詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目・事例(3-50)

iyoblog (3-50)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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iyoblog (3-50)・「詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目」

事例編・第五部「DR- 2(詳細設計着手時の不具合予防)実施法編」

「現状と問題点」

 図 へ「詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目」を示す。

 機械・電機装置では、異種金属同士の部品組合せも多い。

異種金属同士が直接接触する場合には、電気的に接続された状態となる。

この場合では、電極電位の低い材料が先に腐食される現象がある。

この関係を、一般的にガルバニック系列と云う。

ガルバニック系列の特徴は、普通の環境下で陽極(アノード)側となる金属の表面積を陰極(カソード)側となる金属より小さくすればこの影響は少ない。

添付図へ各種金属間の海水中のガルバニック系列を示す。

左側では、18 Cr – 8 Ni – 3 Mo ステンレス鋼(SUS 316 不働態)から電極電位が低くなる順に Pb(鉛)までを示す。

右側では、18 Cr – 8Ni – 3 Mo ステンレス鋼(活性態)から電極電位が低くなる順に Mg(マグネシウム)までを示す。

図中左側と右側の関係では、左側が右側より電極電位が高い。右側が、左側より電極電位が低い。

従って Pb(鉛)と 18 Cr – 8 Ni – 3 Mo ステンレス鋼(活性態)の間では、Pb(鉛)が電極電位が高く 18 Cr – 8 Ni – 3 Mo ステンレス鋼(活性態)の電極電位が低い。

「着眼点・分析と評価法」

 図では示されていないが、18 Cr – 8 Ni – 3 Mo ステンレス鋼(不働態)より電極電位の高い金属としては、Ag(銀)、Au(金)、Pt(プラチナ)が有る。

Ag(銀)とAu(金)では、Au(金)の電極電位が高く腐食しにくい。

Au(金)とPt(プラチナ)では、Pt(プラチナ)の電極電位が高く腐食しにくい。

 SUS 316(不働態)と青銅(砲金)では、SUS 316(不働態)が腐食しにくい。

青銅(砲金)と黄銅(真鍮)では、青銅(砲金)側が電極電位高く腐食しにくい。

黄銅(真鍮)と SUS 316(活性態)では、黄銅(真鍮)側が腐食しにくい。

SUS 316(活性態)とC(炭素)鋼では、SUS 316(活性態)側が電極電位が高く腐食しにくい。

C(炭素)鋼と Al(アルミニウム)では、C(炭素)鋼側が腐食しにくい。

Al(アルミニウム)と Zn(亜鉛)では、Al(アルミニウム)側が腐食しにくい。

従って C(炭素)鋼と Zn(亜鉛)が接触する場合には、Zn(亜鉛)が先に腐食する。

Al(アルミニウム)と Zn(亜鉛)が接触する場合には、Zn(亜鉛)が先に腐食する。

Zn(亜鉛)と Mg(マグネシウム)の接触では、Mg(マグネシウム)が先に腐食する。

炭素鋼表面へ Zn(亜鉛)メッキを施すのは、Zn(亜鉛)を先に腐食させ炭素鋼側を腐食から防御するためである。

「改善点と取組み実施法」

 水分、湿分が有る環境下で異種金属が接触していると、どちらかの金属が単独である場合より早く腐食する性質が有る。

これは、電解質溶液に晒された金属が陽極になって腐食が促進される。

この様な現象を、電蝕(Galvanic Corrosion)と云う。

電蝕がどちらかの金属を先に腐食させるかは、ガルバニック系列で接触する異種金属同士の電極同士の電極電位の高低差関係で決まる。

この関係を把握しておけば、異種金属を組合わせた場合にどちらが先に腐食するか明快となる。

またこの関係を利用し、寿命を長持ちさせたい金属側に対し電極電位の低い金属を意図的にメッキを施し腐食をできる丈防止する手段として利用できる。

炭素鋼表面へ Zn(亜鉛)メッキを施すのは、そのためである。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「検索キーワード」

「市場ニーズ調査」 「先行技術調査」 「開発仕様書」 「要求機能」 「要求性能」 「要求特性」 「要求設計条件」 「目標寿命値」 「目標信頼度値」 「構想図」 「原理選択」 「方式選択」 「構造選択」 「材料選択」 「表面処理選択」「熱処理選択」「工作選択」 「形状選択」 「組合せ選択」 「締結法選択」 「結合法選択」 「動作制御法選択」 「回転・摺動部・間隙部・潤滑法選択」 「疲れ強さ設定」 「振動・衝撃強さ設定」 「耐食性設定」 「摩擦・摩耗強さ設定」 「揺動・ねじれ強さ設定」 「熱衝撃強さ設定」 「切欠き効果劣化防止法」「穴明き効果劣化防止法」 「溝付き効果劣化防止法」 「段付き効果劣化防止法」 「落雷・高圧サージ電圧損傷防止法」 「水滴付着絶縁劣化防止法」 「静電気放電発火・引火防止法」 「電磁ノイズ誘導誤作動防止法」 「過負荷発熱焼損防止法」 「ワイヤ断線防止法」 「膨張収縮半田剝離防止法」 「検証試験実施法基準」 「試験サンプル数基準」 「部品加工基準」 「部品測定基準」 「設計・試験工数見積り法基準」「日程計画法基準」 「コスト見積り実施法基準」 「耐久試験実施法基準」 「破壊・損傷試験実施法基準」 「基本仕様作成法基準」 「寿命試験実施法基準」 「信頼度確認試験実施法基準」 「故障予測実施法基準」 「工程能力指数達成法基準」 「客先クレーム措置法基準」 「苦情処理回答実施法基準」 「市場モニタリング実施法基準」 「耐圧試験実施法基準」 「機密漏洩試験実施法基準」 「プログラムデバック試験実施法基準」 他、などがある。

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴有る特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-39)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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詳細設計で溶接品質確保の確認項目・事例(3-49)

iyoblog (3-49)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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iyoblog 「詳細設計で溶接品質確保の確認項目」DR事例(3-49)

事例編・第五部「DR- 2(詳細設計着手時の不具合予防)実施法編」

「現状と問題点」

 図 1 と図 2 へ「詳細設計で溶接品質確保の確認項目」を示す。

 鋼板部材を突合せ溶接すると、継手接合部分となる溶融金属溶け込み時の溶接熱で部材側に色々な熱影響が生ずる。

6溶接熱は、部材の機械的性質へ結果的に影響する。

引張り強さ、降伏点、伸び、絞り、衝撃強さへ直接影響する。

溶接金属部と部材の中間熱影響部では、衝撃強さを著しく低下させる。

これは、その部分を脆化(ぜいか)させるためである。

また溶接金属部と部材原質部の間には、溶接金属に隣接して外側へ粗粒域が形成される。

その粗粒域に隣接して、更に外側へ細粒域が形成される。

その細粒域には、一部溶解域が同居する。

更に細粒域に隣接して、その外側へ脆化(ぜいか)域が形成される。

その外側が部材原質部となる。

通常前述脆化(ぜいか)域部分までを熱影響部と云う。

突合せ溶接継手では、前述粗粒域と脆化(ぜいか)域が部材の衝撃強さなど機械的性質の低下部分となる。

「着眼点・分析と評価法」

 脆化(ぜいか)域の衝撃強さは、軟鋼部材では原質部の二分の一を下回る値になると見られている。

従って衝撃荷重が繰返し掛る場合には、溶接金属に近い脆化(ぜいか)域部分で破損に至る場合が多い。

 また調質した高張力鋼部材では、粗粒域と細粒域部分で衝撃強さが低下する。

特に粗粒域部分での衝撃強さ低下が著しい。

従って繰返し衝撃荷重が掛る動荷重に対しては、粗粒域部分での破損に注意が必要である。

 これに対し引張り強さは、逆に溶接熱影響部は良い方向に作用し、部材原質部より大きい値となる場合が多い。

従って静的荷重に対しては、溶接金属部と熱影響部が直接の破損個所になる例は少ない。

「改善点と取組み実施法」

 溶接継手の接合部となる溶接金属部は、溶け込み時の溶融温度は1400℃超えまで上昇する。

(注・純鉄の溶解温度は、1530 ℃ 前後と見られている。)

従って溶接金属部に近い部分は、直接熱処理を行っている状態と同じである。

これが、部材の一部を脆化させる原因である。

前記までの溶接時の熱影響を緩和・除去するには、溶接品全体を焼鈍し(やきなまし)すると良い。

鉄道車両では、車両全体が入る大きな炉を造りその中へ車両を入れ焼鈍しを行う。

大型船舶の造船所では、溶接を行いながら溶接部を直ぐ大きなガス火炎装置で内部まで熱が届く様に再加熱し焼鈍しを行っている。

溶接品が大きく且つ板厚が厚いため片側からだけでは熱が内部へ届かない場合には、表と裏から同時加熱して行っている。

50 mm 以上の厚板、100 mm 以上の厚板構造物に対しても同様である。

また溶接品がどんなに大きくても溶接棒を上向きで溶接はできないため、溶接品を横向きへ回転させたり、引っ繰り返して溶接棒が下向きになる方向で溶接する。

最悪で横向き、可能な限り斜め下向きの角度で溶接を行う現状実態がある。

「実施による改善効果」

 部材溶接部や溶接金属部を中心にその周辺では、溶融熱により粗粒域、細粒域、脆化(ぜいか)域が形成され、引張り強さや衝撃強さなどの機械的性質が著しく変化する。

そのため、炉で焼鈍しを行うか、溶接後のガス再加熱で焼鈍しを行うか、現場の実情に合わせて必ず実施する事が溶接不具合を防止する基本である。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「検索キーワード」

「市場ニーズ調査」 「先行技術調査」 「開発仕様書」 「要求機能」 「要求性能」 「要求特性」 「要求設計条件」 「目標寿命値」 「目標信頼度値」 「構想図」 「原理選択」 「方式選択」 「構造選択」 「材料選択」 「表面処理選択」「熱処理選択」「工作選択」 「形状選択」 「組合せ選択」 「締結法選択」 「結合法選択」 「動作制御法選択」 「回転・摺動部・間隙部・潤滑法選択」 「疲れ強さ設定」 「振動・衝撃強さ設定」 「耐食性設定」 「摩擦・摩耗強さ設定」 「揺動・ねじれ強さ設定」 「熱衝撃強さ設定」 「切欠き効果劣化防止法」「穴明き効果劣化防止法」 「溝付き効果劣化防止法」 「段付き効果劣化防止法」 「落雷・高圧サージ電圧損傷防止法」 「水滴付着絶縁劣化防止法」 「静電気放電発火・引火防止法」 「電磁ノイズ誘導誤作動防止法」 「過負荷発熱焼損防止法」 「ワイヤ断線防止法」 「膨張収縮半田剝離防止法」 「検証試験実施法基準」 「試験サンプル数基準」 「部品加工基準」 「部品測定基準」 「設計・試験工数見積り法基準」「日程計画法基準」 「コスト見積り実施法基準」 「耐久試験実施法基準」 「破壊・損傷試験実施法基準」 「基本仕様作成法基準」 「寿命試験実施法基準」 「信頼度確認試験実施法基準」 「故障予測実施法基準」 「工程能力指数達成法基準」 「客先クレーム措置法基準」 「苦情処理回答実施法基準」 「市場モニタリング実施法基準」 「耐圧試験実施法基準」 「機密漏洩試験実施法基準」 「プログラムデバック試験実施法基準」 他、などがある。

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴有る特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-39)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目・事例(3-48)

iyoblog (3-48)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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iyoblog (3-48)・「詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目」

事例編・第五部「DR- 2(詳細設計着手時の不具合予防)実施法編」

「現状と問題点」

 添付図 1 、図 2、図 3 へ「詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目」を示す。

 加工コスト引下げでは、プレス成形は極めて有効な手段の一つである。

金型を使い素材を一回で必要な形状へ成形できれば、極めて作業が簡単である。

しかし平板状素材から仮にカップ筒形状へ深絞り成形した場合に材種次第で、置き割れと云う不具合が生ずる。

ここで置き割れとは、成形時当初は形状が良好でも暫く放置し時間が経過してから成形品で割れが発生する現象を云う。

 置割れが発生し易い材種には、展延性に富むオーステナイト系ステンレス鋼や純鉄に近い材種に多い事が知られている。

この種の素材では、伸び、絞り、靭性が良い特徴がある。

そのため耐衝撃力が大きく、切欠き感度が鈍い。

オーステナイト系ステンレス鋼が著しく加工硬化するのは、塑性変形に依ってオーステナイト組織が硬化するためである。

その塑性加工による変形と硬化は、同時に内部へ残留応力を生ずる。

「着眼点・分析と評価法」

 平板からカップ筒形状に深絞り成形すると、材料は引張られながらカップ部が周囲から引き寄せられながらカップ状に圧縮される。

また平板から四角の箱型状に深絞り成形する場合では、コーナ隅部へ特に材料が周囲から狭い個所へ集中して多く引き寄せられ圧縮を受ける。

そのため素材で引張力を受けながら同時に圧縮力として働く。

この材料が集中的に引き寄せられる個所で、成形後に置き割れが発生し易い特徴がある。

 従って圧縮残留応力が特に大きく発生する個所で、後から置き割れが生ずると考えられている。

「改善点と取組み実施法」

 深絞り成形による置き割れが生ずる原因として、引張力と同時に圧縮力が働き加工硬化による圧縮残留応力が生ずる個所で多く発生する。

従って置き割れ防止と削減には、成形後圧縮残留応力を除去するための焼鈍し(又は焼きなまし)工程を入れる事が望ましい。

また一回の成形で大きい加工率としない絞り成形とする事も望ましい。

オーステナイト鋼の様な展延性と靭性に富む素材では、一回で深絞りによる成形率が大きく得られる。

しかしこれを二回、三回、四回と多数回に分け、加工硬化と圧縮残留応力発生を極力抑える成形法に変える事が望ましい。

カップ状円筒形容器や角状箱形容器の深絞りでは、平板素材から成形時材料が引き寄せられる事で圧縮残留応力の発生が避けられない。

そのため一回当たりの絞込み量は、できる丈少なく設定することが望ましい。

「実施による改善効果」

 更に深絞り成形品の一回当たりの絞込み量は、加工硬化に伴う硬さが高くならない様に注意しながら進める。

どうしても一回当たりの絞込み量を少しでも大きく取りたいと望む場合では、中間工程へ圧縮残留応力をキチンと除去する焼鈍し工程をその都度必ず入れる事が望ましい。

また金型設計上で平板素材に対する皺(しわ)抑えは、できる丈パンチ側ぎりぎり迄設定する事が望ましい。

これは、皺抑え圧力と残留応力の大きさに明らかな相関が見られるためである。

前記事項を丁寧に一つずつきちんと実施する事で、深絞り品の置き割れ不具合発生を確実に防止する事が可能となる。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「検索キーワード」

「市場ニーズ調査」 「先行技術調査」 「開発仕様書」 「要求機能」 「要求性能」 「要求特性」 「要求設計条件」 「目標寿命値」 「目標信頼度値」 「構想図」 「原理選択」 「方式選択」 「構造選択」 「材料選択」 「表面処理選択」「熱処理選択」「工作選択」 「形状選択」 「組合せ選択」 「締結法選択」 「結合法選択」 「動作制御法選択」 「回転・摺動部・間隙部・潤滑法選択」 「疲れ強さ設定」 「振動・衝撃強さ設定」 「耐食性設定」 「摩擦・摩耗強さ設定」 「揺動・ねじれ強さ設定」 「熱衝撃強さ設定」 「切欠き効果劣化防止法」「穴明き効果劣化防止法」 「溝付き効果劣化防止法」 「段付き効果劣化防止法」 「落雷・高圧サージ電圧損傷防止法」 「水滴付着絶縁劣化防止法」 「静電気放電発火・引火防止法」 「電磁ノイズ誘導誤作動防止法」 「過負荷発熱焼損防止法」 「ワイヤ断線防止法」 「膨張収縮半田剝離防止法」 「検証試験実施法基準」 「試験サンプル数基準」 「部品加工基準」 「部品測定基準」 「設計・試験工数見積り法基準」「日程計画法基準」 「コスト見積り実施法基準」 「耐久試験実施法基準」 「破壊・損傷試験実施法基準」 「基本仕様作成法基準」 「寿命試験実施法基準」 「信頼度確認試験実施法基準」 「故障予測実施法基準」 「工程能力指数達成法基準」 「客先クレーム措置法基準」 「苦情処理回答実施法基準」 「市場モニタリング実施法基準」 「耐圧試験実施法基準」 「機密漏洩試験実施法基準」 「プログラムデバック試験実施法基準」 他、などがある。

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴有る特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-39)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目・事例(3-47)

iyoblog (3-47)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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iyoblog (3-47)・「詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目」

事例編・第五部「DR- 2(詳細設計着手時の不具合予防)実施法編」

「現状と問題点」

 添付図 へ「詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目」を示す。

 機械・電機装置構成部材でステンレス鋼部品を使う場合の問題点は、重量単価が炭素鋼より高い事である。

また難削材と言われる材種が多いため、加工に時間が掛り工数面から加工単価も高くなる。

量産品で使う場合には、P(燐)、S(硫黄)、Se(セレン)などを微量加えた快削ステンレス鋼で対応する。

以上から止むを得ない場合以外は、なるべく使いたくない現状がある。

それでもステンレス材を使わざるを得なくなる場合が生ずる。

通常良く使う炭素鋼なら 100 円\/kg 前後で済む金額が、材種により 400 円\/kgを超える場合もある。

筆者は、SUS 304 材を多用する某搬送装置メーカーで比較防錆試験を行い SUS 430 材へ変更し 100 円\/kg 以上のコスト低減を図った経験がある。

客先要望から止むを得ずステンレス材を使用しなければならない場合でも、材種選びを使用目的(要求機能面)から見直しコスト引下げ可能な場合が有る事を実効果で示した。

「着眼点・分析と評価法」

 ステンレス鋼には、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系の三種が有る。

この中でオーステナイト系ステンレス鋼には、SUS 304 で代表される Cr 18 %、Ni 8 % の合金鋼がある。

この材種の特徴は、変態点を持たないので急速冷却しても硬化しない。

耐力(降伏点)は、引張り強さに比較すると低い。降伏比(耐力/引張強さ)は、40 ~ 50 % である。

この材種で引張強さ値を高くできるのは、オーステナイト組織が塑性変形し硬化するためである。

また伸び、絞り、衝撃強さが大きく、切欠き感度が鈍い性質を持つ。

この性質は、マイナス 200 ℃ 以下の低温度から 300 ℃ 以上の高温度まで範囲が広い。

略同じ性質を持つ材種には、18 Cr – 8 Mo オーステナイトステンレス鋼と 100 % Ni 材がある。

「改善点と取組み実施法」

 マルテンサイト系のステンレス鋼は、炭素鋼と同じ様に熱処理(焼入れ・焼戻し = 調質)が可能である。

焼入れによってマルテンサイト組織を形成し、硬化する。

マルテンサイト組織は、硬く、強く、脆いが、焼戻しで優れた機械的性質が得られるので、高温環境下で強さを確保したい場合に対応できる性質がある。

フェライト系ステンレス鋼は、冷間加工で少し硬化する。

C 含有 % が少なく Cr 含有 % が多い場合には、安定したフェライト組織を持つ。

そのため熱処理で急冷しても硬化しない。

但し C 含有 % が多く Cr % が少ない材種では、焼入れ硬化性を持つ。

「実施による改善効果」

 普通の炭素鋼では、200 ℃ 以上の高温になると引張強さなどの機械的性質は急速に低下し 500 ℃ 付近までしか使用に耐えない。

これに対し各種ステンレス鋼では、材種で若干の差があるが 600 ℃ 付近まで十分使用に耐える強さを確保できる。

 高温環境下で使用に耐える材種が必要な場合では、どの材種を採ってもステンレス鋼は一般の炭素鋼より耐熱性は高い数値を示す。

600 ℃ で使用する場合には、オーステナイト系が優れている。

500 ℃ ならマルテンサイト系が良い。

段付き効果、溝付き効果などの切欠き効果には、ステンレス鋼は共通して鈍い(靭性)ので優れた効果を発揮する。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「検索キーワード」

「市場ニーズ調査」 「先行技術調査」 「開発仕様書」 「要求機能」 「要求性能」 「要求特性」 「要求設計条件」 「目標寿命値」 「目標信頼度値」 「構想図」 「原理選択」 「方式選択」 「構造選択」 「材料選択」 「表面処理選択」「熱処理選択」「工作選択」 「形状選択」 「組合せ選択」 「締結法選択」 「結合法選択」 「動作制御法選択」 「回転・摺動部・間隙部・潤滑法選択」 「疲れ強さ設定」 「振動・衝撃強さ設定」 「耐食性設定」 「摩擦・摩耗強さ設定」 「揺動・ねじれ強さ設定」 「熱衝撃強さ設定」 「切欠き効果劣化防止法」「穴明き効果劣化防止法」 「溝付き効果劣化防止法」 「段付き効果劣化防止法」 「落雷・高圧サージ電圧損傷防止法」 「水滴付着絶縁劣化防止法」 「静電気放電発火・引火防止法」 「電磁ノイズ誘導誤作動防止法」 「過負荷発熱焼損防止法」 「ワイヤ断線防止法」 「膨張収縮半田剝離防止法」 「検証試験実施法基準」 「試験サンプル数基準」 「部品加工基準」 「部品測定基準」 「設計・試験工数見積り法基準」「日程計画法基準」 「コスト見積り実施法基準」 「耐久試験実施法基準」 「破壊・損傷試験実施法基準」 「基本仕様作成法基準」 「寿命試験実施法基準」 「信頼度確認試験実施法基準」 「故障予測実施法基準」 「工程能力指数達成法基準」 「客先クレーム措置法基準」 「苦情処理回答実施法基準」 「市場モニタリング実施法基準」 「耐圧試験実施法基準」 「機密漏洩試験実施法基準」 「プログラムデバック試験実施法基準」 他、などがある。

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴有る特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

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iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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詳細設計で部品素材選択の確認項目・事例(3-46)

iyoblog (3-46)「設計の働き方改革とDR(設計審査)の具体的取り組み法」設計力向上研究会(伊豫部将三)編

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iyoblog (3-46)・「詳細設計で部品素材選択の確認項目」

事例編・第五部「DR- 2(詳細設計着手時の不具合予防)実施法編」

「現状と問題点」

 添付図 へ「詳細設計で部品素材選択の確認項目」を示す。

 機械・電機装置類設計時に部品材料を選定する際には、大きさはできればコンパクトにまとめたい。

その希望に叶う強くて安い材料はないか? と云う気持ちが働く。

そのためどうしても市場で入手し易い使い慣れた鉄系(炭素鋼)材料から選択する場合が多い。

 炭素鋼材料の特徴は、鉄と何か他の元素との合金材料である。

その合金成分の種類と含有量(重量比 %)で、略機械的性質が確定する。

 添付図 で示す合金元素は、一種類で組合せ使用する場合もあるが、要求機能(注・求められる働き)により二種類以上を組合わせて使用する場合も多い。

「着眼点・分析と評価法」

 図の表題に「切欠き靭性」と表現するのは、粘り強さ(脆さの反対)に与える影響面から分類すると云う意味である。

 切欠き靭性を損なう元素には、C(炭素)、P(燐)、Cr(クローム)、Mo(モリブデン)、V(バナジウム)、S(硫黄)、As(ヒ素)、Sn(錫)、N2(窒素)、O2(酸素)である。

 前記の図中でC(炭素)は、炭素鋼として一番使われている。

その理由は、製鋼時にコークスを燃やし溶解する為どうしても多く混入が避けられない。

またC(炭素)は、混入量を調整し熱処理(焼入れ・焼戻し)で硬さを高め強さを出す主な成分としての役割がある。

言い換えれば、強さはC(炭素)含有%でコントロールする。

 切欠き靭性を損なう元素であるCr(クロム)が良く使われる理由は、鋼材の焼入れ性を向上する性質が求める場合に効果がある。

また耐高温酸化性が良いためである。

焼入れ性を向上するとは、合金成分が C(炭素)丈の場合に素材径が太くなると焼入れ時に表面から近い部分へ焼入れされるが、内部まで深く焼入れ効果が及ばない。

この場合に Cr(クロム)含有%を多くすると、内部まで深く焼入れ効果が及ぶ。

ここで焼入れ効果とは、マルテンサイト組織が内部まで生成される事を云う。

通常焼きが入っているか? どうか? の判定は、マルテンサイト組織が 50 % 以上を占めているか? どうか? で判断する。

或る部材で焼入れ後、部材を切断し磨いてエッチング(断面を腐食)し顕微鏡で覗き表面からの距離を測定しマルテンサイト組織が 50 % 以上を占めている距離が 5 mm で有れば焼入れ深さを 5 mm と評価する。

 また Cr(クロム)含有 % を多くすると、耐高温酸化性が、良くなるためである。

蒸気機関が開発された当初炭素鋼丈ではボイラーが直ぐボロボロになり、寿命が短い素材であった。

この寿命を延ばすため最初の高 Cr 含有 % のステンレス(マルテンサイト系)が、開発された。

しかし Cr は基本的に塩素イオンに対する抵抗力(耐食性)が弱い。

このため、ボイラーを海洋船舶へ搭載できなかった。

そこへ Ni(ニッケル)を合金成分として付加する事で、海水にも強い 18 Cr – 8 Ni(SUS304)に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼が開発された。

現在では、耐高温酸化性を確保しながら耐食性の高い各種素材が登場するに至った経緯がある。

今日では耐食性寿命を更に延ばしたスーパーステンレス鋼が、海上埋立地の空港設備(大阪の関西国際空港と名古屋の中部国際空港および羽田空港滑走路の地下支柱として)へ多量に使われている。

「改善点と取組み実施法」

 切欠き靭性を高める元素には、Mn(マンガン)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Ti(チタン)がある。

常時強い衝撃力が掛り続ける岩石を砕いて砂利を造るクラッシャーの圧迫板には、衝撃破壊を防ぐため高マンガン鋼が使われている。

またマイナス 40 ℃ 以下の寒冷地で、構造部材の衝撃破壊を防ぐため多くの場合高マンガン鋼が使われる。

切欠き靭性にあまり影響しない元素としては、Si(シリコン)、Cu(銅)がある。

添付図へ記載していないが、Mo(モリブデン)は、第二次大戦中に経済封鎖を受けたドイツが W(タングステン)の入手ができなくなり、W(タングステン)の代用品としてMo(モリブデン)を用いたのが初めと言われている。

現在では、工具(刃物)材として広く多用されている。

「実施による改善効果」

 部品素材として鋼材を選択する場合には、使用目的に合わせ機能面から合金成分の役割りを考え選ぶ事が大切となる。

 寒冷地で使われる製品・装置で有れば、炭素鋼のみでは – 40 ℃ 以下で衝撃強さを確保できない。

C(炭素)含有 % の 12 倍以上の Mn(マンガン)含有%の鋼材を使用する。

マイナス 60 ℃ 以下では、基本的に炭素鋼のみで構造材としては使えない。

18 Cr – 8 Ni オーステナイトステンレス鋼、18 Cr – 8 Mo オーステナイトステンレスか 100 % Ni 材を使用する必要がある。

 強い衝撃力が常時掛る場合では、高 Mn 鋼を選択する。

直径 100 粍以上の太径部品で中心部まで焼入れを行いたい場合では、マルテンサイト系ステンレスの SUS 403 材、SUS 410材、SUS 420 材から選択するのが望ましい。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社月刊「機械設計」誌2017年3月号臨時増刊号へ投稿掲載した「設計の品質保証に必須のDR実施法 50 事例」部分へ今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とDRの具体的取り組み法」へ変更し、加筆し不備部は訂正した。

なお原本入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「検索キーワード」

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「全体目次」

「総論 」

iyoblog (3-0-1)・(はじめに) 設計の品質保証を左右するDR(Design Review = 設計審査)

「解説」

iyoblog (3-0-2)・第1章・DR-0(商品開発企画の仕様書と構想図作成段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-3)・第2章・DR-1(開発試作品設計・検証および基本設計段階)の取組み法と現状実態

iyoblog (3-0-4)・第3章・DR-2(詳細組立図と部品設計・出図図書作成段階)の取組み法と現状実態

事例編・第一部「DR組織および事前準備関連取り組み法」

iyoblog (3-01)・市場クレームの手戻り予防では、DRの主要目的を点検会から事前指導会へ重点を転換する

iyoblog (3-02)・客先指摘仕様洩れ手戻り予防では、基本仕様項目の主要部はDR会が作成する

iyoblog (3-03)・事前市場ニーズ調査では、先行競合品と併せ、新規見込み購買層調査も義務付ける

iyoblog (3-04)・先行技術調査では、先行メーカー動向と併せ、新規参入見込みメーカー有無動向調査も義務付ける

iyoblog (3-05)・開発仕様書の要求機能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴機能設定を義務付ける

iyoblog (3-06)・開発品の要求性能設定では、市場ニーズ調査から従来品に無い特徴性能設定を義務付ける

iyoblog (3-07)・開発品の要求特性設定では、従来品に無い特徴有る特性設定を義務付ける

iyoblog (3-08)・要求設計条件設定では、従来品に無い寿命値設定を義務付ける

iyoblog (3-09)・要求設計条件設定では、従来品に無い信頼度値設定を義務付ける

iyoblog (3-10)・開発品の構想図作成では、従来品に無い原理・方式・構造選択を義務付ける

事例編・第二部「DR-0 ・商品企画・関連仕様作成取り組み法」

iyoblog (3-11)・開発仕様書と構想図作成段階で確認すべき項目

iyoblog (3-12)・開発仕様書案で確認すべき項目

iyoblog (3-13)・構想図案で確認すべき項目

iyoblog (3-14)・メカ系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-15)・制御・実装系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-16)・計測器系構想設計部位案で確認すべき項目

iyoblog (3-17)・メカ系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-18)・制御・実装系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-19)・計測器系構想設計部位案で検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-20)・構想設計案作成図書で確認すべき項目

「事例編・第三部・DR-1(1) ・ 商品企画・関連仕様作成実施取り組み法」

iyoblog (3-21)・試作品設計段階で事前確認すべき項目

iyoblog (3-22)・メカ系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-23)・制御・実装系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-24)・計測器系部位試作品設計案で事前確認すべき項目

iyoblog (3-25)・メカ系部位試作品案の検証で事前確認すべき項目

iyoblog (3-26)・制御・実装系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-27)・計測器系部位試作品案の検証前に確認すべき項目

iyoblog (3-28)・メカ系部位試作品案の検証結果評価法で事前確認すべき項目

iyoblog (3-29)・制御・実装系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

iyoblog (3-30)・計測器系部位試作品案の検証結果評価法で確認すべき項目

「事例編・第四部・DR-1(2) ・ 基本設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-31)・基本設計で開発品と既存品組合せ部位の確認項目

iyoblog (3-32)・基本設計で環境条件の確認項目・その1

iyoblog (3-33)・基本設計で環境条件の確認項目・その2

iyoblog (3-34)・基本設計で環境条件の確認項目・その3

iyoblog (3-35)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-36)・基本設計で鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-37)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-38)・基本設計で非鉄系材料使用部位の確認項目・その2

iyoblog (3-39)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その1

iyoblog (3-40)・基本設計で非金属系材料使用部位の確認項目・その2

「事例編・第五部・DR-2 ・ 詳細設計着手時の不具合予防取り組み法」

iyoblog (3-41)・詳細設計で炭素鋼熱処理部品の確認項目

iyoblog (3-42)・詳細設計で部品形状の確認項目

iyoblog (3-43)・詳細設計で衝撃強さ確保の確認項目

iyoblog (3-44)・詳細設計で摩耗強さ確保の確認項目

iyoblog (3-45)・詳細設計でねじ締結部の確認項目

iyoblog (3-46)・詳細設計で部品素材選択の確認項目

iyoblog (3-47)・詳細設計でステンレス鋼選択の確認項目

iyoblog (3-48)・詳細設計で深絞り品置き割れ防止の確認項目

iyoblog (3-49)・詳細設計で溶接品質確保の確認項目

iyoblog (3-50)・詳細設計で異種金属接触による腐食防止の確認項目

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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