「ライバル品を物真似し、クレームが出てから慌てて確認テストするムダ・事例(4-30)」

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Iyoblog・「ライバル品を物真似し、クレームが出てから慌てて確認テストするムダ・事例(4-30)」

「現状と問題点」

 設計時にはライバル・競合品を市場から入手分解し、設計法やコストダウンの参考(ヒント)にする事例は、多くの企業で実際的に行われている。一般消費者向けの耐久消費財・日用品など国内で競合メーカー品が複数有る分野では、特に市場で激しく行われている。その際に大事な問題点は、クレーム・トラブルの発生情報も丁寧に調べて置く事が必要で有る。特に著名な大手メーカーが取り入れて居るので多分大丈夫だろうと思い、特許に抵触しない事を確かめ物真似、設計対応し、クレーム・トラブルを一緒に採用する事に成り兼ねない危険と事例がある。これは、ムダで有る。この様なムダは、是非防止しなければ成らない。

 設計時に経験の無い新しい原理・方式・構造品を開発すると、その検証の為の試作と試験に時間と費用が掛かる。その為出来るだけ先行メーカーの既成設計品を参考にしながら短時間に開発や設計を進め様と努力する。今迄に無い新しい可能なアイデア品は、ライバルメーカー品と言え、特許に抵触する場合を除いて、利用出来るなら活用したいと考えるのは、設計者の常で有る。この為、あのメーカーが採用した方法だから、自分達の設計では検証を満足にせず採用を進める場合も有る。この時物真似部分で、そっくりクレーム・トラブル部分を起こして仕舞うケースも多い。これは、是非避ける必要が有る。その為ライバル品を参考にする場合は、同時にクレーム・トラブル情報、例えば自動車などでは、町の修理工場を覗いて聴いて見る事(注・販売代理店では聴けない)が大切で有る。

 図-4-301へ「物真似設計でクレーム・トラブル事例とその改善例」を示す。

「着眼点・分析と評価法」

 他社製品を入手設計参考とする場合では、原理・方式・構造・形状・材料・処理法丈でなく、その要求設計条件値設定法などの設計思想の確認が大切と成る。原理・方式・構造などは、分解する事で、或る程度は判読可能である。しかし設計思想としての設定条件としての設定値(保証値・限界値・材料強度の中央値としての目標値など)は、試作・試験して見ないと判らない部分が多い。特に寿命値(時間寿命・回数寿命・距離寿命)と寿命経過後の信頼度値の設定。振動・衝撃強さ、疲れ強さ、酸・アルカリに対する腐食強さ、摩擦・摩耗強さ設定、揺動・ねじり強さ、熱衝撃強さなどに対する設定問題などは、エンドユーザーの使用・設置環境を何処まで配慮しているか? は、それなりの実地試験が必要に成る。これらは、上市(販売開始)後のクレーム・トラブル発生に直接影響する。

 外見だけスケッチして簡単に判断し物真似設計すると、エンドユーザーが求めている要求設計条件としての寿命値と信頼度値の不適切が短期間で露見し、リコールが必要に成る。即ち上市後のクレーム・トラブルは、要求設計条件値設定に対する不適切評価として受け止める必要が有る。つまりマーケットが要求設計条件設定不備を、クレーム・トラブルの形で反応し、設計改良を求めていると理解しなければ成らない。

「改善点と取り組み法」

 改善法の第一点は、設計参考資料とする為に市場で先行競合メーカー品を入手する際に、同時にその商品・製品でのクレーム・トラブル有無情報を丁寧に調査・蒐集する習慣を確立・義務付けて置く事で有る。その目的は、先行メーカー・競合品のクレーム・トラブルと成った要求設計条件の不備を適切に把握し、自社品では同じクレーム・トラブルを発生させない様に要求設計条件設定を当初から造り込む事が必要で有る。

 改善法の第二点は、先行メーカー競合品を入手する際には、可能な限りバラツキ(分布)を把握出来る様に複数入手する必要が有る。その意味・目的は、一品では、把握した数値で使用材料のバラツキなど、例えば試験で入手した数値が正規分布上でプラス(+)側か? マイナス(―)側か? の判別・把握が出来ない。つまりライバル競合品の寿命値や信頼度値が、判らない。これは、クレーム・トラブル発生確率を適切に把握出来ない事を意味する。では何個入手すれば良いか? 一回で ± (プラマイ)1σ(シグマ=約68.3%)の把握・推定には、最低7個のサンプルの必要が有る。一回で ± 2σ(約95%)の把握・推定には、最低40個のサンプルの必要が有る。一回で ± 3σ(約99.7%)の把握・推定には、最低667個のサンプルの必要が有る。通常は一回毎の試作・試験時のサンプル数は出来るだけ少なく抑え、回数・日数の繰り返しを積み上げ「DATAの誤差」を少なくする。

 改善法の第三点は、ライバル・競合品の設計法を物真似し、類似設計を行う必要が有る場合でも、自社開発・新規設計商品・製品では十分な事前検証を試作・試験で行ってから完成品とする事が大切で有る。有力なライバルが採用しているからと言う丈で無盲目的に取り入れる冒険をしてはならない。最低限の自社基準の品質確保が確認出来なければ、自社製品へ絶対に他社基準をそのままで取り入れては成らない。

「改善による効果」

 他社製品の入手分解で設計参考とする場合には、同時にクレーム・トラブル情報を蒐集・調査する事で、その設計品に要求設計条件設定上の不適切内容部分が分かり、そのまま物真似で発生するかも知れないクレーム・トラブルによる損失発生を避ける事が可能と成る。現在多く企業でクレーム対策費発生は、売上の2%以下の所は殆ど無く、実際には3%を超える実態が多い現実が有る。従ってその節減効果は、非常に大きいと言える。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社から1995年3月単行本として刊行され、2020年3月廃刊処理された機会に「設計のムダ退治101」へ掲載した内容を、今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とムダ退治法事例」へ変更し、内容の見直しと不足部分を加筆し、不備部は訂正した。

 念の為、原本で入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「ムダ退治法101事例・全体目次」

「日常業務に於けるムダ」

iyoblog (4-01)・事例・01「設計で類似内容を繰り返し新規創出しているムダ」※

iyoblog (4-02)・事例・02「社内蓄積保管資料探索にその都度時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-03)・事例・03「同一仕様技術資料を繰り返し新規出図するムダ」

iyoblog (4-04)・事例・04「類似仕様決定のため、その都度繰り返し新規試作・試験するムダ」

iyoblog (4-05)・事例・05「予め決められる技術基準を前以って決めていないため、その都度判断を加えるムダ」

iyoblog (4-06)・事例・06「気付かず負(マイナス)の付加価値形成をしているムダ」

iyoblog (4-07)・事例・07「フリーハンド・メモ・ポンチ絵(マンガ)・イラストで済む情報を定規で製図・清書するムダ」※

iyoblog (4-08)・事例・08「事前・途中の指導を疎かにし、完成してから点検・手直しを行わせるムダ」※

iyoblog (4-09)・事例・09「関係部署・担当者間での連絡不備、調整が無い為、類似製品での機種を増加させているムダ」

iyoblog (4-10)・事例・10「先行技術を調査確認しないで、知らずに公知技術を新規開発しているムダ」

iyoblog (4-11)・事例・11「「理由なく雑誌や資料を何でもコピー私蔵するムダ」※

iyoblog (4-12)・事例・12「勘と記憶を頼りに旧式の設計を繰り返し、何時も過剰品質とするムダ」

iyoblog (4-13)・事例・13「安い市販規格品に気付かず、コストの高い物を知らずに新規設計するムダ

iyoblog (4-14)・事例・14「ルールと分担が明確にされていないため、同じ内容を何人もで繰り返し点検・審査するムダ」

iyoblog (4-15)・事例・15「設計担当者の技術情報創出時間が少なくなっているムダ」

iyoblog (4-16)・事例・16「既存・現用品を活用せず、安易な新規設計で保管図面・資料を増加させるムダ」

iyoblog (4-17)・事例・17「裏付け根拠もなく、適当に見当で作った守れない出図日程(設計期間)となるムダ」

iyoblog (4-18)・事例・18「設計品質が、担当者個人の能力・資質・適性(キャラクタ)に左右されるムダ」

「設計変更を発生させるムダ」

iyoblog (4-19)・事例・19「間違いを作り込ませておいて、上司・先輩が後から捜すムダ」

iyoblog (4-20)・事例・20「本人の注意で防げる間違いを、他人が検図するムダ」

iyoblog (4-21)・事例・21「いきなり実物TRYして失敗するムダ」

iyoblog (4-22)・事例・22「取扱い時の注意を明確に仕様に組み込まないため、市場でクレーム・トラブルとなるムダ」

iyoblog (4-23)・事例・23「施工時の注意を明確に指示しないため、製造でラインクレーム・トラブルとなるムダ

iyoblog (4-24)・事例・24「製品仕様の範囲を明確に表示しないため、ユーザーでクレームを発生させているムダ」

iyoblog (4-25)・事例・25「関連個所を同時に決め、記入点検すれば防げる間違いを出しているムダ」

iyoblog (4-26)・事例・26「再発防止とならない対策繰り返しのムダ

iyoblog (4-27)・事例・27「残業・休日出勤を繰り返し、新しい知識と感覚のチャージを怠り、疲労した頭で間違いを繰り返すムダ」

iyoblog (4-28)・事例・28「日程優先から点検不備で出図して、トラブルのため結果として納期遅れを発生させるムダ」※

iyoblog (4-29)・事例・29「トラブル履歴、メンテナンス有無を確かめず、出図した再生図でクレームが出てから対応するムダ」

iyoblog (4-30)・事例・30「ライバル品を物真似し、クレームが出てから慌てて確認テストするムダ」※

iyoblog (4-31)・事例・31「上司への事前了解と事後報告をキチント行わず、トラブルを発生させているムダ」

iyoblog (4-32)・事例・32「安易な妥協で、結局トラブルとなる点検・審査のムダ」

iyoblog (4-33)・事例・33「点検せず出図して、後から差し替えを繰り返すムダ」

iyoblog (4-34)・事例・34「エラーによるトラブル内容をその都度周知徹底しないため、類似トラブルを繰り返し発生させているムダ」

iyoblog (4-35)・事例・35「作ってもその場だけしか使わないチェクリスト作成のムダ」

「資料整備・活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-36)・事例・36「資料を全員にCOPY配布して活用されないムダ

iyoblog (4-37)・事例・37「JISや業界規格を丸写しにした社内規格を制定するムダ

iyoblog (4-38)・事例・38「キーワード登録・整理しないため、検索出来ず活用されない資料保管のムダ」

iyoblog (4-39)・事例・39「実験・試験DATAグラフ化・定式(数式)化整理しないため、他の担当者が活用できないムダ」

iyoblog (4-40)・事例・40「活用は二の次で、保管する為だけにマイクロフィルム化するムダ」

iyoblog (4-41)・事例・41「設計参考資料・設計規格を見ながら、その都度新規に設計着手を繰り返すムダ」

iyoblog (4-42)・事例・42「仕様書・図面・試験(検証)報告書・クレーム報告書・調査報告書・手配表など別々に台帳分類・登録保管としているため相互の関連付け、活用を妨げているムダ」

iyoblog (4-43)・事例・43「整理・整頓を疎かにし、その都度資料捜しに時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-44)・事例・44「メンテナンスがキチンと行われないため、活用されない資料のムダ」

「機械化面に於けるムダ」

iyoblog (4-45)・事例・45「設計者が技術情報を創出して機械へ入力しなければ、プリントアウト出来ない設計機械化のムダ」

iyoblog (4-46)・事例・46「機械化出来る所を、手作業で行っているムダ」

iyoblog (4-47)・事例・47「技術情報創出に関係無い製図の機械化に多くの費用と人員を投入しているムダ」

iyoblog (4-48)・事例・48「訂正箇所を検図者へ明示しないため、全体を再検図させているムダ

iyoblog (4-49)・事例・49「電子ファイルを技術情報創出時間短縮手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-50)・事例・50「パソコンを蓄積保管資料(技術情報)検索手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-51)・事例・51「類似設計の繰り返しが多いのに、CADを有効に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-52)・事例・52「CAD導入で、出図が検図で手戻りが増え従来より遅れるムダ」

iyoblog (4-53)・事例・53「CAD端末の前に設計者が居ると、仕事をしていると周囲が錯覚するムダ」

iyoblog (4-54)・事例・54「CADを導入しながら、既存図面のデジタル化が進まず流用設計に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-55)・事例・55「設備稼働率を高めるため、CADで二直を行わせるムダ」

iyoblog (4-56)・事例・56CAD導入後DATA-BASE構築まで、長期間活用開始を手待ちするムダ」

iyoblog (4-57)・事例・57「設計のCAD-DATAを、後の生産工程へ生かせられないムダ」

iyoblog (4-58)・事例・58「CADにKEY-WORD検索機能を組み入れ活用しないムダ」

iyoblog (4-59)・事例・59「製図のため、設計者がCAD端末から技術情報を入力するムダ」

iyoblog (4-60)・事例・60「パソコンをシュミレーション手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-61)・事例・61「CAD化のため上司・先輩が途中に介入出来ず、プリント、訂正を繰り返させるムダ」

iyoblog (4-62)・事例・62「電子ファイルの編集機能を活用しないムダ」

iyoblog (4-63)・事例・63「CAD を設計時間節約手段として役立てられないムダ」

「外注活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-64)・事例・64「事前・途中の指導を疎かにし、受け入れ後の確認と手直しに時間を掛ける外注活用のムダ」

iyoblog (4-65)・事例・65「研修条件が曖昧なため、間違いを依頼者が手直しするムダ」

iyoblog (4-66)・事例・66「外注を猫の手としてしか活用しないムダ」

iyoblog (4-67)・事例・67「付加価値獲得を高める手段として設計外注を活用出来ないムダ」

「補助者活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-68)・事例・68「経験が無くても出来る設計部分をベテランが行うムダ」

iyoblog (4-69)・事例・69「補助者に雑用(非付加価値作業)を行わせるムダ」

iyoblog (4-70)・事例・70「類似設計の手引書化を疎かにし、設計業務を単純作業対応化出来ないムダ」

iyoblog (4-71)・事例・71「補助者を使いきれず、遊ばせているムダ」

iyoblog (4-72)・事例・72「補助者を技術情報創出に充てられないムダ」

iyoblog (4-73)・事例・73「手本図・手引書などが無いため補助者・外注へその都度説明を繰り返すムダ」

iyoblog (4-74)・事例・74「担当者が手を着けるべき範囲と補助者化出来る範囲を明確に区分出来ないため、補助者を活用出来ないムダ」

「教育面に於けるムダ」

iyoblog (4-75)・事例・75「教えないため任せられず、上司・ベテランだけが忙しさに追われているムダ」

iyoblog (4-76)・事例・76「手伝わせるだけで教えないため、技術知識の修得にならないOJT教育のムダ」

iyoblog (4-77)・事例・77「演習・実習が伴わないため、実際の設計が行えない教育のムダ」

iyoblog (4-78)・事例・78「知っているかどうかを確かめないで、一方的に行う教育のムダ」

iyoblog (4-79)・事例・79「教えたことが、修得されたかどうか確認しないで終わっている教育のムダ」

iyoblog (4-80)・事例・80「参考資料を与えれば、教えないでも設計が出来ると錯覚しているムダ」

「その他の面に於けるムダ」

iyoblog (4-81)・事例・81「部下・後輩を指導出来ず自主性に任せ、やきもきするムダ」

iyoblog (4-82)・事例・82「複数案を並行試験確認で進めないために、開発・設計期間を延ばしているムダ」

iyoblog (4-83)・事例・83「理念が無いため評価・判断基準が定まらず、担当者を困惑・混乱させているムダ」

iyoblog (4-84)・事例・84「専門化を進め過ぎ、ノウハウ経験が私物化して会社に蓄積されないムダ」

iyoblog (4-85)・事例・85「内容の検索に役立たない保管だけに図番分類する台帳分類方法のムダ」

iyoblog (4-86)・事例・86「中味(実)に関係無く、件数だけ多く申請する特許のムダ」

iyoblog (4-87)・事例・87「不良品でテストして、結果として使えない試験DATAとなるムダ」

iyoblog (4-88)・事例・88「相見積もりで安さだけ追求し、後で手直しの多い外部製作手配のムダ」

iyoblog (4-89)・事例・89「特許申請を怠り、市場で係争に成ってから慌てて対応するムダ」

iyoblog (4-90)・事例・90「何でも直接自分で手を付けないと気がすまず、自分だけ忙しくするムダ」

iyoblog (4-91)・事例・91「上司・先輩同士の見解違いから、調整に時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-92)・事例・92「判断基準が与えられないため、その都度上司に相談・了解を得なければならないムダ」

iyoblog (4-93)・事例・93「内容が曖昧で要領の悪い、頁数の多いレポート作成のムダ」

iyoblog (4-94)・事例・94「過剰手配で持つ、部品購入と保管のムダ」

iyoblog (4-95)・事例・95「技術情報創出時間比率が30%以下なのに、慢性的工数不足に陥っているムダ」

iyoblog (4-96)・事例・96「出図枚数を管理項目とするムダ」

iyoblog (4-97)・事例・97「途中の状況把握を細目に行わず、納期が来てから遅れを知るムダ」

iyoblog (4-98)・事例・98「購入品入手までのリードタイム把握を疎かにし、手待ちとなるムダ」

iyoblog (4-99)・事例・99「ベテランが付加価値増加に寄与する業務に専念出来ないため、付加価値獲得時間を大きく出来ないムダ」

iyoblog (4-100)・事例・100「結論の出ない対策会議開催のムダ」

iyoblog (4-101)・事例・101「設計管理で生産技術的観点を持たないため、設計業務での改善が行われないムダ」

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「筆者略歴」

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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「トラブル履歴、メンテナンス有無を確かめず、出図した再生図でクレームが出てから対応するムダ・事例(4-29)」

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Iyoblog・「トラブル履歴、メンテナンス有無を確かめず、出図した再生図でクレームが出てから対応するムダ・事例(4-29)」

「現状と問題点」

 設計に際して、出来る丈新規着手部分を少なくする為、既成設計品や既存図面を活用する事が好ましい。しかし既存図面類を活用・流用する際、クレーム・トラブル履歴とそのメンテナンスが行われているか? どうか? を確かめず、出図してから再びクレーム・トラブルを発生させるのは、ムダで有る。これは、防止しなければ成らない。

 既成設計品・既存図面などを活用・流用する際、その設計品と図面で、メーカーの製造過程・エンドユーザーの使用過程でどの様なクレーム・トラブルを起したか? を事前に調べる事が大切で有る。またその後のメンテナンスがキチントと行われているか? どうか? も、関係者に事前確認事が、同様に大切で有る。これを充分行わずに、多分大丈夫だろうと勝手に判断・憶測し、活用・流用し、出図してから問題を発生させるケースが、現実には多い。

 これは、設計者が自身の設計で使う上で必要な内容の吸収・消化を一度キチンとした上で、既成設計品・既存図面を活用・流用しない為に発生する現象で有る。従って、他の設計者が設計した既成設計品・既存図面を再生図として活用・流用する場合には、一度設計内容の吸収・消化(理解)をキチンと行ってから出図する習慣を確立する事が大切と成る。ここで吸収・消化(理解)とは、基本仕様書を作り直して見る事を言う。

 図-291へ「電気・電子回路実装と機械・機構に於ける品質設計の指導ポイント」を示す。

 また図-292へ「出図後の差し替えを減らす注意点」を示す。





「着眼点・分析と評価法」
 
 他の担当者が設計した既成設計品・既存図面を活用するに当たり、自分の設計へ取り入れ使用するからには、良く内容を理解した上で活用する事が望ましい。活用するからには、自分自身が直接設計した物件として捉え、下記の注意点に気を配る。

 ⑴・その設計思想・設定条件・基本原理・構造などの要求仕様(機能・性能・特性・設計条件など)の特徴を事前に良く把握するための調査を行う事で有る。

 ⑵・クレーム・トラブル調査もその結果として当然に必要に成る。またクレーム・トラブルが実際に発生した場合には、

 ⑶・その対策の内容と図面上でメンテナンスが適切に行われているか? どうか? を確認する事も必要で有る。クレーム・トラブル履歴の調査とメンテナンス実施の調査は、その為の物で有る。

 自分の設計設計の一部として再生図を活用する場合には、事前に吸収・消化する習慣を義務として確立して置く事が大切で有る。

「改善点と取り組み法」

 改善法の第一点は、活用・流用しようとしている既成設計品・既存図面の内容を一度良く理解するための設計思想・設定条件・原理・構造などの特徴点を事前に丁寧に調査・確認する事が大切で有る。

 改善法の第二点は、既成設計品・既存図面を活用する際には、先ずクレーム・トラアブル履歴を事前に良く調査する習慣を持つ事が大切で有る。この場合直接設計した本人へ確認するのが、一番の早道で有る。生憎本人が居ない場合には、当時の事情を知る人・関係者に尋ねると良い。関係者が居ない場合には、面倒でも基本仕様書(要求機能・性能・特性・設計条件など)から新規に造り直す必要が有る。

 改善法の第三点は、製造・ラインと市場・客先で発生したクレーム・トラブルの内容とその対策が、図面上でキチンとメンテナンスされているか? どうか? を調べる事が大切で有る。行われていないばあいには、活用者が対策(検証した上で訂正または改良)を行ってから出図しなければ成らない。

 改善法の第四点は、メンテナンス後も新たに対策してないクレーム・トラブルが発生して居ないか? 確かめる必要が有る。仮に新たなクレーム・トラブルが発生して居る場合には、当然その分の追加対策を講じる手直しの必要が有る。

 以上の事を、再生図を使用する場合の原則として習慣化して置く事が望ましい。

「改善による効果」

 クレーム・トラブル履歴有無とメンテナンス有無の事前調査をキチンと行う事に依り、既成設計品・既存図面の活用・流用で、出図後の新たなクレーム・トラブルの発生防止が可能と成る。また活用・流用前に内容の吸収・消化を義務付け事に依り、新たな問題に対する対応も迅速に行う事が可能と成る。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社から1995年3月単行本として刊行され、2020年3月廃刊処理された機会に「設計のムダ退治101」へ掲載した内容を、今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とムダ退治法事例」へ変更し、内容の見直しと不足部分を加筆し、不備部は訂正した。

 念の為、原本で入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「ムダ退治法101事例・全体目次」

「日常業務に於けるムダ」

iyoblog (4-01)・事例・01「設計で類似内容を繰り返し新規創出しているムダ」※

iyoblog (4-02)・事例・02「社内蓄積保管資料探索にその都度時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-03)・事例・03「同一仕様技術資料を繰り返し新規出図するムダ」

iyoblog (4-04)・事例・04「類似仕様決定のため、その都度繰り返し新規試作・試験するムダ」

iyoblog (4-05)・事例・05「予め決められる技術基準を前以って決めていないため、その都度判断を加えるムダ」

iyoblog (4-06)・事例・06「気付かず負(マイナス)の付加価値形成をしているムダ」

iyoblog (4-07)・事例・07「フリーハンド・メモ・ポンチ絵(マンガ)・イラストで済む情報を定規で製図・清書するムダ」※

iyoblog (4-08)・事例・08「事前・途中の指導を疎かにし、完成してから点検・手直しを行わせるムダ」※

iyoblog (4-09)・事例・09「関係部署・担当者間での連絡不備、調整が無い為、類似製品での機種を増加させているムダ」

iyoblog (4-10)・事例・10「先行技術を調査確認しないで、知らずに公知技術を新規開発しているムダ」

iyoblog (4-11)・事例・11「「理由なく雑誌や資料を何でもコピー私蔵するムダ」※

iyoblog (4-12)・事例・12「勘と記憶を頼りに旧式の設計を繰り返し、何時も過剰品質とするムダ」

iyoblog (4-13)・事例・13「安い市販規格品に気付かず、コストの高い物を知らずに新規設計するムダ

iyoblog (4-14)・事例・14「ルールと分担が明確にされていないため、同じ内容を何人もで繰り返し点検・審査するムダ」

iyoblog (4-15)・事例・15「設計担当者の技術情報創出時間が少なくなっているムダ」

iyoblog (4-16)・事例・16「既存・現用品を活用せず、安易な新規設計で保管図面・資料を増加させるムダ」

iyoblog (4-17)・事例・17「裏付け根拠もなく、適当に見当で作った守れない出図日程(設計期間)となるムダ」

iyoblog (4-18)・事例・18「設計品質が、担当者個人の能力・資質・適性(キャラクタ)に左右されるムダ」

「設計変更を発生させるムダ」

iyoblog (4-19)・事例・19「間違いを作り込ませておいて、上司・先輩が後から捜すムダ」

iyoblog (4-20)・事例・20「本人の注意で防げる間違いを、他人が検図するムダ」

iyoblog (4-21)・事例・21「いきなり実物TRYして失敗するムダ」

iyoblog (4-22)・事例・22「取扱い時の注意を明確に仕様に組み込まないため、市場でクレーム・トラブルとなるムダ」

iyoblog (4-23)・事例・23「施工時の注意を明確に指示しないため、製造でラインクレーム・トラブルとなるムダ

iyoblog (4-24)・事例・24「製品仕様の範囲を明確に表示しないため、ユーザーでクレームを発生させているムダ」

iyoblog (4-25)・事例・25「関連個所を同時に決め、記入点検すれば防げる間違いを出しているムダ」

iyoblog (4-26)・事例・26「再発防止とならない対策繰り返しのムダ

iyoblog (4-27)・事例・27「残業・休日出勤を繰り返し、新しい知識と感覚のチャージを怠り、疲労した頭で間違いを繰り返すムダ」

iyoblog (4-28)・事例・28「日程優先から点検不備で出図して、トラブルのため結果として納期遅れを発生させるムダ」※

iyoblog (4-29)・事例・29「トラブル履歴、メンテナンス有無を確かめず、出図した再生図でクレームが出てから対応するムダ」

iyoblog (4-30)・事例・30「ライバル品を物真似し、クレームが出てから慌てて確認テストするムダ」

iyoblog (4-31)・事例・31「上司への事前了解と事後報告をキチント行わず、トラブルを発生させているムダ」

iyoblog (4-32)・事例・32「安易な妥協で、結局トラブルとなる点検・審査のムダ」

iyoblog (4-33)・事例・33「点検せず出図して、後から差し替えを繰り返すムダ」

iyoblog (4-34)・事例・34「エラーによるトラブル内容をその都度周知徹底しないため、類似トラブルを繰り返し発生させているムダ」

iyoblog (4-35)・事例・35「作ってもその場だけしか使わないチェクリスト作成のムダ」

「資料整備・活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-36)・事例・36「資料を全員にCOPY配布して活用されないムダ

iyoblog (4-37)・事例・37「JISや業界規格を丸写しにした社内規格を制定するムダ

iyoblog (4-38)・事例・38「キーワード登録・整理しないため、検索出来ず活用されない資料保管のムダ」

iyoblog (4-39)・事例・39「実験・試験DATAグラフ化・定式(数式)化整理しないため、他の担当者が活用できないムダ」

iyoblog (4-40)・事例・40「活用は二の次で、保管する為だけにマイクロフィルム化するムダ」

iyoblog (4-41)・事例・41「設計参考資料・設計規格を見ながら、その都度新規に設計着手を繰り返すムダ」

iyoblog (4-42)・事例・42「仕様書・図面・試験(検証)報告書・クレーム報告書・調査報告書・手配表など別々に台帳分類・登録保管としているため相互の関連付け、活用を妨げているムダ」

iyoblog (4-43)・事例・43「整理・整頓を疎かにし、その都度資料捜しに時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-44)・事例・44「メンテナンスがキチンと行われないため、活用されない資料のムダ」

「機械化面に於けるムダ」

iyoblog (4-45)・事例・45「設計者が技術情報を創出して機械へ入力しなければ、プリントアウト出来ない設計機械化のムダ」

iyoblog (4-46)・事例・46「機械化出来る所を、手作業で行っているムダ」

iyoblog (4-47)・事例・47「技術情報創出に関係無い製図の機械化に多くの費用と人員を投入しているムダ」

iyoblog (4-48)・事例・48「訂正箇所を検図者へ明示しないため、全体を再検図させているムダ

iyoblog (4-49)・事例・49「電子ファイルを技術情報創出時間短縮手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-50)・事例・50「パソコンを蓄積保管資料(技術情報)検索手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-51)・事例・51「類似設計の繰り返しが多いのに、CADを有効に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-52)・事例・52「CAD導入で、出図が検図で手戻りが増え従来より遅れるムダ」※

iyoblog (4-53)・事例・53CAD端末の前に設計者が居ると、仕事をしていると周囲が錯覚するムダ」

iyoblog (4-54)・事例・54CADを導入しながら、既存図面のデジタル化が進まず流用設計に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-55)・事例・55「設備稼働率を高めるため、CADで二直を行わせるムダ」

iyoblog (4-56)・事例・56CAD導入後DATA-BASE構築まで、長期間活用開始を手待ちするムダ」

iyoblog (4-57)・事例・57「設計のCAD-DATAを、後の生産工程へ生かせられないムダ」

iyoblog (4-58)・事例・58「CADにKEY-WORD検索機能を組み入れ活用しないムダ」※

iyoblog (4-59)・事例・59「製図のため、設計者がCAD端末から技術情報を入力するムダ」

iyoblog (4-60)・事例・60「パソコンをシュミレーション手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-61)・事例・61「CAD化のため上司・先輩が途中に介入出来ず、プリント、訂正を繰り返させるムダ」

iyoblog (4-62)・事例・62「電子ファイルの編集機能を活用しないムダ」

iyoblog (4-63)・事例・63「CAD を設計時間節約手段として役立てられないムダ」

「外注活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-64)・事例・64「事前・途中の指導を疎かにし、受け入れ後の確認と手直しに時間を掛ける外注活用のムダ」

iyoblog (4-65)・事例・65「研修条件が曖昧なため、間違いを依頼者が手直しするムダ」

iyoblog (4-66)・事例・66「外注を猫の手としてしか活用しないムダ」

iyoblog (4-67)・事例・67「付加価値獲得を高める手段として設計外注を活用出来ないムダ」

「補助者活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-68)・事例・68「経験が無くても出来る設計部分をベテランが行うムダ」

iyoblog (4-69)・事例・69「補助者に雑用(非付加価値作業)を行わせるムダ」

iyoblog (4-70)・事例・70「類似設計の手引書化を疎かにし、設計業務を単純作業対応化出来ないムダ」

iyoblog (4-71)・事例・71「補助者を使いきれず、遊ばせているムダ」

iyoblog (4-72)・事例・72「補助者を技術情報創出に充てられないムダ」

iyoblog (4-73)・事例・73「手本図・手引書などが無いため補助者・外注へその都度説明を繰り返すムダ」

iyoblog (4-74)・事例・74「担当者が手を着けるべき範囲と補助者化出来る範囲を明確に区分出来ないため、補助者を活用出来ないムダ」

「教育面に於けるムダ」

iyoblog (4-75)・事例・75「教えないため任せられず、上司・ベテランだけが忙しさに追われているムダ」

iyoblog (4-76)・事例・76「手伝わせるだけで教えないため、技術知識の修得にならないOJT教育のムダ」

iyoblog (4-77)・事例・77「演習・実習が伴わないため、実際の設計が行えない教育のムダ」

iyoblog (4-78)・事例・78「知っているかどうかを確かめないで、一方的に行う教育のムダ」

iyoblog (4-79)・事例・79「教えたことが、修得されたかどうか確認しないで終わっている教育のムダ」

iyoblog (4-80)・事例・80「参考資料を与えれば、教えないでも設計が出来ると錯覚しているムダ」

「その他の面に於けるムダ」

iyoblog (4-81)・事例・81「部下・後輩を指導出来ず自主性に任せ、やきもきするムダ」

iyoblog (4-82)・事例・82「複数案を並行試験確認で進めないために、開発・設計期間を延ばしているムダ」

iyoblog (4-83)・事例・83「理念が無いため評価・判断基準が定まらず、担当者を困惑・混乱させているムダ」

iyoblog (4-84)・事例・84「専門化を進め過ぎ、ノウハウ経験が私物化して会社に蓄積されないムダ」

iyoblog (4-85)・事例・85「内容の検索に役立たない保管だけに図番分類する台帳分類方法のムダ」

iyoblog (4-86)・事例・86「中味(実)に関係無く、件数だけ多く申請する特許のムダ」

iyoblog (4-87)・事例・87「不良品でテストして、結果として使えない試験DATAとなるムダ」

iyoblog (4-88)・事例・88「相見積もりで安さだけ追求し、後で手直しの多い外部製作手配のムダ」

iyoblog (4-89)・事例・89「特許申請を怠り、市場で係争に成ってから慌てて対応するムダ」

iyoblog (4-90)・事例・90「何でも直接自分で手を付けないと気がすまず、自分だけ忙しくするムダ」

iyoblog (4-91)・事例・91「上司・先輩同士の見解違いから、調整に時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-92)・事例・92「判断基準が与えられないため、その都度上司に相談・了解を得なければならないムダ」

iyoblog (4-93)・事例・93「内容が曖昧で要領の悪い、頁数の多いレポート作成のムダ」

iyoblog (4-94)・事例・94「過剰手配で持つ、部品購入と保管のムダ」

iyoblog (4-95)・事例・95「技術情報創出時間比率が30%以下なのに、慢性的工数不足に陥っているムダ」

iyoblog (4-96)・事例・96「出図枚数を管理項目とするムダ」

iyoblog (4-97)・事例・97「途中の状況把握を細目に行わず、納期が来てから遅れを知るムダ」

iyoblog (4-98)・事例・98「購入品入手までのリードタイム把握を疎かにし、手待ちとなるムダ」

iyoblog (4-99)・事例・99「ベテランが付加価値増加に寄与する業務に専念出来ないため、付加価値獲得時間を大きく出来ないムダ」

iyoblog (4-100)・事例・100「結論の出ない対策会議開催のムダ」

iyoblog (4-101)・事例・101「設計管理で生産技術的観点を持たないため、設計業務での改善が行われないムダ」

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「筆者略歴

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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「日程優先から点検不備で出図して、トラブルのため結果として納期遅れを発生させるムダ・事例(4-28)」

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Iyoblog・「日程優先から点検不備で出図して、トラブルのため結果として納期遅れを発生させるムダ・事例(4-28)」

「現状と問題点」

 出図納期を守る事は、設計品質を確保する事、目標コストを確保する事と併せて設計時に是非守らなければ成らない三大重要テーマの一つで有る。しかし、品質上問題を抱えたまま納期優先で出図し、その後対策が必要と成り、結果的に製造日程が守れなく成る場合も多い。これは、ムダで有る。

 品質・納期・コストの三大テーマ間では、何時も品質確保を優先する考え方を確立して置く事が大切で有る。設計品質が明確にされ無い間は、納期確保より品質確保を優先し、上司はこれを出図させないなどの原則で対応する事が大切で有る。

 現状多くの企業で、設計日程の遅れなどから点検時間も不足し、設計担当者からどちらを優先したら良いか? の判断に迷い、納期を優先し、品質確保を後回しにするケースが多い。その際取敢えず出図して置いて、追っかけて品質点検する積りで、忙しさから結果的に点検出来ず、問題が出てから対応すれば良い気持ちに成り、未然に防げるクレーム・トラブルを発生させて仕舞う場合が多い。その結果、出図後のクレーム・トラブル対策に手間取り、結果的に製造納期が守れないなどに発展する場合も多い。これらのムダは、防止する事が必要で有る。

 図-281へ「所要時間を縮める並行処理での日程計画立て方の例」を示す。

 毎日の所要工数の山積み(集計)をキチント把握して置く事が大切で有る。

「着眼点・分析と評価法」

 設計で作成する日程計画に対し納期上の遅れが発生する原因には、下記に挙げる様な項目がある。

(1)日程計画そのものに無理が有る場合 : 日程計画が裏付け有る所要工数と投入可能な人員計画から作成されたもので無く、客先・製造の要求から単なる努力目標のみで設定された様な場合。

(2)所要工数見積もりが根拠薄弱な場合 : 設計所要工数見積もりに当たり裏付けの確りした標準時間・標準設計方法を基礎にして算出したもので無い場合。

(3)突発などで予期しない飛び込み業務が影響する場合 : 前のテーマで品質上の問題が発生したなど、フォローの為取り係中の設計に十分時間を投入出来ない状態が発生した様な場合。

(4)品質確認の為の必要時間を所要工数に組み込みして居ないなどの場合 : 正味の設計・製図時間のみで、品質点検など付帯的に発生する所要時間が十分含まれて居ない様な場合。

(5)経験・知識の十分な設計者に依って取り組みが出来ない場合 : 設計経験・知識が十分有る設計者に依って取り組みが出来ず、設計時に試行錯誤を繰り返しベテランの何倍も時間が必要に成る場合。・・・・・・などで有る。

「改善点と取り組み法」

改善法の第一点は、日程計画作成に当たり、所要工数見積もりでは裏付けの有る標準時間・標準設計方法を基礎にして算出し、担当する設計者の能力に合わせた補正が必要で有る。

 改善法の第二点は、設計・製図の賞味時間の他に設計者の能力に合わせて、品質確保他技術雑務などの付帯業務時間を上載せし、突発事項に対する或る程度の吸収余裕を確保(5~10%前後の保険を掛け)して置く事が大切で有る。

 改善法の第三点は、品質優先の原則を設け、必ず品質点検(未経験個所では、試作・試験による目標機能・性能達成の検証実施)して無い場合には、最終出図承認を与えない事が、如何なる場合も重要である。

「改善による効果」

 設計品質不備に依るクレーム・トラブル発生の減少を日程計画の上から図る事に依り、出図後の手戻り・手直し発生を少なくする事が可能と成る。同時に設計者が守れる日程計画とする事に依り、納期遅れに伴う品質不備が造り込まれるケースも減少する。また次のテーノ取り組み日程へ影響を与えるケースも減少する。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社から1995年3月単行本として刊行され、2020年3月廃刊処理された機会に「設計のムダ退治101」へ掲載した内容を、今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とムダ退治法事例」へ変更し、内容の見直しと不足部分を加筆し、不備部は訂正した。

 念の為、原本で入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「ムダ退治法101事例・全体目次」

「日常業務に於けるムダ」

iyoblog (4-01)・事例・01「設計で類似内容を繰り返し新規創出しているムダ」※

iyoblog (4-02)・事例・02「社内蓄積保管資料探索にその都度時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-03)・事例・03「同一仕様技術資料を繰り返し新規出図するムダ」

iyoblog (4-04)・事例・04「類似仕様決定のため、その都度繰り返し新規試作・試験するムダ」

iyoblog (4-05)・事例・05「予め決められる技術基準を前以って決めていないため、その都度判断を加えるムダ」

iyoblog (4-06)・事例・06「気付かず負(マイナス)の付加価値形成をしているムダ」

iyoblog (4-07)・事例・07「フリーハンド・メモ・ポンチ絵(マンガ)・イラストで済む情報を定規で製図・清書するムダ」※

iyoblog (4-08)・事例・08「事前・途中の指導を疎かにし、完成してから点検・手直しを行わせるムダ」※

iyoblog (4-09)・事例・09「関係部署・担当者間での連絡不備、調整が無い為、類似製品での機種を増加させているムダ」

iyoblog (4-10)・事例・10「先行技術を調査確認しないで、知らずに公知技術を新規開発しているムダ」

iyoblog (4-11)・事例・11「「理由なく雑誌や資料を何でもコピー私蔵するムダ」※

iyoblog (4-12)・事例・12「勘と記憶を頼りに旧式の設計を繰り返し、何時も過剰品質とするムダ」

iyoblog (4-13)・事例・13「安い市販規格品に気付かず、コストの高い物を知らずに新規設計するムダ

iyoblog (4-14)・事例・14「ルールと分担が明確にされていないため、同じ内容を何人もで繰り返し点検・審査するムダ」

iyoblog (4-15)・事例・15「設計担当者の技術情報創出時間が少なくなっているムダ」

iyoblog (4-16)・事例・16「既存・現用品を活用せず、安易な新規設計で保管図面・資料を増加させるムダ」

iyoblog (4-17)・事例・17「裏付け根拠もなく、適当に見当で作った守れない出図日程(設計期間)となるムダ」

iyoblog (4-18)・事例・18「設計品質が、担当者個人の能力・資質・適性(キャラクタ)に左右されるムダ」

「設計変更を発生させるムダ」

iyoblog (4-19)・事例・19「間違いを作り込ませておいて、上司・先輩が後から捜すムダ」

iyoblog (4-20)・事例・20「本人の注意で防げる間違いを、他人が検図するムダ」

iyoblog (4-21)・事例・21「いきなり実物TRYして失敗するムダ」

iyoblog (4-22)・事例・22「取扱い時の注意を明確に仕様に組み込まないため、市場でクレーム・トラブルとなるムダ」

iyoblog (4-23)・事例・23「施工時の注意を明確に指示しないため、製造でラインクレーム・トラブルとなるムダ

iyoblog (4-24)・事例・24「製品仕様の範囲を明確に表示しないため、ユーザーでクレームを発生させているムダ」

iyoblog (4-25)・事例・25「関連個所を同時に決め、記入点検すれば防げる間違いを出しているムダ」

iyoblog (4-26)・事例・26「再発防止とならない対策繰り返しのムダ

iyoblog (4-27)・事例・27「残業・休日出勤を繰り返し、新しい知識と感覚のチャージを怠り、疲労した頭で間違いを繰り返すムダ」

iyoblog (4-28)・事例・28「日程優先から点検不備で出図して、トラブルのため結果として納期遅れを発生させるムダ」※

iyoblog (4-29)・事例・29「トラブル履歴、メンテナンス有無を確かめず、出図した再生図でクレームが出てから対応するムダ」

iyoblog (4-30)・事例・30「ライバル品を物真似し、クレームが出てから慌てて確認テストするムダ」

iyoblog (4-31)・事例・31「上司への事前了解と事後報告をキチント行わず、トラブルを発生させているムダ」

iyoblog (4-32)・事例・32「安易な妥協で、結局トラブルとなる点検・審査のムダ」

iyoblog (4-33)・事例・33「点検せず出図して、後から差し替えを繰り返すムダ」

iyoblog (4-34)・事例・34「エラーによるトラブル内容をその都度周知徹底しないため、類似トラブルを繰り返し発生させているムダ」

iyoblog (4-35)・事例・35「作ってもその場だけしか使わないチェクリスト作成のムダ」

「資料整備・活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-36)・事例・36「資料を全員にCOPY配布して活用されないムダ

iyoblog (4-37)・事例・37「JISや業界規格を丸写しにした社内規格を制定するムダ

iyoblog (4-38)・事例・38「キーワード登録・整理しないため、検索出来ず活用されない資料保管のムダ」

iyoblog (4-39)・事例・39「実験・試験DATAグラフ化・定式(数式)化整理しないため、他の担当者が活用できないムダ」

iyoblog (4-40)・事例・40「活用は二の次で、保管する為だけにマイクロフィルム化するムダ」

iyoblog (4-41)・事例・41「設計参考資料・設計規格を見ながら、その都度新規に設計着手を繰り返すムダ」

iyoblog (4-42)・事例・42「仕様書・図面・試験(検証)報告書・クレーム報告書・調査報告書・手配表など別々に台帳分類・登録保管としているため相互の関連付け、活用を妨げているムダ」

iyoblog (4-43)・事例・43「整理・整頓を疎かにし、その都度資料捜しに時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-44)・事例・44「メンテナンスがキチンと行われないため、活用されない資料のムダ」

「機械化面に於けるムダ」

iyoblog (4-45)・事例・45「設計者が技術情報を創出して機械へ入力しなければ、プリントアウト出来ない設計機械化のムダ」

iyoblog (4-46)・事例・46「機械化出来る所を、手作業で行っているムダ」

iyoblog (4-47)・事例・47「技術情報創出に関係無い製図の機械化に多くの費用と人員を投入しているムダ」

iyoblog (4-48)・事例・48「訂正箇所を検図者へ明示しないため、全体を再検図させているムダ

iyoblog (4-49)・事例・49「電子ファイルを技術情報創出時間短縮手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-50)・事例・50「パソコンを蓄積保管資料(技術情報)検索手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-51)・事例・51「類似設計の繰り返しが多いのに、CADを有効に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-52)・事例・52「CAD導入で、出図が検図で手戻りが増え従来より遅れるムダ」※

iyoblog (4-53)・事例・53CAD端末の前に設計者が居ると、仕事をしていると周囲が錯覚するムダ」

iyoblog (4-54)・事例・54CADを導入しながら、既存図面のデジタル化が進まず流用設計に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-55)・事例・55「設備稼働率を高めるため、CADで二直を行わせるムダ」

iyoblog (4-56)・事例・56CAD導入後DATA-BASE構築まで、長期間活用開始を手待ちするムダ」

iyoblog (4-57)・事例・57「設計のCAD-DATAを、後の生産工程へ生かせられないムダ」

iyoblog (4-58)・事例・58「CADにKEY-WORD検索機能を組み入れ活用しないムダ」※

iyoblog (4-59)・事例・59「製図のため、設計者がCAD端末から技術情報を入力するムダ」

iyoblog (4-60)・事例・60「パソコンをシュミレーション手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-61)・事例・61「CAD化のため上司・先輩が途中に介入出来ず、プリント、訂正を繰り返させるムダ」

iyoblog (4-62)・事例・62「電子ファイルの編集機能を活用しないムダ」

iyoblog (4-63)・事例・63「CAD を設計時間節約手段として役立てられないムダ」

「外注活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-64)・事例・64「事前・途中の指導を疎かにし、受け入れ後の確認と手直しに時間を掛ける外注活用のムダ」

iyoblog (4-65)・事例・65「研修条件が曖昧なため、間違いを依頼者が手直しするムダ」

iyoblog (4-66)・事例・66「外注を猫の手としてしか活用しないムダ」

iyoblog (4-67)・事例・67「付加価値獲得を高める手段として設計外注を活用出来ないムダ」

「補助者活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-68)・事例・68「経験が無くても出来る設計部分をベテランが行うムダ」

iyoblog (4-69)・事例・69「補助者に雑用(非付加価値作業)を行わせるムダ」

iyoblog (4-70)・事例・70「類似設計の手引書化を疎かにし、設計業務を単純作業対応化出来ないムダ」

iyoblog (4-71)・事例・71「補助者を使いきれず、遊ばせているムダ」

iyoblog (4-72)・事例・72「補助者を技術情報創出に充てられないムダ」

iyoblog (4-73)・事例・73「手本図・手引書などが無いため補助者・外注へその都度説明を繰り返すムダ」

iyoblog (4-74)・事例・74「担当者が手を着けるべき範囲と補助者化出来る範囲を明確に区分出来ないため、補助者を活用出来ないムダ」

「教育面に於けるムダ」

iyoblog (4-75)・事例・75「教えないため任せられず、上司・ベテランだけが忙しさに追われているムダ」

iyoblog (4-76)・事例・76「手伝わせるだけで教えないため、技術知識の修得にならないOJT教育のムダ」

iyoblog (4-77)・事例・77「演習・実習が伴わないため、実際の設計が行えない教育のムダ」

iyoblog (4-78)・事例・78「知っているかどうかを確かめないで、一方的に行う教育のムダ」

iyoblog (4-79)・事例・79「教えたことが、修得されたかどうか確認しないで終わっている教育のムダ」

iyoblog (4-80)・事例・80「参考資料を与えれば、教えないでも設計が出来ると錯覚しているムダ」

「その他の面に於けるムダ」

iyoblog (4-81)・事例・81「部下・後輩を指導出来ず自主性に任せ、やきもきするムダ」

iyoblog (4-82)・事例・82「複数案を並行試験確認で進めないために、開発・設計期間を延ばしているムダ」

iyoblog (4-83)・事例・83「理念が無いため評価・判断基準が定まらず、担当者を困惑・混乱させているムダ」

iyoblog (4-84)・事例・84「専門化を進め過ぎ、ノウハウ経験が私物化して会社に蓄積されないムダ」

iyoblog (4-85)・事例・85「内容の検索に役立たない保管だけに図番分類する台帳分類方法のムダ」

iyoblog (4-86)・事例・86「中味(実)に関係無く、件数だけ多く申請する特許のムダ」

iyoblog (4-87)・事例・87「不良品でテストして、結果として使えない試験DATAとなるムダ」

iyoblog (4-88)・事例・88「相見積もりで安さだけ追求し、後で手直しの多い外部製作手配のムダ」

iyoblog (4-89)・事例・89「特許申請を怠り、市場で係争に成ってから慌てて対応するムダ」

iyoblog (4-90)・事例・90「何でも直接自分で手を付けないと気がすまず、自分だけ忙しくするムダ」

iyoblog (4-91)・事例・91「上司・先輩同士の見解違いから、調整に時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-92)・事例・92「判断基準が与えられないため、その都度上司に相談・了解を得なければならないムダ」

iyoblog (4-93)・事例・93「内容が曖昧で要領の悪い、頁数の多いレポート作成のムダ」

iyoblog (4-94)・事例・94「過剰手配で持つ、部品購入と保管のムダ」

iyoblog (4-95)・事例・95「技術情報創出時間比率が30%以下なのに、慢性的工数不足に陥っているムダ」

iyoblog (4-96)・事例・96「出図枚数を管理項目とするムダ」

iyoblog (4-97)・事例・97「途中の状況把握を細目に行わず、納期が来てから遅れを知るムダ」

iyoblog (4-98)・事例・98「購入品入手までのリードタイム把握を疎かにし、手待ちとなるムダ」

iyoblog (4-99)・事例・99「ベテランが付加価値増加に寄与する業務に専念出来ないため、付加価値獲得時間を大きく出来ないムダ」

iyoblog (4-100)・事例・100「結論の出ない対策会議開催のムダ」

iyoblog (4-101)・事例・101「設計管理で生産技術的観点を持たないため、設計業務での改善が行われないムダ」

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「筆者略歴

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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「残業・休日出勤を繰り返し、新しい知識と感覚のチャージを怠り、疲労した頭で間違いを繰り返すムダ・事例(4-27)」

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Iyoblog・「残業・休日出勤を繰り返し、新しい知識と感覚のチャージを怠り、疲労した頭で間違いを繰り返すムダ・事例(4-27)」

「現状と問題点」

 景気の低迷も設計者には、無縁である。下がった売上を回復するには、顧客が財布の紐(ひも)を緩めたくなる魅力ある商品・製品を早急に開発、市場へ投入しなければ成らない。ドルに対する円レートが上がった分、設計でコストを下げなければ成らない。不景気で競争の激しく成る分、他社より短期に開発・設計で対応しなければ成らない。高機能・高品質でコストの安い競争力のある商品・製品を開発・設計しなければ成らない。景気が悪くても、良くても、顧客の満足を満たす様に対応しなければ成らない。

 不景気で経費をカットされ、外注活用を減らされ、残業・休日出勤を規制されても、その中でサービス残業をしてでも厳しい要求に対応しなければ成らない。残業手当が着かないからと言って、納期を遅らせる事は、許されないので有る。

 結局、景気・不景気に関係なく設計担当者は、何時も忙しさに追われながら心身共に疲労しながら対応しなければ成らない境遇に置かれて居るのが実情である。その為新しい知識と感覚のチャージを怠り、疲労した頭で間違いを繰り返す結果と成って居るのが実情で有る。これらは、ムダで有る。この様な仕事のやり方と境遇とは、担当者自身で改善し抜け出す事が必要で有る。

「着眼点・分析と評価法」

 競争力の有る商品・製品を開発・設計するには、市場・顧客の要求・ニーズを他社より速く掴(つか)む事が必要で有る。市場・顧客の要求・ニーズを掴むには、社内に籠(こも)って居ては出来ない。新しい知識と感覚を養うには、出来る丈多く外を歩き、市場や客先を巡り、色々な事を実地に見て、人の話を聞く事が必要で有る。

 顧客が喜ぶ商品・製品とは何か? を知るには、市場と客先の実情を知る事が必要で有る。その為に設計者は、新しい知識と感覚を養う一定時間を仕事の中で何時も確保して置く事が必要で有る。

 担当者は、受け身で忙しさに追われて毎日遅くまで残業と休日出勤を繰り返しては成らない。チャージする為には、強い意志で計画的に時間を確保する事が必要で有る。良い仕事を行う為には、強い意志で必要な時間は先ず確保し、計画的に配分してその中で消化する習慣が大切で有る。

 図-271へ「良い設計をする為の心掛けの例」を参考までに示す。

 また現状担当者が時間をどう使って居るか? の実態を把握し、

①・実際に開発・設計へ着手出来る時間、この時間を如何に上手に多く増やすか?

②・標準化や教育などの基盤整備の時間、出来ればこれらも少しでも増やしたい。

③・手戻り・後処理の時間、これは是非とも減らしたい。

④・技術雑務や補助業務へ振り向けて居る時間、これらも可能なら少しでも減らしたい。などをキチンと把握して置く事が大切で有る。

 図-272から図-276へ筆者が関与した企業で調査した「設計技術部門の業務内容と集計事例」を示す。

「改善点と取り組み法」

 改善法の第一点は、現状時間をどの様に使って居るか? 忙しさの実態を把握し、担当者一人ずつ時間投入内容の見直しする事が必要で有る。多くの設計部門の共通点は、設計担当者の設計して居る時間が少ない実態が有る。15%以下と成って居る所が多い実態が有る。

 改善法の第二点は、担当者の業務時間を計画的に配分して、強い意志で実行する習慣を確立する事が大切で有る。特に新しい知識と感覚をチャージする為の時間を強制的に確保する事が必要で有る。その時間は、10%以上を確保して置く事が望ましい。

 改善法の第三点は、設計担当者に新しい知識と感覚をチャージする方法として、外部へ出る機会を多く確保する事で有る。設計担当者が毎月定期的に日を決めて市場・客先を訪問する。各種の見本市・講習会・見学会・学会の会合・特定テーマの研究者との交流にも積極的に参加・出席するなど、外部の空気に多く触れ、外部の人と逢う機会を多く設ける事で有る。

 価値ある情報は、全て人が持っている事に注意し、人と人のチャンネルとネットワークの構築を大切にする事が望ましい。

「改善による効果」

 従来の時間投入内容実態把握と見直しで、有効に使われていない部分の業務対応方法を改善する切っ掛けとする事が可能と成る。

 また時間の使い方について、計画的有効に必要部分へ配分して、投入し直しする事で、新しい知識と感覚をチャージする時間へ振り向ける事も可能と成る。この場合強い意志を以って実施すれば、10%以上を確保する事も可能と成る。

   図-277へ「手戻り・後処理削減取組みの人件費節減効果試算の一例」示す。

   図-278へ「手戻り・後処理削減取組みの売上高増加効果試算の一例」示す。

   図-279へ「手戻り・後処理削減取組みのクレーム対策費節減効果試算の一例」示す。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社から1995年3月単行本として刊行され、2020年3月廃刊処理された機会に「設計のムダ退治101」へ掲載した内容を、今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とムダ退治法事例」へ変更し、内容の見直しと不足部分を加筆し、不備部は訂正した。

 念の為、原本で入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「ムダ退治法101事例・全体目次」

「日常業務に於けるムダ」

iyoblog (4-01)・事例・01「設計で類似内容を繰り返し新規創出しているムダ」※

iyoblog (4-02)・事例・02「社内蓄積保管資料探索にその都度時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-03)・事例・03「同一仕様技術資料を繰り返し新規出図するムダ」

iyoblog (4-04)・事例・04「類似仕様決定のため、その都度繰り返し新規試作・試験するムダ」

iyoblog (4-05)・事例・05「予め決められる技術基準を前以って決めていないため、その都度判断を加えるムダ」

iyoblog (4-06)・事例・06「気付かず負(マイナス)の付加価値形成をしているムダ」

iyoblog (4-07)・事例・07「フリーハンド・メモ・ポンチ絵(マンガ)・イラストで済む情報を定規で製図・清書するムダ」※

iyoblog (4-08)・事例・08「事前・途中の指導を疎かにし、完成してから点検・手直しを行わせるムダ」※

iyoblog (4-09)・事例・09「関係部署・担当者間での連絡不備、調整が無い為、類似製品での機種を増加させているムダ」

iyoblog (4-10)・事例・10「先行技術を調査確認しないで、知らずに公知技術を新規開発しているムダ」

iyoblog (4-11)・事例・11「「理由なく雑誌や資料を何でもコピー私蔵するムダ」※

iyoblog (4-12)・事例・12「勘と記憶を頼りに旧式の設計を繰り返し、何時も過剰品質とするムダ」

iyoblog (4-13)・事例・13「安い市販規格品に気付かず、コストの高い物を知らずに新規設計するムダ

iyoblog (4-14)・事例・14「ルールと分担が明確にされていないため、同じ内容を何人もで繰り返し点検・審査するムダ」

iyoblog (4-15)・事例・15「設計担当者の技術情報創出時間が少なくなっているムダ」

iyoblog (4-16)・事例・16「既存・現用品を活用せず、安易な新規設計で保管図面・資料を増加させるムダ」

iyoblog (4-17)・事例・17「裏付け根拠もなく、適当に見当で作った守れない出図日程(設計期間)となるムダ」

iyoblog (4-18)・事例・18「設計品質が、担当者個人の能力・資質・適性(キャラクタ)に左右されるムダ」

「設計変更を発生させるムダ」

iyoblog (4-19)・事例・19「間違いを作り込ませておいて、上司・先輩が後から捜すムダ」

iyoblog (4-20)・事例・20「本人の注意で防げる間違いを、他人が検図するムダ」

iyoblog (4-21)・事例・21「いきなり実物TRYして失敗するムダ」

iyoblog (4-22)・事例・22「取扱い時の注意を明確に仕様に組み込まないため、市場でクレーム・トラブルとなるムダ」

iyoblog (4-23)・事例・23「施工時の注意を明確に指示しないため、製造でラインクレーム・トラブルとなるムダ

iyoblog (4-24)・事例・24「製品仕様の範囲を明確に表示しないため、ユーザーでクレームを発生させているムダ」

iyoblog (4-25)・事例・25「関連個所を同時に決め、記入点検すれば防げる間違いを出しているムダ」

iyoblog (4-26)・事例・26「再発防止とならない対策繰り返しのムダ

iyoblog (4-27)・事例・27「残業・休日出勤を繰り返し、新しい知識と感覚のチャージを怠り、疲労した頭で間違いを繰り返すムダ」

iyoblog (4-28)・事例・28「日程優先から点検不備で出図して、トラブルのため結果として納期遅れを発生させるムダ」

iyoblog (4-29)・事例・29「トラブル履歴、メンテナンス有無を確かめず、出図した再生図でクレームが出てから対応するムダ」

iyoblog (4-30)・事例・30「ライバル品を物真似し、クレームが出てから慌てて確認テストするムダ」

iyoblog (4-31)・事例・31「上司への事前了解と事後報告をキチント行わず、トラブルを発生させているムダ」

iyoblog (4-32)・事例・32「安易な妥協で、結局トラブルとなる点検・審査のムダ」

iyoblog (4-33)・事例・33「点検せず出図して、後から差し替えを繰り返すムダ」

iyoblog (4-34)・事例・34「エラーによるトラブル内容をその都度周知徹底しないため、類似トラブルを繰り返し発生させているムダ」

iyoblog (4-35)・事例・35「作ってもその場だけしか使わないチェクリスト作成のムダ」

「資料整備・活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-36)・事例・36「資料を全員にCOPY配布して活用されないムダ

iyoblog (4-37)・事例・37「JISや業界規格を丸写しにした社内規格を制定するムダ

iyoblog (4-38)・事例・38「キーワード登録・整理しないため、検索出来ず活用されない資料保管のムダ」

iyoblog (4-39)・事例・39「実験・試験DATAグラフ化・定式(数式)化整理しないため、他の担当者が活用できないムダ」

iyoblog (4-40)・事例・40「活用は二の次で、保管する為だけにマイクロフィルム化するムダ」

iyoblog (4-41)・事例・41「設計参考資料・設計規格を見ながら、その都度新規に設計着手を繰り返すムダ」

iyoblog (4-42)・事例・42「仕様書・図面・試験(検証)報告書・クレーム報告書・調査報告書・手配表など別々に台帳分類・登録保管としているため相互の関連付け、活用を妨げているムダ」

iyoblog (4-43)・事例・43「整理・整頓を疎かにし、その都度資料捜しに時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-44)・事例・44「メンテナンスがキチンと行われないため、活用されない資料のムダ」

「機械化面に於けるムダ」

iyoblog (4-45)・事例・45「設計者が技術情報を創出して機械へ入力しなければ、プリントアウト出来ない設計機械化のムダ」

iyoblog (4-46)・事例・46「機械化出来る所を、手作業で行っているムダ」

iyoblog (4-47)・事例・47「技術情報創出に関係無い製図の機械化に多くの費用と人員を投入しているムダ」

iyoblog (4-48)・事例・48「訂正箇所を検図者へ明示しないため、全体を再検図させているムダ

iyoblog (4-49)・事例・49「電子ファイルを技術情報創出時間短縮手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-50)・事例・50「パソコンを蓄積保管資料(技術情報)検索手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-51)・事例・51「類似設計の繰り返しが多いのに、CADを有効に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-52)・事例・52「CAD導入で、出図が検図で手戻りが増え従来より遅れるムダ」※

iyoblog (4-53)・事例・53CAD端末の前に設計者が居ると、仕事をしていると周囲が錯覚するムダ」

iyoblog (4-54)・事例・54CADを導入しながら、既存図面のデジタル化が進まず流用設計に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-55)・事例・55「設備稼働率を高めるため、CADで二直を行わせるムダ」

iyoblog (4-56)・事例・56CAD導入後DATA-BASE構築まで、長期間活用開始を手待ちするムダ」

iyoblog (4-57)・事例・57「設計のCAD-DATAを、後の生産工程へ生かせられないムダ」

iyoblog (4-58)・事例・58「CADにKEY-WORD検索機能を組み入れ活用しないムダ」※

iyoblog (4-59)・事例・59「製図のため、設計者がCAD端末から技術情報を入力するムダ」

iyoblog (4-60)・事例・60「パソコンをシュミレーション手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-61)・事例・61「CAD化のため上司・先輩が途中に介入出来ず、プリント、訂正を繰り返させるムダ」

iyoblog (4-62)・事例・62「電子ファイルの編集機能を活用しないムダ」

iyoblog (4-63)・事例・63「CAD を設計時間節約手段として役立てられないムダ」

「外注活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-64)・事例・64「事前・途中の指導を疎かにし、受け入れ後の確認と手直しに時間を掛ける外注活用のムダ」

iyoblog (4-65)・事例・65「研修条件が曖昧なため、間違いを依頼者が手直しするムダ」

iyoblog (4-66)・事例・66「外注を猫の手としてしか活用しないムダ」

iyoblog (4-67)・事例・67「付加価値獲得を高める手段として設計外注を活用出来ないムダ」

「補助者活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-68)・事例・68「経験が無くても出来る設計部分をベテランが行うムダ」

iyoblog (4-69)・事例・69「補助者に雑用(非付加価値作業)を行わせるムダ」

iyoblog (4-70)・事例・70「類似設計の手引書化を疎かにし、設計業務を単純作業対応化出来ないムダ」

iyoblog (4-71)・事例・71「補助者を使いきれず、遊ばせているムダ」

iyoblog (4-72)・事例・72「補助者を技術情報創出に充てられないムダ」

iyoblog (4-73)・事例・73「手本図・手引書などが無いため補助者・外注へその都度説明を繰り返すムダ」

iyoblog (4-74)・事例・74「担当者が手を着けるべき範囲と補助者化出来る範囲を明確に区分出来ないため、補助者を活用出来ないムダ」

「教育面に於けるムダ」

iyoblog (4-75)・事例・75「教えないため任せられず、上司・ベテランだけが忙しさに追われているムダ」

iyoblog (4-76)・事例・76「手伝わせるだけで教えないため、技術知識の修得にならないOJT教育のムダ」

iyoblog (4-77)・事例・77「演習・実習が伴わないため、実際の設計が行えない教育のムダ」

iyoblog (4-78)・事例・78「知っているかどうかを確かめないで、一方的に行う教育のムダ」

iyoblog (4-79)・事例・79「教えたことが、修得されたかどうか確認しないで終わっている教育のムダ」

iyoblog (4-80)・事例・80「参考資料を与えれば、教えないでも設計が出来ると錯覚しているムダ」

「その他の面に於けるムダ」

iyoblog (4-81)・事例・81「部下・後輩を指導出来ず自主性に任せ、やきもきするムダ」

iyoblog (4-82)・事例・82「複数案を並行試験確認で進めないために、開発・設計期間を延ばしているムダ」

iyoblog (4-83)・事例・83「理念が無いため評価・判断基準が定まらず、担当者を困惑・混乱させているムダ」

iyoblog (4-84)・事例・84「専門化を進め過ぎ、ノウハウ経験が私物化して会社に蓄積されないムダ」

iyoblog (4-85)・事例・85「内容の検索に役立たない保管だけに図番分類する台帳分類方法のムダ」

iyoblog (4-86)・事例・86「中味(実)に関係無く、件数だけ多く申請する特許のムダ」

iyoblog (4-87)・事例・87「不良品でテストして、結果として使えない試験DATAとなるムダ」

iyoblog (4-88)・事例・88「相見積もりで安さだけ追求し、後で手直しの多い外部製作手配のムダ」

iyoblog (4-89)・事例・89「特許申請を怠り、市場で係争に成ってから慌てて対応するムダ」

iyoblog (4-90)・事例・90「何でも直接自分で手を付けないと気がすまず、自分だけ忙しくするムダ」

iyoblog (4-91)・事例・91「上司・先輩同士の見解違いから、調整に時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-92)・事例・92「判断基準が与えられないため、その都度上司に相談・了解を得なければならないムダ」

iyoblog (4-93)・事例・93「内容が曖昧で要領の悪い、頁数の多いレポート作成のムダ」

iyoblog (4-94)・事例・94「過剰手配で持つ、部品購入と保管のムダ」

iyoblog (4-95)・事例・95「技術情報創出時間比率が30%以下なのに、慢性的工数不足に陥っているムダ」

iyoblog (4-96)・事例・96「出図枚数を管理項目とするムダ」

iyoblog (4-97)・事例・97「途中の状況把握を細目に行わず、納期が来てから遅れを知るムダ」

iyoblog (4-98)・事例・98「購入品入手までのリードタイム把握を疎かにし、手待ちとなるムダ」

iyoblog (4-99)・事例・99「ベテランが付加価値増加に寄与する業務に専念出来ないため、付加価値獲得時間を大きく出来ないムダ」

iyoblog (4-100)・事例・100「結論の出ない対策会議開催のムダ」

iyoblog (4-101)・事例・101「設計管理で生産技術的観点を持たないため、設計業務での改善が行われないムダ」

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「筆者略歴

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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「再発防止と成らない対策繰り返しのムダ・事例(4-26)」

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Iyoblog・「再発防止と成らない対策繰り返しのムダ・事例(4-26)」

「現状と問題点」

 設計時の間違いなどの欠陥が原因で、製品やラインでクレーム・トラブルを起こす事例は多い。その際、設計変更をしてクレーム・トラブル対策を通常では行う。その対策が適切でないと、引き続きクレーム・トラブルが再発し続ける事に成る。

 その意味で、クレーム・トラブルが発生した時点で、設計法からその原因究明と再現試験をキチンと行い、再発防止の対応が大切と成る。原因究明と再現試験による問題点確認の設計法の見直しなど適切な対応がされない場合には、クレーム・トラブルが根本的に解決され無い事に成る。これを行わず、クレーム・トラブルを再発し続けるのは、ムダで有る。

 クレーム・トラブル対策では、再発防止となる対策(設計変更)とする必要が有る。その為には、事前に品質保証出来る設計法を取り入れる事が大切で有る。事前に品質保証出来る設計法とは、製作段階で完成する前・途中で検証出来る様に設計して置く事で有る。

 図-261へ「設計トラブル事例で、事前に品質保証出来る構造へ設計変更した対応法の一事例」を参考までに示す。

「着眼点・分析と評価法」

 クレーム・トラブルには、発生個所で見ると市場・客先で起こる物・現象と、製造・ラインで起こる物・現象の二種類に分けて見る事が出来る。また発生内容の形態で見るとクレーム(苦情の範囲)で片付く物・現象と、トラブル(物品交換・謝罪では済まず、慰謝料や過大な損害賠償が伴う係争に発展する事故)に成る物・現象の二種類が有る。

 クレーム(苦情の範囲)で片付く物・現象とは、最悪でも客先へ新品の製品を代替品として届け、丁寧に謝って済む範囲の物・現象を言う。またトラブル(事故)に成る物・現象とは、多大な危害と損害を与えた場合に新品交換や謝罪では済まず、過大な慰謝料請求と損害賠償要求が伴う係争に発展する場合を言う。この様な場合には、長期に渡って解決に煩わされる事に成る場合が多い。従ってクレーム・トラブルと成り得る事項には、事前に充分確認の上、設計時に造り込まれ無い様に注意を払って進める必要が有る。

 クレーム・トラブルも一般商品と設備機器の様な場合では、内容に違いが有るが、何方も客先や製造に多大な影響を与える為、設計時に仕様・性能・特性・要求設計条件が満たされない場合となる項目での事前点検が充分に行われる必要が有る。

「改善点と取り組み法」

 改善法の第一点は、製品機能確保面での仕様・性能・特性・要求設計条件が満たされない状態を設計時に意識的に想定・設定して考え得る問題点を予め明らかにして置く事が大切で有る。

 改善法の第二点は、問題個所として想定出来る内容・現象は、事前に別途品質保証出来る様に設計上、分離・独立構造として置く事が大切で有る。事前に品質保証するとは、問題発生が想定される機能部位(ユニットまたはモジュール)部分を分離し、試作・試験に依って品質確認出来る独立構造体にする事を言う。

 改善法の第三点は、事前検証にあたり、加速試験などにより破損、または機能停止に至るまでの耐久試験を実施して置く事で有る。その際、機能がダウンしてもストレスを掛け続けた場合の状況も確認して置く事が大切と成る。なお加速試験とは、環境温度を高めたり、負荷を想定値より高めたり設定する事で劣化を速める行為を言う。(注・通常必要な試験期間を10分の1とか、100分の1へ縮める手段として使われる。電気計装系では絶縁材種に樹脂が使われる際、例えば「10度C半減化則」を適用するなどが有る。)

 改善法の第四点は、設計時に性能上の保証値を決めるに当たり、例えば、目標寿命時間の絶対値と品質値(クレーム・トラブル原因と成る不良発生確率値)の二つで決める習慣を確立して置く事で有る。なお寿命値の単位には、①「時間値」、②・「回数値」、③・「距離値」などが有る。また品質値の単位には、正規分布の「σ(シグマ)」を使う場合が一般的に多い。

 図-262へ「正規分布7σ(シグマ)までの数値例」を参考までに示す。

「改善による効果」

 クレーム・トラブル発生時に原因究明と再現試験を事前にキチンと行い、設計面から問題発生が想定される部位・個所を別途品質保証出来る分離・独立した構造体(ユニット・モジュール)とする事により、殆どの場合、再発防止と成る。これは、その部位を単独で事前に品質確認が可能と成る為で有る。これからの設計では、この考え方を原則として確立して置く習慣とする。

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「引用文献」

・本稿は筆者(伊豫部将三)が執筆し、日刊工業新聞社から1995年3月単行本として刊行され、2020年3月廃刊処理された機会に「設計のムダ退治101」へ掲載した内容を、今回ブログ掲載に当りタイトルを「設計の働き方改革とムダ退治法事例」へ変更し、内容の見直しと不足部分を加筆し、不備部は訂正した。

 念の為、原本で入手ご希望の方は、出版元(日刊工業新聞社・出版局)へお問い合わせを給わりたく、何分宜しくお願い申し上げます。

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「ムダ退治法101事例・全体目次」

「日常業務に於けるムダ」

iyoblog (4-01)・事例・01「設計で類似内容を繰り返し新規創出しているムダ」※

iyoblog (4-02)・事例・02「社内蓄積保管資料探索にその都度時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-03)・事例・03「同一仕様技術資料を繰り返し新規出図するムダ」

iyoblog (4-04)・事例・04「類似仕様決定のため、その都度繰り返し新規試作・試験するムダ」

iyoblog (4-05)・事例・05「予め決められる技術基準を前以って決めていないため、その都度判断を加えるムダ」

iyoblog (4-06)・事例・06「気付かず負(マイナス)の付加価値形成をしているムダ」

iyoblog (4-07)・事例・07「フリーハンド・メモ・ポンチ絵(マンガ)・イラストで済む情報を定規で製図・清書するムダ」※

iyoblog (4-08)・事例・08「事前・途中の指導を疎かにし、完成してから点検・手直しを行わせるムダ」※

iyoblog (4-09)・事例・09「関係部署・担当者間での連絡不備、調整が無い為、類似製品での機種を増加させているムダ」

iyoblog (4-10)・事例・10「先行技術を調査確認しないで、知らずに公知技術を新規開発しているムダ」

iyoblog (4-11)・事例・11「「理由なく雑誌や資料を何でもコピー私蔵するムダ」※

iyoblog (4-12)・事例・12「勘と記憶を頼りに旧式の設計を繰り返し、何時も過剰品質とするムダ」

iyoblog (4-13)・事例・13「安い市販規格品に気付かず、コストの高い物を知らずに新規設計するムダ

iyoblog (4-14)・事例・14「ルールと分担が明確にされていないため、同じ内容を何人もで繰り返し点検・審査するムダ」

iyoblog (4-15)・事例・15「設計担当者の技術情報創出時間が少なくなっているムダ」

iyoblog (4-16)・事例・16「既存・現用品を活用せず、安易な新規設計で保管図面・資料を増加させるムダ」

iyoblog (4-17)・事例・17「裏付け根拠もなく、適当に見当で作った守れない出図日程(設計期間)となるムダ」

iyoblog (4-18)・事例・18「設計品質が、担当者個人の能力・資質・適性(キャラクタ)に左右されるムダ」

「設計変更を発生させるムダ」

iyoblog (4-19)・事例・19「間違いを作り込ませておいて、上司・先輩が後から捜すムダ」

iyoblog (4-20)・事例・20「本人の注意で防げる間違いを、他人が検図するムダ」

iyoblog (4-21)・事例・21「いきなり実物TRYして失敗するムダ」

iyoblog (4-22)・事例・22「取扱い時の注意を明確に仕様に組み込まないため、市場でクレーム・トラブルとなるムダ」

iyoblog (4-23)・事例・23「施工時の注意を明確に指示しないため、製造でラインクレーム・トラブルとなるムダ

iyoblog (4-24)・事例・24「製品仕様の範囲を明確に表示しないため、ユーザーでクレームを発生させているムダ」

iyoblog (4-25)・事例・25「関連個所を同時に決め、記入点検すれば防げる間違いを出しているムダ」

iyoblog (4-26)・事例・26「再発防止とならない対策繰り返しのムダ

iyoblog (4-27)・事例・27「残業・休日出勤を繰り返し、新しい知識と感覚のチャージを怠り、疲労した頭で間違いを繰り返すムダ」

iyoblog (4-28)・事例・28「日程優先から点検不備で出図して、トラブルのため結果として納期遅れを発生させるムダ」

iyoblog (4-29)・事例・29「トラブル履歴、メンテナンス有無を確かめず、出図した再生図でクレームが出てから対応するムダ」

iyoblog (4-30)・事例・30「ライバル品を物真似し、クレームが出てから慌てて確認テストするムダ」

iyoblog (4-31)・事例・31「上司への事前了解と事後報告をキチント行わず、トラブルを発生させているムダ」

iyoblog (4-32)・事例・32「安易な妥協で、結局トラブルとなる点検・審査のムダ」

iyoblog (4-33)・事例・33「点検せず出図して、後から差し替えを繰り返すムダ」

iyoblog (4-34)・事例・34「エラーによるトラブル内容をその都度周知徹底しないため、類似トラブルを繰り返し発生させているムダ」

iyoblog (4-35)・事例・35「作ってもその場だけしか使わないチェクリスト作成のムダ」

「資料整備・活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-36)・事例・36「資料を全員にCOPY配布して活用されないムダ

iyoblog (4-37)・事例・37「JISや業界規格を丸写しにした社内規格を制定するムダ

iyoblog (4-38)・事例・38「キーワード登録・整理しないため、検索出来ず活用されない資料保管のムダ」

iyoblog (4-39)・事例・39「実験・試験DATAグラフ化・定式(数式)化整理しないため、他の担当者が活用できないムダ」

iyoblog (4-40)・事例・40「活用は二の次で、保管する為だけにマイクロフィルム化するムダ」

iyoblog (4-41)・事例・41「設計参考資料・設計規格を見ながら、その都度新規に設計着手を繰り返すムダ」

iyoblog (4-42)・事例・42「仕様書・図面・試験(検証)報告書・クレーム報告書・調査報告書・手配表など別々に台帳分類・登録保管としているため相互の関連付け、活用を妨げているムダ」

iyoblog (4-43)・事例・43「整理・整頓を疎かにし、その都度資料捜しに時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-44)・事例・44「メンテナンスがキチンと行われないため、活用されない資料のムダ」

「機械化面に於けるムダ」

iyoblog (4-45)・事例・45「設計者が技術情報を創出して機械へ入力しなければ、プリントアウト出来ない設計機械化のムダ」

iyoblog (4-46)・事例・46「機械化出来る所を、手作業で行っているムダ」

iyoblog (4-47)・事例・47「技術情報創出に関係無い製図の機械化に多くの費用と人員を投入しているムダ」

iyoblog (4-48)・事例・48「訂正箇所を検図者へ明示しないため、全体を再検図させているムダ」

iyoblog (4-49)・事例・49「電子ファイルを技術情報創出時間短縮手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-50)・事例・50「パソコンを蓄積保管資料(技術情報)検索手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-51)・事例・51「類似設計の繰り返しが多いのに、CADを有効に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-52)・事例・52「CAD導入で、出図が検図で手戻りが増え従来より遅れるムダ」※

iyoblog (4-53)・事例・53CAD端末の前に設計者が居ると、仕事をしていると周囲が錯覚するムダ」

iyoblog (4-54)・事例・54CADを導入しながら、既存図面のデジタル化が進まず流用設計に活用しきれないムダ」

iyoblog (4-55)・事例・55「設備稼働率を高めるため、CADで二直を行わせるムダ」

iyoblog (4-56)・事例・56CAD導入後DATA-BASE構築まで、長期間活用開始を手待ちするムダ」

iyoblog (4-57)・事例・57「設計のCAD-DATAを、後の生産工程へ生かせられないムダ」

iyoblog (4-58)・事例・58「CADにKEY-WORD検索機能を組み入れ活用しないムダ」※

iyoblog (4-59)・事例・59「製図のため、設計者がCAD端末から技術情報を入力するムダ」

iyoblog (4-60)・事例・60「パソコンをシュミレーション手段として活用しないムダ」

iyoblog (4-61)・事例・61「CAD化のため上司・先輩が途中に介入出来ず、プリント、訂正を繰り返させるムダ」

iyoblog (4-62)・事例・62「電子ファイルの編集機能を活用しないムダ」

iyoblog (4-63)・事例・63「CAD を設計時間節約手段として役立てられないムダ」

「外注活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-64)・事例・64「事前・途中の指導を疎かにし、受け入れ後の確認と手直しに時間を掛ける外注活用のムダ」

iyoblog (4-65)・事例・65「研修条件が曖昧なため、間違いを依頼者が手直しするムダ」

iyoblog (4-66)・事例・66「外注を猫の手としてしか活用しないムダ」

iyoblog (4-67)・事例・67「付加価値獲得を高める手段として設計外注を活用出来ないムダ」

「補助者活用面に於けるムダ」

iyoblog (4-68)・事例・68「経験が無くても出来る設計部分をベテランが行うムダ」

iyoblog (4-69)・事例・69「補助者に雑用(非付加価値作業)を行わせるムダ」

iyoblog (4-70)・事例・70「類似設計の手引書化を疎かにし、設計業務を単純作業対応化出来ないムダ」

iyoblog (4-71)・事例・71「補助者を使いきれず、遊ばせているムダ」

iyoblog (4-72)・事例・72「補助者を技術情報創出に充てられないムダ」

iyoblog (4-73)・事例・73「手本図・手引書などが無いため補助者・外注へその都度説明を繰り返すムダ」

iyoblog (4-74)・事例・74「担当者が手を着けるべき範囲と補助者化出来る範囲を明確に区分出来ないため、補助者を活用出来ないムダ」

「教育面に於けるムダ」

iyoblog (4-75)・事例・75「教えないため任せられず、上司・ベテランだけが忙しさに追われているムダ」

iyoblog (4-76)・事例・76「手伝わせるだけで教えないため、技術知識の修得にならないOJT教育のムダ」

iyoblog (4-77)・事例・77「演習・実習が伴わないため、実際の設計が行えない教育のムダ」

iyoblog (4-78)・事例・78「知っているかどうかを確かめないで、一方的に行う教育のムダ」

iyoblog (4-79)・事例・79「教えたことが、修得されたかどうか確認しないで終わっている教育のムダ」

iyoblog (4-80)・事例・80「参考資料を与えれば、教えないでも設計が出来ると錯覚しているムダ」

「その他の面に於けるムダ」

iyoblog (4-81)・事例・81「部下・後輩を指導出来ず自主性に任せ、やきもきするムダ」

iyoblog (4-82)・事例・82「複数案を並行試験確認で進めないために、開発・設計期間を延ばしているムダ」

iyoblog (4-83)・事例・83「理念が無いため評価・判断基準が定まらず、担当者を困惑・混乱させているムダ」

iyoblog (4-84)・事例・84「専門化を進め過ぎ、ノウハウ経験が私物化して会社に蓄積されないムダ」

iyoblog (4-85)・事例・85「内容の検索に役立たない保管だけに図番分類する台帳分類方法のムダ」

iyoblog (4-86)・事例・86「中味(実)に関係無く、件数だけ多く申請する特許のムダ」

iyoblog (4-87)・事例・87「不良品でテストして、結果として使えない試験DATAとなるムダ」

iyoblog (4-88)・事例・88「相見積もりで安さだけ追求し、後で手直しの多い外部製作手配のムダ」

iyoblog (4-89)・事例・89「特許申請を怠り、市場で係争に成ってから慌てて対応するムダ」

iyoblog (4-90)・事例・90「何でも直接自分で手を付けないと気がすまず、自分だけ忙しくするムダ」

iyoblog (4-91)・事例・91「上司・先輩同士の見解違いから、調整に時間を掛けるムダ」

iyoblog (4-92)・事例・92「判断基準が与えられないため、その都度上司に相談・了解を得なければならないムダ」

iyoblog (4-93)・事例・93「内容が曖昧で要領の悪い、頁数の多いレポート作成のムダ」

iyoblog (4-94)・事例・94「過剰手配で持つ、部品購入と保管のムダ」

iyoblog (4-95)・事例・95「技術情報創出時間比率が30%以下なのに、慢性的工数不足に陥っているムダ」

iyoblog (4-96)・事例・96「出図枚数を管理項目とするムダ」

iyoblog (4-97)・事例・97「途中の状況把握を細目に行わず、納期が来てから遅れを知るムダ」

iyoblog (4-98)・事例・98「購入品入手までのリードタイム把握を疎かにし、手待ちとなるムダ」

iyoblog (4-99)・事例・99「ベテランが付加価値増加に寄与する業務に専念出来ないため、付加価値獲得時間を大きく出来ないムダ」

iyoblog (4-100)・事例・100「結論の出ない対策会議開催のムダ」

iyoblog (4-101)・事例・101「設計管理で生産技術的観点を持たないため、設計業務での改善が行われないムダ」

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「筆者略歴

 1957年4月~1974年3月の17年間・富士重工業㈱(注・現社名スバル)三鷹製作所(現・群馬県大泉町へ移転)生産技術部門に勤務。乗用車用エンジン・ミッション製造の工場自動化機器・専用機設計業務へ従事。1974年技術士(機械部門・第7916号)登録、伊豫部技術士事務所を開設。開発・設計および生産技術部門の技術コンサルタントとして現在に至る。この間、上場および中堅企業100社以上で社員教育や業務改善支援業務に従事。現在までに、社団法人日本技術士会理事、りそな中小企業振興財団「中小企業庁長官新技術・新製品賞」贈賞の専門審査委員、東大和市商工会理事、等を歴任。

 著書「設計の故障解析51(CD-ROM付)」、「設計の基本仕様51(CD-ROM付)」、「設計のマネジメント101」、「設計者の心得と実務101」、「設計の経験則101」、「設計の凡ミス退治101」、「設計のムダ退治101」、「ハンドリング簡易自動化201」、「設計審査(DR=Design Review)支援ツール集・Ⅰ(事前審査編)」以上日刊工業新聞社から刊行。月刊「機械設計」誌へ長期連載等あり。「品質機能展開50事例(CD-ROM付)」、「MC選定資料マニアル」、熊谷卓氏と共著「組立・ハンドリング自動化実例図集」、以上新技術開発センターから刊行などが有る。

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