熟なベテラン層」 「商品コンセプト作成」 「作業指示書および指示の為の資料作成・持ち帰り設計と打合せ」 「購入部品仕様検討・評価基準作成」 「市場・顧客要望調査・仕様確認」 「デザイン検討構想図作成」 「設計・裏付け試験検証プランニング・評価工程計画作成(評価基準書)」 「強度計算書作成」 「コスト試算」 「試験・試験評価報告書作成」 「個別ユニット・モジュール・部品デザイン検討」 「取説原稿作成」 「仕様変更による先行手配受注品構成表作成」 「WG活動」 「研修・展示会」 「展示会出品準備対応」 「予算・実績評価」 「委託先・取引先と事前打合せ」 「仕入れ品業者PR対応」 「QC委員会」 「特許調査」 「設計・製図・試験事前・途中指導」 「設計着手前前関係部署打合せ」 「DR1・DR2」 「加工・組立事前・途中指導」 「次世代製品検討会」 「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前点検・確認」 「客先クレーム処理」 「検図指摘による図面修正」 「設計仕様・設計内容事後チェック」 「現場からのクレーム処理」 「量試後のCD再検討」 「設計案再検討、図面修正」 「苦情処理解答」 「追加出図」 「DR指摘による仕様書・図面修正」 「品質改善活動」 「図面改廃処理」 「クレーム対策会議」 「設計案・試験結果NG再評価」 「設計仕様・設計内容事後チェック」 「設計不良の後始末」 「販売・取説・マニアル校正」 「量試不具合検討・再試験法打合せ」 「DR4・DR5」 「社内連絡文書(メール)作成」 「業務外(朝礼・組合活動・診療所・私用外出・トイレ・休憩)」 「工場間移動時間」 「試作・再試作・再試験依頼実験・データ採取」 「評価会準備」 「自己検図・承認手続き」 「ワークサンプリング表の記入」 「生産CODE振当制約条件修正・改訂に伴う工数含む」 「ワープロ入力」 「ファィリング・資料整理」 「製品構成表メンテ」 「構造解析計算」などがある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「全体目次」


(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」公開済み

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」公開済み

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」公開済み

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」公開済み

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」公開済み

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」公開済み

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」公開済み

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」公開済み

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」公開済み

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」公開済み

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」公開済み

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です