(1-0)設計の働き方改革 階層別 実現法「全体要約」

設計力向上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ( 1 – 0 )設計力向上研究会(伊豫部将三)編

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「全体要約」

1-0)設計 の働き方改革 階層別 実現法

筆者には、過去コンサルティングで関与した複数企業設計部門で階層別に実態把握した調査DATAがある。その詳細を紹介し改革実現に役立てて貰う目的で、本稿を執筆した。

ここで階層別とは、設計部門実務部隊幹部である部課長管理者層、係長・主任など担当者の直接指導に当たるリーダー層、勤続4年以上のベテラン層、入社3年以内の新人層、構内派遣受入れと持帰り外注の協力者層の方達を言う。

筆者が関与先でDATA蒐集に当たって重視したのは、改革を実現するには問題点の発生源を明確にし、且つ階層別に実現へ役割分担を明確化する必要性を感じている為である。

更に筆者が考案した設計業務効率を評価する4指標で分類した価値形成業務、基盤整備業務、手戻り・後処理業務、補助業務別の分類DATAである。

本稿では、DATAに基づいた問題点抽出・整理・分析・評価と実現可能な改革への取組み方法を簡略にまとめて示した。

本稿は、主に企業で設計業務へ携わっている人向けとしてまとめた。しかし他業務へも応用が可能と考えられるので、周辺関連業務に就いておられる読者の方達の参考になれば幸いである。

参考までに、公開されている先進国と言われるOECD加盟国の勤労者の年間総実労働時間実態調査DATA例を添付する。

ドイツ・フランス・オランダでは、2015年時点で年1500時間を下回っている事に注目して欲しい。

日本でも先進国の一員としての責務からこれらの国を目指した法整備が、今後徐々に進められると思われる。

新型コロナ災禍に伴う一部企業で導入を始める週休三日制は、その前触れと考えれば良い。

1990年以降の失われた20年または30年と言われる日本で、バブル崩壊と言われた以前からアメリカを含む欧米先進国へ現地生産を目指し海外進出した企業で、現地採用した社員から日系企業で仕事の取り組み方に対し、残業時間増加へ繫がる手戻りや後処理の多い進め方へ効率の悪さ指摘は顕著で有ったことが知られていた。

当時ワークホーリィック(work-holistic)と日本人を現地で揶揄する言葉が新聞などで紹介され有名になった。これを当時業務効率の悪さを揶揄する言葉と理解していなかった人達が多かった事に、現地日系企業側幹部の鈍感さが問題点として挙げられる。

最近国内一部企業などで自殺に至る深残業連続が新聞などで採り上げられ社会問題化し、政府主導で企業側に対し労働基準法を根拠に残業規制を真剣に取組み始めている現実がある。

これを今まで仕事に対する日本人固有の自己犠牲による責任感と社会奉仕へ強さの現れとして、サービス残業を美徳の一部と見做し寧ろ称賛し見逃して来た周囲の悪癖に問題がある。

その背後には、企業側に各部門と担当者毎の業務内容詳細実態を常に把握改善して行く習慣と姿勢が欠如していた結果と筆者は見做している。

筆者は、1974年4月17年勤務した自動車メーカーを辞め設計業務を受託する事務所を立ち上げ、現在まで凡そ45年を経過した。

当初知り合いや友人などの紹介から、業務受託には困らなかった。10年近く生産自動化へ特化した設計受託を続ける中で、設計受託と社員教育支援だけでは、効率良く自身の売上げを伸ばせないと感じていた。

その理由は、設計部門の長時間残業と休日出勤および手戻り・後処理発生処理を当然視する業務効率や生産性の低さに辟易していた。

従ってこれを改めるには働き方改革を進め実現するコンサルティングが必要と考え、試行錯誤を繰返しながら受託の力点を変えて行った。

直接のきっかけは、根底に委託元企業の何れでも設計を原因とする市場クレーム対策費や製造仕損費用を当然として繰返し多く発生させている現場に遭遇していた為である。

この場面は、丁度手設計からCAD設計へ移行期間と重複する期間でも有った。

移行に際して多くの企業で従来の手設計が抱える現状実態把握と解決を必要とする問題点を調査・整理・分析・評価・解決せずに只時代の流れに遅れまいと導入移行が進められていた。

従って過去の効率と生産性が悪いままの状態が、CAD化が進んだ現状へ多く引き継がれている実態がある。

以上から設計業務に於ける多くで抱えるムダ(能力浪費)を減らしながら進める働き方改革は、必要が叫ばれている現在だから是非着手せねばならない。

また多くの関与先で収集したDATA解析結果の視点から実現が可能と言える。

設計の働き方改革面で見ると、今回2019年末に中国・武漢市を発生源とする新型コロナ災禍が世界全体に拡がり、これを避けるには多くの企業で先ず三密(密閉空間、集会による密集、人同士による密着接触)防止面から首都や全国主要都市圏を中心にテレワークによる在宅勤務が奨励・実施される結果となった。

設計のテレワークによる在宅勤務では、設計機密情報漏洩防止上から先ずCAD端末を社員担当者の自宅へ移設、専用回線で企業側サーバーへ接続し、必要資料やDATAのやり取りをしなければならない。

また指導する側・指導を受ける側の関係者と直接連絡必要時には、パソコンで相手の顔を見ながら「SKYPE活用」による直接対話やメールでやり取りをしなければならない。前述例は、設計へ適用事例と捉えて良い。

今回テレワーク実施企業(注・2020年5月12日「日経新聞」朝刊掲載記事で約12%実施と推定)では、担当者の往復通勤時間と言うムダを一気に解消して呉れた。

片道1時間で年250日勤務者では、約500時間を節約できる。

仮に22歳入社から65歳定年まで43年間勤務の場合には、一生の間に凡そ2万1千500時間の節約になる。片道2時間の人には、約4万3千時間になる。この時間は、極めて多い。

節約できた時間を自身の生活を豊かにする為に使うか? 楽しみに使うか? 勉学に使うか? 家族のために使うか? 社会奉仕に使うか? 娯楽のために使うか? は、それぞれ個人の考え方次第である。

テレワークでは、今まで管理者やリーダーが目の届く所で行っていた設計のやり方を担当者が離れた場所でも、管理可能な様に色々と変えねばならない。その為には、指示と結果報告要求の出し方で曖昧さが有ってはならない。

離れて居ても要求仕様(用途・目的・働きとしての機能・性能・特性・設計条件・納期・コスト)が、満たされねば困る。

寿命と信頼度の裏付け・実績無い部品・材料・形状・機構・構造・動作とセンサー回路組合せ・工作法・制御法に問題が多い方式が採用されては困る。

個々の詳細仕様書(基本仕様としての機能・性能・特性・要求設計条件・寿命と信頼度の裏付けDATAなど)は、信頼できるリーダーが直接管理承認する必要がある。

図面品質と製品最終品質確保のため途中でDR(Design Review=設計審査)と検図法も、従来法と変えねばならない。

新しい設計品へ着手では、試作品検証も安全面と目標寿命と信頼度値が基準をきちんとクリアされたかも確認されねばならない。

以上からテレワークでは、きちんと実施・維持できる仕組み構築が必要となる。

従って設計の働き方改革は、この機会に何が何でも実現させねばならない。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「引用文献」

本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2018年4月号へ掲載した「設計の働き方改革・総論」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを変更し加筆し、不適部は訂正した。

原本入手ご希望の方は、出版社(日刊工業新聞社・出版局)へ直接お問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「全体目次」

(1-0)設計 働き方改革 階層別 実現法「要約」

設計力向上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ(1-0)

(1-1)設計 働き方改革 階層別 実現法「総論」

設計力向上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ(1-1)

1-2)設計 働き方改革 実現法「管理者層の心得」             

向設計力上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ(1-2)

(1-3)設計 働き方改革 実現法「リーダー層の心得」

設計力向上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ(1-3)

(1-4)設計 働き方改革 実現法「ベテラン層の心得」

設計力向上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ(1-4)

(1-5)設計 働き方改革 実現法「新人層の心得」

設計力向上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ(1-5)

(1-6)設計 働き方改革 実現法「協力者層の心得」

設計力向上 実務 管理 事例 基礎知識 自己啓発シリーズ(1-6)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「本文記載中の検索キーワード例」

「設計力向上」 「手戻り・後処理予防」 「階層別」 「改善法」 「業務効率」 「効率把握4指標」 「価値形成業務」 「基盤整備業務」 「手戻り・後処理業務」 「補助業務」 「管理者層」 「リーダー層」 「ベテラン層」 「新人層」 「協力者層」「未熟なベテラン層」 「商品コンセプト作成」 「作業指示書および指示の為の資料作成・持ち帰り設計と打合せ」 「購入部品仕様検討・評価基準作成」 「市場・顧客要望調査・仕様確認」 「デザイン検討構想図作成」 「設計・裏付け試験検証プランニング・評価工程計画作成(評価基準書)」 「強度計算書作成」 「コスト試算」 「試験・試験評価報告書作成」 「個別ユニット・モジュール・部品デザイン検討」 「取説原稿作成」 「仕様変更による先行手配受注品構成表作成」 「WG活動」 「研修・展示会」 「展示会出品準備対応」 「予算・実績評価」 「委託先・取引先と事前打合せ」 「仕入れ品業者PR対応」 「QC委員会」 「特許調査」 「設計・製図・試験事前・途中指導」 「設計着手前前関係部署打合せ」 「DR1・DR2」 「加工・組立事前・途中指導」 「次世代製品検討会」 「部下・同僚・外注設計作成図書の事後検図、出図前点検・確認」 「客先クレーム処理」 「検図指摘による図面修正」 「設計仕様・設計内容事後チェック」 「現場からのクレーム処理」 「量試後のCD再検討」 「設計案再検討、図面修正」 「苦情処理解答」 「追加出図」 「DR指摘による仕様書・図面修正」 「品質改善活動」 「図面改廃処理」 「クレーム対策会議」 「設計案・試験結果NG再評価」 「設計仕様・設計内容事後チェック」 「設計不良の後始末」 「販売・取説・マニアル校正」 「量試不具合検討・再試験法打合せ」 「DR4・DR5」 「社内連絡文書(メール)作成」 「業務外(朝礼・組合活動・診療所・私用外出・トイレ・休憩)」 「工場間移動時間」 「試作・再試作・再試験依頼実験・データ採取」 「評価会準備」 「自己検図・承認手続き」 「ワークサンプリング表の記入」 「生産CODE振当制約条件修正・改訂に伴う工数含む」 「ワープロ入力」 「ファィリング・資料整理」 「製品構成表メンテ」 「構造解析計算」などがある。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

執筆者の略歴

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員6年、東大和市商工会理事、等を歴任。
 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などがある。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です