全階層「量試後のコストダウン再検討」投入時間・事例第 6 位(2-1-6)

iyoblog (2-1-6)「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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全階層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 6 位「量試後のコストダウン」の能力浪費予防と削減取り組み法

「現状と問題点」

 図 2-1-61 へ全階層合計第 6 位で「量試後のコストダウン再検討」テーマの階層別年間浪費時間と占有率の階層別内容例を示す。

また図 2-1-62 へ本テーマの階層別1人当年浪費時間と占有率の階層別内容例を示す。

更に表 2-1-6 へ全階層合計で見た手戻り・後処理テーマ第 6 位の能力浪費予防と削減取組法例を示す。




 本テーマが、全手戻り・後処理作業時間中に占める比率は 6 %、勤務時間に対しては 1.8 %に相当する。これは1日実働 8 時間では( 8時間/日 × 60 分/時間 × 0.018 = 8.6 分/日)となり、設計技術部門全員が略毎日 9 分弱近い時間を本テーマへ振り向けている実態となる。

また 100 名規模の製造企業設計技術部門では、年間 3,930 時間相当が本テーマだけの為に失われている現実がある

「着眼点・分析と評価法」

本テーマ投入時間を階層別に見ると合計時間ではベテラン層 ( 年 1,630 時間 ) が一番多く、管理者層 ( 年 1,134 時間 )、協力者層 ( 年 800 時間 )、新人層 ( 年 280 時間)、リーダー層 ( 年 90 時間 )、と続く。

1 人当り投入時間で見ると管理者層 ( 年 227 時間 )、協力者層 ( 年 48 時間 )、ベテラン層 ( 年 32 時間 )、新人層 ( 年 26 時間 )、リーダー層 ( 年 18 時間 )、と続く。

 前記階層別時間配分値等から判ることは、量産試作時の生産コスト実績結果を見て、管理者層が市場要求コストを満たすには、更なるコスト低減取組みが必要と判断し、担当者へコスト低減の再設計指示を出し、担当者が再設計に費やす時間として発生させている状態が窺える。

これらの時間は、担当者が詳細設計時の部品設計と出図図書(ドキュメント)作成時に部品材料コスト、処理・加工コスト、組立コスト等を殆ど気にせず設計した結果を量産試作後の実績コスト見直し等で再設計した結果として発生させている時間と見做す必要がある。

これを1日当りの発生時間へ換算すると、年実働 220 日 ( 20 日/月 × 12 ケ月 – 休暇分 20 日/年 = 220 日/年 )と仮定すると、管理者層が毎日 61.9 分相当ずつ。

協力者層が毎日 13.1 分相当ずつ。

新人層が毎日 9.8 分相当ずつ。

ベテラン層が毎日 8.7 分相当ずつ。

リーダー層が毎日 4.9 分相当ずつを、それぞれ投入している実態となる。

 これらの時間結果が示す意味は、担当者が詳細設計時に部品材料コスト、熱処理や加工コスト、組立コスト等を日常殆ど意識せずに設計へ取組んでいる実態が窺える。

そのため量産試作結果による生産コスト実績から、コストダウンの必要上で見直し、修正の再設計指導で管理者層が集中的に直接指示で取組んでいる実態も窺える。

 ここでの問題点は、各担当者が当初から品質を確保しながらコストを最も安く設計する取組み法で着手する様如何に教育、誘導するかが大切となる。

これを抜きに量産試作結果の実績コストを見てから、改めて管理者指示でコストダウンへ取組む手戻り状態を無くすことはできない。

「改善点と予防取り組み法」

 筆者が関与した中で、担当者が日常的に設計品コストに強い関心を持ち、品質を確保しながらその都度採りうる最善のコストを追及する設計法を実施している企業例がある。

 その方法は、要求仕様 ( 機能・性能・特性・設計条件・他 ) を満たす可能性を持つ原理、方式、構造、材料、処理、工作 ( 加工・組立・締結 ) 法の異なる設計案を同時複数考え、作成した各設計案のコスト見積もりを実施、横並び比較する。

その中から最も安く実現できる組合せ構造案を検証し、最終設計案としてまとめて行く取組み法を毎回習慣として定着させ、必ず繰り返し実施している。

 前記設計取組み法は、一見時間が掛かり面倒そうに見えるが、量産試作で実績結果からコスト見直し、手戻りで再設計取組みを行なう場合と比較すれば、遥かに効率的(費用と時間節約および期間短縮効果を持つ)設計取組み法となる。

この手法は、MUST COST法と呼ばれている。

「予防取り組みの改善効果」

 担当者が設計品へコスト(製造原価)を意識せず、納期を理由に手慣れた既存類似の設計組合せ法で部品形状、使用材料、処理、加工、組立て、締結法を繰返すのは、品質を確保するため新規設計品では避けられない検証作業を回避するためである。

 しかし新興国の低コスト競争に晒され、品質をより高めながら絶えず低コスト実現へ設計面から取組まざるを得ない現状では、設計者は従来設計組合せ方式をコスト面から絶えず見直し変えて行く覚悟が必要である。

 コスト低減設計取組みでは、毎回前回設計品より 15 %下げるとか、20 %下げるとか、具体的目標数値を設定して取組むことで、時代に合う目標実現可能な新しい原理・方式・構造・材料・工作法等の組合せ案が実現する。

腕時計に見るメカニカルムーブメント構造からクリスタルを組込んだ電子式ムーブメントへの転換例は、その代表的存在と言える。

 担当者が毎回の設計品に対するコスト低減追及意識を持ち定着化する様、設計取組み時にMUST COST法を採り入れ、複数案でコスト横並び比較を必ず行わせる。

この方法でコスト従来より安く実現する組合せ法を見付ける習慣を身に着ける。

この訓練を、毎回繰返し日常習慣化で定着させる。

前記手法の実施により量産試作後の生産コスト実績結果を見てから、管理者がコスト低減再設計指示に費やす手戻り時間を削減する。同時に担当者が再設計に取組む時間も節約される。

その為の低減目標は、1年で半減化、2年で4分の1化、3年で8分の1化の様に設定し、即実施へ着手する。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2016年3月号臨時増刊号へ掲載した「設計の手戻り・後処理予防60例・全階層投入時間6位事例」部分を今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革と手戻り・後処理予防取り組み法」と変更し加筆し不備部は訂正した。

原本入手ご希望の方は、出版社(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「全体目次」

(2-0)設計の手戻り・後処理予防60例「全体要約」

(2-0-1)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第1章」公開済み

(2-0-2)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第2章」公開済み

(2-0-3)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第3章」公開済み

(2-0-4)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第4章」公開済み

(2-0-5)設計の手戻り・後処理予防60例「総論・第5章」公開済み

「全階層の心得と実務」(全階層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-1-1)全階層合計投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書(ドキュメント)の事後検図、出図前の点検・確認」公開済み

(2-1-2)全階層合計投入時間第2位「客先クレーム処理」公開済み

(2-1-3)全階層合計投入時間第3位「検図による図面修正、手戻り、手直し」公開済み

(2-1-4)全階層合計投入時間第 4位「設計仕様・設計内容事後チェック」公開済み

(2-1-5)全階層合計投入時間第 5位「現場からのクレーム処理」

(2-1-6)全階層合計投入時間第 6位「量試後のコストダウン再検討」

(2-1-7)全階層合計投入時間第 7位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-1-8)全階層合計投入時間第 8位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-1-9)全階層合計投入時間第 9位「追加出図」

(2-1-10)全階層合計投入時間第 10位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

「管理者層の心得と実務」(管理者層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-2-1)管理者層投入時間第 1位「客先クレーム処理」

(2-2-2)管理者層投入時間第 2位「量試後のコストダウン再検討」

(2-2-3)管理者層投入時間第 3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-2-4)管理者層投入時間第 4位「品質改善活動」

(2-2-5)管理者層投入時間第 5位「図面改廃処理」

(2-2-6)管理者層投入時間第 6位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-2-7)管理者層投入時間第 7位「クレーム対策会議」

(2-2-8)管理者層投入時間第 8位「設計案・試験結果NG再評価」

(2-2-9)管理者層投入時間第 9位「現場からのクレーム処理」

(2-2-10)管理者層投入時間第 10位「設計仕様・設計内容事後チェック」

「リーダー層の心得と実務」(リーダー層投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-3-1)リーダー層投入時間第1位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-3-2)リーダー層投入時間第2位「客先クレーム処理」

(2-3-3)リーダー層投入時間第3位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-3-4)リーダー層投入時間第4位「現場からのクレーム処理」

(2-3-5)リーダー層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-3-6)リーダー層投入時間第6位「クレーム対策会議」

(2-3-7)リーダー層投入時間第7位「品質改善活動」

(2-3-8)リーダー層投入時間第8位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-3-9)リーダー層投入時間第9位「設計不良の後始末」

(2-3-10)リーダー層投入時間第10位「追加出図」

(2-4-1~2-4-10)ベテラン層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-4-1)ベテラン層投入時間第1位「客先クレーム処理」

(2-4-2)ベテラン層投入時間第2位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-4-3)ベテラン層投入時間第3位「現場からのクレーム処理」

(2-4-4)ベテラン層投入時間第4位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-4-5)ベテラン層投入時間第5位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-4-6)ベテラン層投入時間第6位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-4-7)ベテラン層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-4-8)ベテラン層投入時間第8位「追加出図」

(2-4-9)ベテラン層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-4-10)ベテラン層投入時間第10位「設計不良の後始末」

(2-5-1~2-5-10)新人層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-5-1)新人層投入時間第1位「現場からのクレーム処理」

(2-5-2)新人層投入時間第2位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-5-3)新人層投入時間第3位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-5-4)新人層投入時間第4位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-5-5)新人層投入時間第5位「販売・取説・マニュアル校正」

(2-5-6)新人層投入時間第6位「設計不良の後始末」

(2-5-7)新人層投入時間第7位「量試後のコストダウン再検討」

(2-5-8)新人層投入時間第8位「客先クレーム処理」

(2-5-9)新人層投入時間第9位「苦情処理回答、フォロー業務」

(2-5-10)新人層投入時間第10位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-1~2-6-10)協力者層の心得と実務」(投入時間上位10テーマ作業の要約と目次)

(2-6-1)協力者層投入時間第1位「検図による図面修正、手戻り、手直し」

(2-6-2)協力者層投入時間第2位「設計仕様・設計内容事後チェック」

(2-6-3)協力者層投入時間第3位「設計案再検討、図面修正、再試作・再試験依頼」

(2-6-4)協力者層投入時間第4位「DR指摘による仕様書・図面修正・手戻り・後処理」

(2-6-5)協力者層投入時間第5位「量試後のコストダウン再検討」

(2-6-6)協力者層投入時間第6位「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前の点検・確認」

(2-6-7)協力者層投入時間第7位「図面改廃処理」

(2-6-8)協力者層投入時間第8位「追加出図」

(2-6-9)協力者層投入時間第9位「客先クレーム処理」

(2-6-10)協力者層投入時間第10位「設計不良の後始末」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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